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2013/04/07

春の雪原で見た光景。

何者かによって一頭のエゾシカが襲われていた。

まだそれ程時間が経っていないようだ。

獲物を引きずり回した跡だろうか、辺りには鮮血が飛び散っていた。

不運にも犠牲となったエゾシカを気の毒に思いながらも、これも自然の摂理として

受け止め、その光景を目の奥に焼き付ける。

生きる者は皆、他者の命を奪い、自分の体へと取り込んでいく。

野生動物はもちろんのこと、人間もそうすることで命を繋いでいる。

もしこの光景が残酷に見えるとしたら、それは私達の今の食生活のスタイルが変わり

過ぎたことに原因があるのかもしれない。つまり、普段スーパーでたくさん陳列され

ている肉などの食品が美しいまでに形を整えられてパック詰めされており、とてもその

状況から生き物の命を奪う瞬間や彼らの息絶えた姿を連想させることはない・・・。

また、それらの食品の「価値」は、1つの命の尊さではなく、全ては値札によって決めら

れるのが今の社会だろう。

一頭のシカの命がたくさんの動物や鳥達の恵みとなることを考えると、この死は決して

無駄ではなく、同じことをして命を繋いでいる私達人間もただその事実を認めるのみである。

 

自然を深く愛し、その中で様々な経験をしていくと、不思議と自分が今「生きている」ことに

強く「幸せ」を感じたり、「死」というものの現実を深く実感することがある。

そんな時、私達人間は「求め過ぎてはいないだろうか・・・。」

「驕り高ぶってはいないだろうか・・・。」

という思いを抱くのである。

いつも大切なことに気付かせてくれる自然に感謝したい。

 

 

 

 

 

 

 

 

2013/04/07 11:00 | yamada | No Comments