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2012/04/03

地球の舳先から vol.232
番外編

パスポートがもうすぐ切れる。
2014年3月5日。

2014年、というと随分先のような気もするが、多くの国が渡航時に6カ月の残存期間を
要求するため、実質的には2013年の9月くらいがリミット、と考える必要がある。
すると、あと1年ちょっとでパスポートが切れることになる。
社畜、違、サラリーマンなわたしは、あと3~4回しか長めの旅に出るチャンスが無い。
わたしの旅のディスティネーションはいつだって予定通りにはいかないのだが
それにしても、そろそろ計画的な行動が要求される。

2004年、キューバに行く際に、10年パスポートに切り替えた。
観光で行けばパスポートにスタンプが押されないのだが、留学だったのでビザがべったり。
おかげでアメリカ本土に出入りできなくなった、という話はこのコラムでも何度か書いた通り。
そのときわたしは、「どうしよう…」と思うよりも、
「アメリカに入れなくたっていくらでも世界中旅行は出来るやい」と息巻いた。

そして、それはおそらく正しかった。
キューバ、グアテマラ、ベリーズ、メキシコ、カナダ、モンゴル、韓国、台湾、インド、ブータン、チベット(自治区)、ネパール、ベトナム、ラオス、タイ、グアム、東ティモール、インドネシア、オーストラリア、UAE、イエメン、マダガスカル、フィンランド、フランス、UK、クロアチア、セルビアモンテネグロ(当時)、イタリア…
わたしは周遊という旅があまり好きではないので国数こそ大したことが無いが
ずいぶんといろんな(脈絡の無い)旅をしたなあ、と思う。
そして、アメリカへ入れなくて不自由を感じた記憶は、ない。

だが、これも何度もこのコラムで書いているが
国境を越えるということは、ひとつの見方としては“政治行為”である。

今度パスポートを作るときにはごりごりにIC化対応しているはずだし、
「ヤバい国にはこの古くて汚れたパスポートで行っておこう」とは、ずいぶん前から思っていることだ。ヤバいというのは危険とか治安が悪いとかいう意味ではなく、外交的に
「この国のスタンプがあるとどこそこの国には入れない」という可能性が出てくる国のことである。

その基準からいえば当然、真っ先に照準を定めたのはイスラエルである。
そもそも嫌米のわたしはあの六芒星を見るだけで目がぱちぱちするのだが
今は、かつて自衛隊がPKO活動を展開していたゴラン高原にも行けるという。
「何もないですよ…」と言われたが、何もなくても見たいのだ。
パレスチナ自治区にも入れるとのことで、個人旅行を請け負う日本のエージェントも見つけた。
しかし、イスラエルはできる限り「最後」に回さなくてはならない。
イスラエルに行った時点で、ロックがかかってしまうからである。
(ちなみに、陸路で行けばノースタンプがリクエストできたり、
 係官によっては空路でも頼めば押されないという説もあるが、あくまで説だ。)

それまで、どこへ行こうか? と思案していたところ、
なりゆきの風が吹いてきて、5月と8月の行き先はすぐに決まった。

5月は、イランへ行く。
日本にいる限り米国サイドの情報(もちろんそれは世界に向けた米国のPR活動・キャンペーンという側面もある)が垂れ流されてくるばかりのため、正確な情報収集はできない。
しかし既定路線でいけば、早くて数ヶ月、長くてもここ2年程度のスパンのうちには、観光で気軽に立ち入れない状況には突入するのだろう。
そんな矢先、大学時代の友人がテヘラン勤務に転勤という都合の良すぎる事態が起き、わたしはそれを聞いた瞬間にイランへのA.S.A.P.(As Soon As Possible)での渡航を決めた。

8月の渡航先については、まだ安易に言える状況にはないので
これから、情報を収集していく予定であるが、中東の真ん中。
そんなわけで今年は中東祭りになる予定。

と、イランへ行く前に、今週末は被災地を再訪する予定でいる。
ところで、「被災地」という言葉の印象と、わたしが実際に被災地とよばれる地で会ってきた人々との印象がまったくつながらないために、このコラムでは「復興途上地」と呼び名を変えたいと思う。

というわけで来週からは全8回予定で、「復興途上地をゆく」編をお送りしたいと思う。
それでは皆さま、アディオース。 行って来ます!

2012/04/03 07:00 | yuu | No Comments