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2010/12/26

 
例年どおり極度にクリスマス色の薄いクリスマスのフィルコです。こんにちわ。

しかし決してクリスマスが嫌いなわけではありません。
大人にはいろいろあるということです。

・・・ほ、ほんとなんだから。。い、忙しいだけなんだから。。

あ、あれ?涙が止まらない。。
というわけで、

クリスマス前の12月23日にここ行ってきました。

『FREESTYLE BASKETBALL BATTLE 日本一決定戦』

final.jpg

JunkStageの読者の皆さんはご存知かと思いますが、おなじバスケカテゴリでコラム「JKT」を書いているTOMA君が出場するってことで、応援に行ってまいりました!!

TOMA君はフリースタイルバスケの人で、しかも2009年大会優勝チーム「JKT」の代表です。
 
 
■日本一決定戦
 

ん?「フリースタイルバスケって何だ?」ってか。

百聞は一見にしかず。コレをみれ。

JKTパフォーマンス動画 : 2010 -the fusion-
Tamaパフォーマンス動画 : TAMA
神風パフォーマンス動画  : KAMIKAZE
  
一言で言えば、バスケの技とダンスを融合させたパフォーマンス。アパッチだと#11康平が得意ですよね。

決して「コービーは5歩歩いてもトラベリングをとられない」とか「野生的で開放的なディフェンスを、全裸で」とかそういう意味での「フリースタイル」ではないので諸兄にはご注意いただきたい。bjリーグの試合でもよくフリースタイラーが出演したりするので、なんとなく知っているという人も多いと思います。

ま、かく言う私もクラブやイベントに出演するパフォーマーとしては知っているけど、フリースタイラー中心の視点で見た事はなかったので、今回は本当に沢山の発見がありました。いやMAJIDE(マジで)。

今大会は、東日本大会、中部・関西大会、四国九州大会を勝ち抜いた個人による個人バトルと、チームエントリーによるチームバトルの二部門で日本一が争われました。
まず、ザっと結果を言ってしまいましょう。

2010年12月23日開催

『FREESTYLE BASKETBALL BATTLE 日本一決定戦』 at 新宿FACE
 
 
≪チームバトル≫

 決勝: JKT(東京:2009優勝) VS MSDK(静岡)

 優勝: MSDK(静岡)
 
≪個人バトル≫

 決勝: 神風(2008・2009優勝) VS Tama(当日予選通過選手)

 優勝: Tama(当日予選通過選手)
 
 
TOMA君率いるJKTは、残念ながら決勝で負けてしまいました。

実は、私自身は直接TOMA君と話したことが無かったので、試合後に会場で声をかけようと思ってたんですが、、それはしませんでした。理由は後ほど。

個人戦でも2連覇中の若きカリスマ「神風(カミカゼ)」を、当日予選から勝ち上がったTamaが破り初優勝するなど、どんどん引き込まれてしまうドラマがギュッと凝縮された、とても「濃密」な大会でした。

正直、凄かった。
 
 
■濃密な空間
 
「濃密な」というのは、作りこまれているとか、完成度が高いとか、そういう意味ではない。会場がクラブなのでそれなりの雰囲気はあるものの、大会自体は非常に手作り感満載で、とても素朴なものだと感じました。バスケ全体もそうだけど、一般的に認知されているものではないからね。。

ではなぜ「濃密」か。それはまぎれもない「懸けた全て」が集まっているから。

参加している選手達は皆若く、最年長でも29歳っていったかな?。(そんなとこにも本当に新しく始った分野なのだなぁと感じる。)その若い選手達が、本当にこの大会に全てを懸けているのが、ひしひしと伝わってきた。

選手達は、だいたい高校生も含む学生・社会人で、フリーターもいるだろうか。ダンスパフォーマンスの全てがそうとは言わないが、ことフリースタイルに関して言えば、これは相当な鍛錬を積まなければモノにならないジャンルです。睡眠以外の全ての時間をこの鍛錬に費やすぐらいの事をしなければ、まずこの日本一決定戦の場に出るレベルには達しないことは容易に想像できます。

バスケの基礎であるボールハンドリングは、一日でもサボると格段に感覚が鈍る。そこは楽器と一緒。それをパフォーマンスの域まで磨き上げながら、彼らはさらに様々なダンスのためのスキルと体力を築かなくてはいけない。

学生の頃、先輩から「プロレスラーとダンサーとだけは喧嘩するな」と教わったぐらい、ダンサーの体力・身体能力というものは、それは凄いもんです。

みんな一日が24時間ではまったく足りないだろうなぁ。

jkt2010.jpg
Photo: JKTの決勝パフォーマンス 直前

チームバトルは、決勝に先立ち3チームによる準決勝が行われました。一通り全てのパフォーマンスが終わった後、決勝に進むチームの選考を行うため、リングの上に全てのチームが集められた。

大会委員長より決勝進出チームの名前が呼ばれる。まず1チーム目は、「MSDK」。
ムーブメントの初期から頑張っている3人組が、歓喜の声を上げる。

残るは1チーム。名前が呼ばれるまでの数秒の沈黙の間。TOMA君は震えていました。

黒いパーカーのフードを目深にかぶり、だぶだぶのスウェットを着ていたから、気付いていた人はどれぐらいいただろうか。私は座った席がたまたまよく見える場所でしたから。

手を組んで祈りながら、彼は震えていました。
 
本当に本気で懸けたものでなければ、あの震えは来ない。
生きるか死ぬか、究極の緊張は、来ない。

誰に頼まれたわけでもなく、やらされているわけでもなく、金儲けが出来るわけでもなく、人によっては後ろ指を指されながら、それでもこれに全てを懸けている。

理由はただ一つ。好きだから。

そりゃ濃密なわけですよ。全国から本気でこれに懸けている馬鹿が集まって、たった一つの名誉を争っているんだから。馬鹿同士はにおいで分かる(笑)

