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2012/09/02

先日、熊本市現代美術館で開催されている
篠山紀信展「写真力」に子供と二人で行って来ました。

その日は篠山さんと熊本出身の宮崎美子さんのトークショーがあり
黒山の人だかり。
なのに運よくというかちゃっかりというか
子供共々一番前で見るコトが出来ました。その上握手まで^^
篠山さんはとてもユーモアがあり気どりが無く
芸術家の人が持つ独特の色気がありました。
この色気は創造する時に欠かせないエッセンスなのでしょうね。

私が篠山紀信という名前を初めて目にしたのは今から30数年前。
当時私は14歳の中学二年生でした。(年齢がばれてしまいますね・笑)
ジョンレノンが射殺されたのをきっかけに
一気にジョンとビートルズに傾倒していったわけですが
それから数日後に買った遺作のダブルファンタジーのジャケットが
あまりに切なく美しく(遺作の帯が付けてあったので余計に)
それを撮影したのが篠山紀信であると知った私は
一体どんな人なんだろう…と想いを巡らせたのを覚えています。

と…前置きがかなり長くなってしまいましたが
今回のこの篠山紀信展「写真力」は
国内の公立美術館で初めて開催される大回顧展です。

中に足を踏み入れると、そこには畳一畳から二畳ほどの巨大な
ポートレートが展示してあります。

そこにはジョンレノンや三島由紀夫といった故人たち、
宮沢りえやAKB48など現在も活躍中の有名人たち、
ミッキーマウスや全身刺青の男衆に歌舞伎俳優などなど
これまで撮りためられていた数々の写真がテーマ毎に分けられており、
私はその迫力に圧倒されながらも
一枚一枚じっくりと写真を眺めて行きました。

そして最後のブースに入った時でした。
テーマは「accident」とあります。
そこには震災の被害に遭った人たちの写真が展示されていました。

70代くらいのお婆さん、若い夫婦、兄弟らしき子供たち…
年齢性別は様々ですが、共通するのは背景にある瓦礫の山。。
そしてもう一つ共通する点がありました。
一見普通のポートレートで、中には笑顔を浮かべている人さえいます。
しかし震災に遭われた人たちが味わったであろう
悲しみ、怒り、絶望、不安、やるせなさ…
それらの感情が痛いほど突き刺さるように私に伝わって来て
思わず涙が溢れてきた私は
それ以上そこにいることが出来なくなってしまい
何とも言えない気持ちでそこのブースを後にしました。

しかしそこには映像や文章では決して伝えることの出来ない
独特の訴える力というものが確実に存在していたのです。

その一瞬に込められた言葉には表せない複雑な思いを
見事に閉じ込め永遠に出来る写真の力に
私は改めて感動せずにはいられませんでした。

10月からは東京で展示会があるようなので
機会があれば皆さんも是非足を運んで感動を味わって下さい。

2012/09/02 12:53 | kimiyo | No Comments