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冷たい小雨降る道を抜けて、
深夜の林道に入ると、
急に小雨がゆっくりと空から落ち始めてきます、
静かな森の中で小雨だけが音をたてず、
まるで生きているように森の中を自由に飛び回っています、
車のライトに照らされた雨粒はまるで雪のように幻想的です、
森の中では雨もいつもとは違って見えるようです、
パパ、
これ雨じゃなくて雪だよ、
夜中の林道で、
先程から車の窓の外に手を出していたママが隣で叫んでいます、
雪だ、雪だ、雪だ、
パパ、雪が降ってるよ、
パパ、奇麗だよ、
先週まで秋だったこの森にいつの間にか、
冬の季節が雪を連れて来たようです。
翌朝の森の中の、
雪が薄ら積もった庭に出て少しの間庭を見ていると、
家族で手入れした庭一面に、
柔らかくて暖かそうでしかも手触りが良さそうな、
白い毛布が優しくかけられています、
表面をビーズがばらまかれたようにキラキラ輝く、
冬の中で出番を舞っていた白い雪達のしわざです、
ナラの木の上で見つけた、
小さな宿り木の実の上にも白い帽子がかけられています、
遠くには子供達が生まれたときにクリスマスツリー用に買ったもみの木が、
すでに子供達の背丈をはるかに超える程に成長して、
庭で遊ぶ子供達を優しく見守っています、
森の中の静かな白い庭をしばらく歩き回り、
暖かい山小屋の中に戻ると、
いつの間にかママと子供達がキッチンで幸せそうな顔、
バター、卵、小麦粉、フルーツ、ナッツ、
暖かい山小屋の中でクッキーの生地を作っています、
平たく伸ばされたクッキーの生地は冷凍庫で眠らされ、
子供達がムーミンやピータラビットのクッキーの抜き型を手に持ち、
今か今かとクッキーの生地が程よい硬さになるのを待っております、
窓からは白い雪景色、
室内は暖かな薪ストーブ、
次第に山小屋の中にバターの香りが漂い始めました、
クッキーの焼ける匂いで山小屋が満たされていきます、
子供達は先程から待ちきれず、
粉まみれの手のままでオーブンの中のクッキーが色ずくのをじっと見守っています、
次第に部屋が甘く暖かいクッキーの香りで満たされて行きます、
雪の降った日の遊びは、
幸せを運ぶ香りで部屋中が満たされる
クッキー作りが一番のようです。