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2011/02/10

JunkStageをご覧のみなさま、こんにちは。
メルマガ・Radio担当のreinaです。

さて、私はメルマガで毎月「今月の新規ライター」をご紹介しているのですが、
新規の時から注目していたのがこの方、東京最古漫画喫茶経営の西川嘉津美さん。
実は私、無類の漫画好きなのです。
東京最古という響きと漫画喫茶という言葉がちぐはぐで面白くて、どんなところだろう…と
気になっていたものの、前回momoさんがレポートしてくれた新年会では、
場が盛り上がりすぎていてあまりお話しできなかったので、実際にお邪魔してきました。

場所は、本の町、神田神保町。メインの交差点から一本入った商店街の中です。
その店、「漫楽園」は雑居ビルの2階。入口にはちょっと間の抜けた看板が立っていて、
「チェーン店ではないよ」というのを主張してきます。

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入口に入るとまず目を引くのが、デザイナー・挿絵画家の宇野亞喜良さんのポスター。
中に入ると…壁際にずらっと本棚が並んでいるものの、今“漫画喫茶“と聞いてイメージする個室タイプではなく、オープンスペースにソファが並んでいる、ひらけた空間のある店内でした。
旅館のロビーのような感じで、なんだかちょっと懐かしい、「休憩する・待ち合わせする場所」っていう雰囲気があるなと思いました。

パソコンはないけど、無線LANはある。ドリンクバーは有りますし、そして珍しいことに
食べ物持ち込みOKだそう。電子レンジも使っていいらしいです。
壁に並んでいる本棚の奥には分煙席もありました。
蔵書はさすが!という感じで名作が多いですね。
かと思えばランキング入りしたものや話題作などの最先端の作品もしっかり押さえてある、
そして、書店には売っていないミニコミ雑誌の常設棚も…という絶妙なバランス。

なによりここは、西川さんがJunkStageのコラムにも書かれていたとおり、とにかくいろんなイベントをやっていらっしゃるのです。

もちろん神保町の漫画喫茶としては、絶版本専門古書店と取引があったり、
入り口の看板や店内の諸々は日本イラストレーター協会の方が描いていたり
(というか遊びでいつのまにか作ってくれていたらしい…。)、
トキワ荘プロジェクトと組む企画があったりもするそうですが、
他にも、漫画を通じて交流しようという読者同士のリアルイベント「マンガナイト」。
漫画喫茶なのにUstremラジオ?「おさんぽ神保町」を店内から配信したり。
今で言うJIN即売会?の「ミニコミ紙フリーマーケットby模索社」。
ほかにも石ノ森章太郎プロと組んでトークショーをやっていたり、
ドラマや雑誌の特集ページの舞台になったりと…。(他にもこんなことしてます!はコチラ

「漫画喫茶」という枠をとうに超えている活動をされていて、いったいなぜ?と驚きました。

西川さんはもともとこの業界出身ではなく、飲食業に長く携わっていて、
以前はミシュランの星をとったこともある和食店の支配人をされていたとのこと。
漫画との関わりは、当時の経営者から経営難だったこの店の立て直しを手伝ってほしいと言われたのが初めてだったそうです。
売り上げは上向いたものの、前経営者が一身上の都合でやはり店を畳むと言いだしたのをきっかけに、西川さんが経営者となったのだそうです。

なぜ、既に成功している仕事があるにも関わらず、経営を引き継いだのか…。
「何があるって言われると難しいんだけど、潰しちゃうと二度と戻ってこなくなる何かがあるんですよ、ここには。」
とはご本人の談。その空気感は、お店に行ったりイベントに参加したりすれば分かるのかもしれません。

「それにね、一回だけの人生、やりたいと思った事はやっておいたほうが良いでしょ。」とも。

「色々やってきているのも、きっとがむしゃらだったからですね。壁に貼ってあるサインも僕が作家さんに直接体当たりでもらってきたりしました(笑)。個人的な宝物はコレです。」と、宇野さんのサインを見せてくれる西川さん。どうやら70年代アヴァンギャルドがお好きとのこと。

「何だか中野っぽいですね」と私が言うと、
「そういうカオスな雰囲気は、目指している部分です」と仰っていました。

そう言われて店内を見渡すと、久しぶりに「サロン」という言葉を思い出しました。
店内でやる様々なイベントでは、その道の強者が集まって、夜な夜な熱い議論が続くそう。
たぶん70′・80′年代に「アングラ」と呼ばれ、90′・00′年代に「サブカルチャー」と呼ばれていたもの。
その続きがここに息づいて、現在進行形で脈打っているのを感じて、また来よう、と強く思いました。

そして、そのパワーでいまや神保町の地域振興活動も牽引している漫楽園。
幸いなことに(?)今進んでいる企画は「神保町ハイボール」という、
なんとも神保町らしい、呑み好きには嬉しいサービス。

一人で漫画を読み耽りながら呑むか、噂の猛者と乾杯するか…。
いづれにしても、また週末がひとつ埋まりそうです♪。

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2011/02/10 11:00 | sp | No Comments