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2013/03/20

子どもの頃、「友達の家は違うニオイがする」と感じたこと、ありませんか? 玄関に入ったときだけ感じるのだけど、しばらくいると慣れてしまう・・・。あるいは、カレー屋さんからの匂いに誘われてお店に入ると、しばらくすると匂いは気にならなくなってしまう。

嗅覚は、鈍感な知覚です。同じ刺激に飽きやすいのです。これを私はよく「鼻がバカになる」と呼んでいます。じぶんの体臭がわからないのも、いつもじぶんの匂いを嗅いでいるから。たまにニンニクを食べると、ああ自分ってけっこうクサいんだなと気づく事はありますが・・・(笑)

嗅覚は鈍感かと思いきや、けっこう敏感でもあり、すぐ飽和状態でパンクしてしまう。香水を選ぶ際、いくつも嗅いでいるともう、何がなんだかわからなくなってしまう時ってありませんか? 一般的には3つ以上は無理、といわれていたりしますね。実際はそんなことはないのですが、あまり強く嗅いでしまった場合は匂い分子が鼻腔に付着してしまい、恒常的に鼻の中から香水の香りがするような状態になってしまうということがあります。刺激が強すぎて、他の刺激を何も受け付けられなくなる、つまり「鼻がロックされてしまう」のです。

そんなときに鼻を「リセット」する方法をいくつか、みなさんにご紹介しましょう。

(1)コーヒー豆の香りを嗅ぐ

よく精油コーナーなどに、嗅覚をリフレッシュする為にコーヒー豆の詰められた瓶などが置かれていたりしますね。お洒落ではあるのですが、私の経験ではこれはあまり効果がありません。残念ながら。

(2)じぶんの肌の匂いを嗅ぐ

これもよくいわれるリセット方法ですが、やはりあまり効果的ではないと思われます。なぜなら、その空間にまだ香りの分子がふんわり残っているはずだから。香水売り場にいる限り、そこが無臭であるわけがありませんよね。

(3)窓を開ける

これはわりと私もよく使う方法です。そもそも匂いを扱っているときは、窓を開けて換気に努めています。けど、どうしても換気が追いつかなくて、空間に匂いが染み付いてしまうことは多々あります。強烈な匂いであればあるほど、換気もけっこう大変ですので、暑さ寒さとの勝負になってしまうことも。

(4)外に出る

まったく屋外に出てしまう。これが最もてっとり早いです。1、2分もいれば嗅覚は完全にリフレッシュします。森の中や海辺であれば、さらに良いですね。

(5)鼻うがい

体温の生理食塩水を作り、鼻うがい専用のジョウロで右から、左から、食塩水を流す。ヨガの「ジャラ・ネティ」という手法です。これはいちばん理想的な方法。嗅覚をリフレッシュすると同時に、鼻腔内に残っている分子も洗い流してくれるからです。

風邪対策などの点でも理想的です。わたしは慢性副鼻腔炎を患っているため、この鼻うがいを日々実践していないと一生お薬のお世話になってしまうので、がんばって続けています。

ただこの方法の難点は、ちょっとした練習が必要ということ。慣れた方に習わないと、水を変なところに流し込んでしまうので、症状を悪化させてしまうのです。

かのジャック・マイヨールは、嗅覚が生命エネルギー(プラーナ)と直結していることをヨガの行者から教わってから、海に入るときにはまず鼻に海水を流し入れ、鼻を洗浄していたといいます。

(6)シャワー、プール、海に入る

シャワーやお風呂から上がった後。プールで泳いだ後。海で泳いだ後。嗅覚が生まれかわり、もっとも冴えている瞬間です。私が通った南仏の調香師学校にも、プール併設でした。嗅覚に良いから、放課後にプールか海で泳げといわれましたね。

ある嗅盲の人の体験談をご紹介します。彼は印刷屋さんで働いていたので、強い刺激性のインクを恒常的に嗅いでいた事から、嗅覚を失いました。

あるとき、サハラ砂漠で2週間の旅をしました。砂漠という乾燥した灼熱の炎天下では、匂いそのものが存在しません。無臭の環境です。匂い分子が人間の鼻腔に届く前に、揮発してしまうのです。もちろん嗅覚を失った彼にとっては全く関係のないことのように思われました。

ところが、その後2週間ぶりにオアシスでシャワーを浴びていた時。その刺激で嗅覚が蘇ったのです。その後は、もとの嗅覚が徐々に戻ってきたといいます。

私自身は、呼吸器官系のリトリートのため、定期的に世界各国の海に出かけています。今まででいちばん効果高いと感じたのは、なんと御蔵島・・・不思議なものです。友人がツアーをオーガナイズしているので、メンテナンスのために定期的に通いたいところ。(ドルフィンスイムのコラムをお持ちの鈴木あやのさんにも、いつか現地でお会いするかも?)

 

以上6つのスピード対策と長期的手法をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。状況によってどれがやりやすいか違ってきますので、臨機応変に組み合わせてみてください。

 

 

 

2013/03/20 05:25 | maki | No Comments