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こんばんは、酒井孝祥です。
日本舞踊や邦楽演奏において、「お浚い会(おさらいかい)」と呼ばれる形式の公演が行われます。
それを新春に行う場合には、「踊り初め会」や「お弾き初め会」などと呼ばれたり、夏場に本衣装や着物を着ずに浴衣姿で行う場合には「浴衣浚い会(ゆかたざらいかい)」などと呼ばれたりもします。
これは何かと簡単に説明すれば、古典芸能を習っているお弟子さん達の発表会です。
お弟子さんだけでなく、先生自身もパフォーマンスを披露することがほとんどです。
全てが全てそうというわけではありませんが、この種の公演が、一般的に劇場で行われる公演と大きく違う特徴として、上演時間が極端に長いことが挙げられます。
お昼頃から始まって、終ったときには19時や20時を回っている様なことが珍しくありません。
劇場には開演時間よりも前に入って、最後まで鑑賞するものというのが世間の常識かもしれませんが、お浚い会でそれを実践すると、7時間も8時間も鑑賞し続けることになり得ます。
いくらなんでもそりゃ疲れます。
この手の会は、基本的に、自分の友人知人が出演する演目の上演予定時間を予め確認しておき、その前後の演目を鑑賞するのがよいでしょう。
もしも、お友達が出演する演目と離れた時間帯で、自分の興味深ある演目があるならば、大概は途中入退場が自由ですから、いったん劇場の外に出てお食事をしたりコーヒーを飲んだりして、一休みしてからまた鑑賞するという方法があります。
大きな劇場だったりすれば、劇場内にお食事処があったりもします。
プロの人の公演の1公演で上演される何倍もの数の作品を堪能出来る機会で、会によっては入場無料のケースもありますので、仮にお友達が出ない会であったとしても、機会があれば足を運んでみると楽しめるかもしれません。
個人的にお薦めなのは、アマチュアの人がプロの狂言師に狂言を習っているサークルのお浚い会です。
演じているのは決して上手い人ばかりではありませんが、何しろ狂言は話の筋立てがよく出来ていて分かりやすいので、何本見ていてもなかなか飽きないものです。
この様なお浚い会に足を運ぶにあたって、いかに気軽に鑑賞出来るからといっても、マナーとして注意しなければならないこともあります。
アマチュアの会ですと、写真撮影がOKなことも多いですが、それでも演じ手や他のお客様は、シャッター音やフラッシュが気になってしまうことがあります。
節度を守る必要があります。
特にフラッシュ撮影であれば、その会を記録撮影している場合、記録映像にフラッシュの光が残ってしまいます。
それから、荷物を置いたりしての長時間の席取りは厳禁です。
ちょっとトイレに行く間などならともかく、自分が見たい演目がまだ先であるから一休みして戻ってくるものの、その演目を良い席で見たいからと、荷物を置いてキープする人がいます。
これは、他のお客様が座れないだけに限らず、出演する側からしても、本来なら人で埋まっているはずの見やすい席がガラガラなのはテンションが下がります。
それから、出演者に差し入れ等がある場合、受付の人に預けず、極力ご本人に渡しましょう。
もちらん、出演者が本人専用の受付を設けているなら話は別です。
特に同じ流派の会などであれば、名取名が同じ様な人が多く、本人の手に無事届くか怪しいものです。
習い事をしているお友達からお浚い会の案内を受け取ったら、もしも興味のないジャンルであったとしても、それに足を運ぶことで、新しい世界が開けるかもしれません。
次回は、「MAJORになること」(俳優道)をテーマにしたコラムをお届けします。