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こんばんは、酒井孝祥です。
日本には、スポーツ根性ものなどと呼ばれるジャンルの漫画があります。
ときには現実世界では考えられない程に過酷な内容のトレーニングが、かなりの長時間にわたって行われる様子が描写されます。
それはスポーツを題材にした漫画に限ったことではなく、正義のヒーローが悪を討つ類の作品においても、より強大な敵を倒すために特訓する光景が見られるかと思います。
厳しい試練を乗り越えて栄光を掴む登場人物に感情移入することを少年期から繰り返すことによって、沢山の努力を積み重ねることで結果が得られる、頑張れば報われるという教訓が、精神に刷り込まれていくでしょう。
それは素晴らしいことかと思います。
酒井もその例に漏れないと思います。
しかし、以前、声優の養成所に通っていたときに、先生からこんなことを言われました。
「アンタが頑張っていることはみんな知っている。でも、頑張っていることによって、甘えているように見える。」
つまりは、人一倍努力している状態に落ち着いて、自分はこんなに頑張っているのだから、それを認めて欲しい、自分のことを良くして欲しいとねだっているように見えるというのです。
努力をすれば結果が得られるという観念は、根底的なものとして大切なものです。
しかし、ともすれば、努力をすることそのものに手応えを感じ、安心してしまうことが逆効果になってしまうことだってあります。
昔、日舞の師からこんなことを言われました。
「酒井君、自分で稽古をするのをやめてみたら。」
要は、復習のつもりで何度も何度も反復してきた振りが、前回の稽古のときに教わった形から外れてしまい、間違った振りが身体に染み付いてしまっていたのです。
そうなると、その次の稽古における師の最初の仕事は、間違った形を修正することであり、自主稽古を重ねていればいるほど味しながら慎重に浚ってみたりと、やるべきことを考えればいくらでもきます。
今習っている踊りではなく、以前に時間をかけて習い、十二分に浚った踊りであるなら、反復して練習するのもありかと思います。
自分が頑張っているという手応えを感じることが目的で行う稽古であれば、やらない方がマシということです。
でも中には、基礎エネルギーをつけるために反復すべき稽古もあります。
自分が何をすべきかは、師に言われたことに神経を研ぎ澄まし、それを忠実に守ろうとすれば、自ずと分かってくると思います。
次回は、「乾杯酒で繋ぐ」(ブライダル)をテーマにしたコラムをお届けします。