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こんばんは、酒井孝祥です。
以前、個人的なサイトで、アルバイトの配膳ネタを沢山書いていたら、同じバイトをしている大先輩の俳優さんから、
「バイトのことなんか話題にしないで、役者なんてなぁ、“どうやって生活してるの…?”と思わせておけばいいんだ。」
と言われたことがあります。
確かにそうではありますが、現実問題として、アルバイトをしなければ生活出来ない役者さん…というよりも時間的にはアルバイトの方が生活のメインになっている役者さんの方が、そうでない役者さんよりも圧倒的大多数であることは事実でしかありません。
そして、いかにして融通の効くバイトを見つけるかどうかというのは、役者としての活動を続けるにあたって非常に重要なポイントとなります。
役者を目指して東京に出てきて養成所に通い始めた…なんていう人は、もちろん、養成所のレッスンをきっちりこなすことが生活の最優先ですが、レッスンに支障がなく、なおかつそれなりに収入のあるバイトを見つけられるかどうかが、今後の道を左右しかねます。
バイトを見つけるにあたって、まず第一のポイントは、そのバイトに拘束される時間が、レッスンや稽古と重ならないか…
そして第二は、本番や稽古などで長期に休暇を取ることが認められるのか…
第三に、突発的にオーディションなどが入った場合に急遽欠勤することがどれだけ許容されるのか…
その三つがクリア出来て初めて、労働のジャンルや給与面など、仕事そのものの内容を選ぶことが出来ます。
実は、夜のお仕事が丁度良いという説があり(稽古などが深夜に及ぶことはあまりなく、給料も良いため…)、あるベテラン演出家がキャバクラに行ったら、店の女の子達に劇団の研究生などが多く、折角お店に来たのに仕事の世界に引き戻されて幻滅したなんて話を聞いたことがありますが、実際どうなのかよく知りません。
もし本当にキャバクラに勤めている役者志望の子が多いのであれば、そのうち笠原さんが「役者志望の女の子」をテーマにコラムを書いてくれるでしょうか?
水商売系でなくとも、24時間営業をしているコンビニや牛丼屋、スーパーや、朝まで営業している居酒屋やカラオケボックスなどで、稽古終了後の深夜以降の時間でバイトをするという方法もあります。
ただし、体力面ではきついかもしれません。
時間の融通面で言えば、登録制のバイトに勝るものはありません。
僕は随分長いこと、配膳会という、平たく言えば、プロのウェイターを派遣する組織に登録して、あちこちのホテル、宴会場、レストラン、結婚式場で仕事をしましたが、僕が登録した配膳会の場合、1週間単位のシフト提出で、何時から何時までと細かく時間を指定して仕事の希望を出すことが出来ました。
1週間に何日以上働かなければいけない…という様な縛りも一切ありませんでしたので、働けるときに働くという感じです。
しかも、仕事が確定するのが前日であるため、最初はシフト希望を出していなかったけれど、やはり働けることになったという日があった場合、電話1本で、「やはり入れるようになったのですが、仕事ありますか?」と尋ねて、仕事があればそのまま働くことが出来ました。
(※あくまで一例で、全ての配膳会がそうとは限りません)
しかし、配膳会の場合、仕事があるときとないときの差が激しいというデメリットがあります。
特に平日の夜と土日の終日が忙しいという仕事なので、丁度芝居の稽古などが入りやすい時間と重なります。
配膳会が暇なシーズンに平日夜間と土日メインで芝居の稽古が入ったりすると、まるで働けなくなる危険性もあります。
配膳会に限らず、時間の融通面は最高で、給料もなかなかであるものの、働きたいときに常に仕事があるとは限らないのが、登録制バイトです。
働きたいときに常に仕事があることを望むのであれば、登録制であちこちの現場で働くよりも、1つの勤務先に固定した方が良いでしょう。
ただし、そうなると時間的な縛りが強くなるのはやむを得ないことであり、長期に休むことを理由に解雇されてしまう恐れだってあります。
前述の第三の条件として述べた様な突発的な欠勤などは、役者活動とは関係のない病欠と変わらないといえば変わりませんが、その職場に大きなダメージを与えることになり得ます。
東京に出てきて一人暮らしをすれば、アルバイトで生計を立てるのはどうにも厳しく、かといって、正社員になったら稽古に参加するのが難しいです。
(正社員をやりながら芝居をやっている人もいますが…)
その中間で、派遣社員になるという手もあります。
もちろん拘束性は厳しくなりますが、有給なども発生しますので、有給や夏休みなどをうまく利用すれば、稽古や本番の期間を問題なく空けることが出来るかもしれません。
あと、個人的にお勧めなのは、コールセンターです。
土日も営業していて、さらに24時間営業だったりするところが望ましいです。
何かと条件が良く、役者の技術ではっきり喋ることが活かせます。
お客さんに顔を見せない電話応対だと、髪型なども比較的自由な可能性があります。
僕はやったことがありませんが、条件が良い仕事として耳にするものに、葬儀屋さんですとか、介護施設、ポスティングなどがあります。
いずれのアルバイトにしても、最もキーポイントとなるのは、雇う側の人間にどれだけ理解力があるかと、その人達といかに良好な人間関係を築いていくかだと思います。
舞台でも何でもそうですが、大切なのはいかに良い人と巡りあって、繋がっていくかということに尽きるでしょう。
次回は、「司会者の一番の聴かせ場」(ブライダル)をテーマにしたコラムをお届けします。