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2012/09/21

皆さん、おはようございます。
秘儀秘儀といいますけど、
実はそんなにもったいぶるようなことなんて、
世の中にはそうそう転がってないもんです。
秘儀だの秘伝だのという言葉は、
正直なところ、権益保護のためにあると考えています。

私だっていくつもの秘伝を持っています。
音楽に関することで、
自分で勉強して見つけ出したことなんて、
なかなかに多いものです。
例えばある作品について、資料批判から見出したことなど、
オペラ一本ともなればそれなりにあります。

私はそれらを出し惜しみしないし、
いくらでも教えますし、よく演説してます。
しかし、よく考えてもみて下さい。
それらの情報は、私にとっては決定的なことでも、
他人にとっては参考資料にしかならんのです。
なぜなら、その人の演奏はその人にしかできないから。

では、なぜ参考資料にしかならないことを出すのかというと、
出さなければ参考資料にもならないからです。
どんな情報であれ、それが外的な刺激です。
その刺激を受けて、どう噛み砕き、どう表すか、
取捨選択も含めた結果が、その人の個性というものです。

これは音楽のみならず、宗教でも同じですし、
他の技術でも同じではないかと思います。
このような情報を秘匿することで、
重要視していることにする人もいるのでしょうが、
私はむしろ、重要と信じ、重い物だと思うがゆえに、
逆に広く知らしめたい、と考える人間です。

実は、秘儀、秘伝といえるようなものがあるとすれば、
それは各人がそれぞれの個性に従って、
これらの情報を咀嚼し、成長していくところにあるのです。
まだ器がない者には香りだけでも、
器のある者には実践で使える情報を、
私は撒き散らし続けて今生のライフワークとするつもりです。
そのためにこそ、オペラを扱っています。

2012/09/21 02:35 | bonchi | No Comments