10日間ほど、シンガポール/マレーシアに来ております。
目的はまあ、出張のようなものなのですが、私の場合仕事とプライベートの区別があまりないので、”have fun”のために来ているということにしておきましょう。
昨日、あるレストラン・バーのシェフやバーテンダー達5人にsoxhletという蒸留法を伝授するワークショップをやりました。
バー部門は、世界のベスト10に入ると評価されています。
とにかく「クール」でカッコいい! のです。
Tippling Club
www.tipplingclub.com/
トップ・シェフのライアンは、友達の友達。前回シンガポールに来たとき、2011年秋に初めてお会いしました。少し言葉を交わしただけですが、すぐにインスピレーションを感じ、「何か一緒にやろう」という話に。
まずは私の持っていた経験と技術が役に立つということがわかったので、1年半くらいかけてコツコツと道具や器材を準備してあげました。それをスーツケースに詰めて、シンガポールに飛んできたというわけです。
「これで何が抽出できると思う?」
「フレッシュミントは?」
「いや、乾燥したものの方が向いていよ」
「じゃあ・・・まずこの専用の乾燥機で乾燥させるのはどう?」
「何それ?」
「普通乾燥させるとき、水分とともに精油分が揮発してしまうけど、この機械だと精油分を残しておけるんだ」
「へえ! それならだいじょうぶかもよ。試してみてよ。」
「kombuとかkatsuoとか、どうだい?」
「いいんじゃない? shiitake なんか最高だね」
「ショウガの花は? これだけど」
「うーん・・・このシトラスっぽい香りは熱に弱いからなあ。冷たいアルコールと一緒にすり鉢で擦るしかないんじゃない?」
そんなオタクな会話が飛び交いました。
2011年秋にはじめて食事したときにもらった感動やインスピレーション分は、お返しできたかな!
それだけすごい体験だったのです。「やり返してやろう!」と思うほど。詳しくはこちらに書いていますので、どうぞ。
http://makiueda.blogspot.sg/2011/12/blog-post.html
シェフ達はひとりひとりが得意技を持つ職人。料理に情熱を注ぐ、目が真っ直ぐな方達です。
このレストラン Tippling Club の調理場はまさに化学実験室。そう、化学的な調理法である「モレキュラー・ガストロノミー」の有名レストランなのです。この言葉は少しずつ日本でも認知されてきつつありますが、レストラントなると殆ど存在しないのが現状です。
シンガポールは先進国の先を行くといっても過言ではない国です。実際、日本に帰ってくると「ああ、、、なんか後進国に帰ってきたなあ」と感じるほど。
過去の伝統と文化を切り捨て、前に前に進んできた国です。なんでも新しい事には貪欲。だからこそ、私のような者が必要とされているのかも。
今晩は、また別のモレキュラー・ガストロノミーの有名店(デザート専門)でのアポです。月曜日は、Tippling Club にて、レストラン関係者達と会食。
シンガポール・グルメを楽しみつつ、その「未来系」を作るお手伝いができるなんて、ほんとうに光栄です。