そんな場所で敗れたばかりのTOMA君に話しかけることは、いかに厚かましさ日本ランク4位のワタクシとはいえ、遠慮することにしました。 
 
 
■歌舞伎町の真ん中で目撃したとてもうつくしいもの

今大会の会場は、新宿は歌舞伎町、元のコマ劇場前にあるビルの7階のクラブ「新宿FACE」。歌舞伎町はほんと久しぶりに足を踏み入れた。

大会は13時にスタートし、個人バトルの決勝が行われたのは17時半ぐらい。あっという間でした。

先に結果を述べたとおり、決勝は2連覇中の若きカリスマ「神風」と、当日予選(※)から勝ち上がったTamaの一騎打ちでした。

※)当日予選は、予選敗退やシード外選手の敗者復活枠。
 
神風はカナダ人ハーフの超絶イケメン。長い手足と高いダンススキルに裏づけされたパフォーマンスは、華麗かつ豪快かつアホ。ユーモアも兼ね備えたフルスペックの完璧なカリスマは男女問わず絶大な人気を誇る。2008・2009年と2連覇を成し遂げ、今大会も予選、準決勝とケタ違いのパフォーマンスで勝ち上がった。

一方のTamaは、朝10時からの当日予選から参戦。何度も何度もパフォーマンスを繰り返し体力的もほぼ限界に近い状態。しかし「気合い」でギリギリの戦いを生き抜き、決勝まで勝ち残った。

Tamaのスタイルは『トリプル・ボール』

ありていに言えば、ボール3つを同時に扱ってパフォーマンスする、ジャグリングに近いスタイル。トリプル・ボールスタイルは殺人的に難しい上に「客ウケはいいけどバトルでは不利」と言われる。失敗のリスクが高い上にパフォーマンスとしての芸術性を出しにくい。それでもトリプルボールにこだわるこの使い手は、いわば職人だ。

決勝の舞台。30秒×2本のパフォーマンスで争われる最後のバトル。
試合前、会場の空気を支配していたのはあきらかに神風。

リングを見下ろす神風の涼しい眼。朝からの連戦で限界に達している疲労。そして「空気読めよ」的な会場の無言の重圧。

Tamaはそれらのプレッシャーの中、素晴らしい集中力で持てる全ての技を繰り出し、「ノーミス」でパフォーマンスを終えた。

そしてその瞬間、神風の眼を見据え、吼えた。

空気が変わる。

神風、最後のパフォーマンス。スキル・構成・完成度の全てにおいて、素人目にも明らかに神風が勝っている。圧倒的とも言える。そこは予選と変わらない。しかし、何かが違う。あれだけノビノビと楽しそうだった表情から、一切の余裕が消えていた。

いつもならば目をつぶっていても、無意識であっても難なくできるだろう技で、ミスがでる。ミスが焦りを呼び、またミスを呼ぶ。王者は、飲まれた。

全ての試技が終わり、審査員団はフルマークでTamaの勝利を告げた。

職人の意地が見せた、見事な気合勝ちだった。
 
tama_win.jpg
Photo: Tama 勝利の瞬間

 
決勝の後、全ての選手がリング上に上がり、記念撮影が行われました。弾けんばかりの笑顔のもの、泣いているもの、目を真っ赤にしながら、それでも会場に来てくれた応援者に感謝の挨拶をして回るもの、それぞれの背景と同様、様々な様相でありましたが、一つの風景として言えば、これ以上に明るく楽しく、美しいものもそう無いなぁ。と感じました。

こう言うと、とてもオッサンくさくなってしまいますが、

若者が本気で全てを懸けるということは、本当に美しいものだなぁと。

 
クリスマスの歌舞伎町で、こんなに美しいものに出会えるとは思っていなかったので、行ってよかったと心から思いました。

フリースタイルバスケは、どちらかといえばストリート系文化の範疇にあり、そのアンダーグラウンドな雰囲気で食わず嫌いをしている方がいましたら、もったいないので食べてみると良いですよ。

ぜひ。
 
 
こんな素晴らしい大会に引き合わせてくれたTOMA君、ありがとう。
落ち着いたら飲みましょう。ぜひぜひ話が聞きたいです!
 
 
あ、読み返したら、なんかオレ神風を悪者っぽく書いてる気がするけど、それは違うからね。注意です。

イケメンは基本的に無差別で敵ですが(笑)。神風君はその範囲にあらず。

彼のシューズ、参加選手の中の誰の物よりも使い込まれボロボロで、それでもよく手入れはされていて、靴裏にはすり減って空いた穴を修繕した跡もありました。

クールで楽しい華やかなスタイルの裏で、相当な努力を積み重ねているってことです。オレなんか口だけ大将だからそういう人は本当に尊敬します。実際周りの声を聞いていると本当に良いヤツで、慕われているみたいですね。

そういうヤツは、必ず成功します。
ジャンルは分からんけど、遅かれ早かれどっかにピックアップされるでしょうね。

 
しかし、バスケは広いなぁ。いやMAJIDE(マジで)。
 

2010/12/26 01:57 | filco | No Comments