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地球の舳先から vol.264
パリ編 vol.3(全4回)
パリへ行くたびに、パトロールのように必ず行く劇場がある。
Théâtre Mogador。
主としてブロードウェイミュージカルのフランス版をやっている。
ちなみに、わたしのフランス語は
「おはようありがとうパン下さい」レベルである。
が、ミュージカルだと大抵ストーリーは同じだし、名場面などは
台詞などもおぼろげながらだいたい記憶していたりするので
言葉がわからなくても大丈夫だったりする
(ただし何度か見たことのある名作に限る)。
前回見たのは「ライオンキング」。
日本語でも何度も見ているお馴染のストーリーのはずなのに
なぜか死ぬほど笑った覚えがある。
このときは、どこかで流れていたライオンキングのテーマソングが
ノイローゼのごとく頭からまったく離れなくなり、劇場へ行った。
あとあと聞いたところによると、これはフランスの一般的な宣伝戦略で
ある1つの曲をしつこいくらい流し続けて洗脳するのだそうだ。
わたしは見事にそのワナに嵌ったというわけである。
今回行った時期やっていたのは「シスターアクト」。
英題に覚えはなかったけれど、「天使にラブソングを」のミュージカル版とのこと。
下から2番目の値段の席を押さえたら、最前列の一番端っこだった。
オーケストラピットの中の、指揮者もシンセサイザーもサキソフォンも見える!
そしてMOGADOR節が大炸裂。
なんというか、完全にコメディなのである。それも、涙流して笑うレベルの。
会話だけでなく、演出使って舞台全体でそれをやってくるから、圧巻。
指揮者が瞬間早着替えで(指揮したまま)舞台の一部となってしまったり。
どこからも目が離せないし、次は何をやってくるかとワクワクしてしまう。
みんな本当にリラックスして、大はしゃぎで楽しんでしまうこの感じを見ると
わたしはフレンチ・コメディの偉大さを実感する。
あの劇場に行くと、「フランス人って気難しい」は120%誤解だと思う。
一方で、「ブロードウェイの完全コピーなんてしてたまるか」という
フランスの矜持のようなものもまた、感じるのだった。
日本人のわたしなんかは、「ブロードウェイミュージカルをここまでぶっ壊して
ブロードウェイは怒らないのだろうか…」などと要らぬ心配をしたくなるほど。
休憩時間には、ローランペリエ(パリではこれが多い)のシャンパンを。
オペラ座と違ってみんな普段着だし、笑いすぎてなんか良くないものデトックスして
おなかいっぱいで劇場を出るのがいつものパターン。
ごちそう様でした。
(帰りは界隈をお散歩。)
Théâtre Mogador
http://www.stage-entertainment.fr/theatre-mogador