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さて、火山災害にはどのようなものがあるでしょうか?
一番記憶に新しいものは、1991年の雲仙普賢岳の噴火です。
火山が噴火する、または、噴火しそうだから避難する。
火山が噴火すると、様々な噴出物が放出されます。
家が火山に近い、または、島全体が火山である場合は、噴火による被害を大変受けやすいです。
マグマが流れ出し森林火災が起きる。
噴出物が堆積して家が埋もれる。
比較的、想像しやすいかと思います。
ただ、ここで注意してほしいことがあります。
映画などで火砕流やマグマから走って逃げるシーンをたびたび見ることが出来ます。
※火砕流とは…火山現象で生じる、火山ガスと噴出物からなる空気よりもやや重い密度流の事。温度は数百度以上の高温。
しかし、たいていの場合走っては逃げることは出来ません。
火砕流のスピードは約100km/時(約27.8m/秒)という非常に速いスピードで斜面を流れ下ります。
比較までに、雪崩・津波・チーター・100m競走の速さです。
・雪崩(表層雪崩の場合)…約100~200km/時(約27.8~55.6m/秒)
・津波(水深が100mの場合:津波の速さは水深に比例)…約110km/時(約30.6m/秒)
・チーター…約110km/時(約30.6/秒)
・100m競走(2009年のウサイン・ボルト選手)…100m:9.58秒(約10.4m/秒)
したがって、どんなにボルトさんが同じスピードで走っても、たちまち飲み込まれてしまいます。
さらには、危険なのは火山周辺だけというわけではありません。
約9万年前に阿蘇山が噴火した時の火砕流は、遠く離れた山口県でも発見されています。
つまり、極端に申し上げますと、九州全土と山口県の一部は焼き尽くされてしまったことになります。
大量の火砕流を発生させた噴火は、大量の火山灰も降下させます。
この火山灰も日本全国で発見されています。
噴火の規模が大きいと被害も大きくなるのです。
1792年の雲仙普賢岳での噴火は“島原大変肥後迷惑”と呼ばれています。
この災害は名前にあるように、島原(現在の長崎県)で起こった火山性地震およびその後の山体崩壊(島原大変)と、これにより引き起こされた島原や対岸の肥後(現在の熊本県)を襲った津波(肥後迷惑)による災害です。
この噴火による死者・行方不明者は15000人に及び、有史以来日本最大の火山災害となっています。
火山から噴出された、火山灰も火山災害を引き起こします。
例えば、1982年にジャワ島付近を飛行中のボーイング474。
4基すべてのエンジンが一時的に停止するトラブルに見舞われました。
火山灰は細粒なので、計器に詰まる恐れがあります。
火山灰により、視界も悪くなります。
しかし1番厄介なことは、火山灰は“火山ガラス”と呼ばれるガラスの粒子を含んでいることです。
以前の記事でお伝えしたように、火山灰はマグマの結晶です。
マグマが急冷されたら火山灰であり、火山灰に熱を加えるとマグマです。
※ものすごーーーーーく極端に言っていますし、マグマまでは戻りません(汗)
火山灰が飛行機のエンジンの高温で溶けて、様々な部分に張り付き損傷を与えるのです。
火山灰は天候にも影響します。
1815年にインドネシア・タンボラ山で起きた大噴火。
この影響で、北半球は“夏のない年”を経験しています。
火山灰のために、数日間暗闇が続き、田や畑に火山灰が降下・堆積し壊滅的な影響を受けました。
火山灰の降下がない地域でも、異常低温や長雨により不作・食糧不足に陥りました。
この他にも、1783年にアイスランドで起こった大噴火。
その翌年に、ニューオリンズのミシシッピ川が凍り、フランスでは農作物に深刻な影響を与えました。
これが、1789年から始まるフランス革命の要因とも言われています。
日本で起きた“天明の大飢饉”。
これは1783年の浅間山の噴火と重なって冷害が発生したためだと考えられています。
火山からの噴出物の中には“火山ガス”も含まれます。
火山ガスの主成分(90%)は水蒸気(つまり、水です)ですが、二酸化炭素・硫化水素・二酸化硫黄なども含まれます。
火山ガスは気体なので目に見ることが出来ませんし、二酸化炭素は無臭でもあります。
火山ガスは、噴火という目に見える形でなく、火山ガスのみを噴出する火山も多数あります。
噴出されるのは火口からだけでなく、火山周辺なら岩石と岩石の隙間などどこでも発生します。
スキーヤー・登山者・観光客など、火山ガスの犠牲になっています。
さて、上記の様に様々な火山災害をお伝えしました。
どんな火山災害が起こるかは、それぞれの火山のマグマの粘性(粘り気)に依存します。
例えば、粘性の弱いマグマは火山ガスが抜けやすいので、比較的穏やかな噴火となります。
一方で、粘性の高いマグマの場合は火山ガスが抜けにくく地下のガスの圧力も高くなるので、噴火の爆発力が大きくなり火砕流などが発生しやすくなります。
様々な技術が進歩した現代ではありますが、まだまだ噴火を予知することは難しいのが現状です。
日本では、現在活動している火山を様々な方法を駆使し24時間体制で観察しています。
本格的な噴火が始まる前兆現象を捉えることが出来れば、事前に警戒情報を発表することが出来ます。
2009年の浅間山の小規模噴火の時には、前日に気象庁から警報が出ました。
数件の例とともに、いくつかの火山災害を記述しました。
火山の噴火は、火山大国である日本でもなかなか遭遇しません。
まして、火山活動が活発な地域は限られています。
忘れやすい災害ではありますが、この記事をきっかけに記憶の隅にでも留めていただけると幸いです。
今回は、火山の悪口ばかり書いたような気がします…
と言うことで、次回は火山・火山灰による恩恵についてお話ししたいと思います。