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こんにちは。前回に引き続きタモンです。
今日、起きたら雪が降っていました。
朝よりも今のほうが本格的になっている気がします。寒い。
前回、大河ドラマの感想が長くなってしまったので、第7回を見て面白かった箇所3点のうち2点目までで区切りました。
今回は3点目からです。前回と同じく、箇条書きなので文体を「である調」にします。
3、頼長・忠実・忠通の眉毛!!
3人で話し合っている場面があった。めっちゃインパクトあるわ~。「麿まゆ」はすごい。それらについての衣装さんのこだわりは、大河ドラマホームページで窺い知ることができる。
(http://www9.nhk.or.jp/kiyomori/special/cd/09/01.html)
この眉毛がギャグにならないのも、3人の怪演が光っているからだろうな。
ドラマでは、超神経質な頼長が描かれていた。様々なことが乱れている朝廷内を粛正しようと意気込む彼の姿が全面に押し出されていた。
山本耕史は、潔癖な男気があって野心溢れる頼長というキャラクターをきちんと演じていたんじゃないだろうか。
実際の頼長も相当奇天烈な人だったようで、『今鏡』には「「何事もいみじく厳しき人にぞおはせし。(中略)公事行ひ給ふにつけて、遅く参る人、障り申すなどをば、家焼き毀(こぼ)ちなどせられけり。」とある。
頼長は何事にも厳しい人で、遅刻した貴族の家を焼き払ったというのだ。
……嘘!?という厳しさだな。
当時の貴族の風紀が乱れていたための措置だったと伝えられている。
つまり、めっちゃざっくり言うと、貴族たちは仕事は真面目にしないで遊んでばっかりだった。
頼長は悪左府(あくさふ)と呼ばれていた。「悪」は「能力・気力・体力などがずば抜けている」の意。なんといっても、1136年、彼は17歳で内大臣となったことが特筆に値しよう。その才は「日本第一の大学生、和漢の才に富む」(『愚管抄』)と評されるほどのものだった。恐ろしく勉強ができたらしい。彼は、中国の制度を勉強して貴族社会の改革の断行に臨もうとする。
1136年、清盛は18歳だった。
頼長の母は、忠実の家司(けいし・親王、摂関以下三位以上の家々の庶務をつかさどる職)藤原盛実の娘。頼長はいわば妾の子である。兄・忠通(頼長より23歳年上)はきちんとした家の母(右大臣源顕房女従一位師子)。
父は、兄忠通よりも才能ある弟頼長を愛した。
これが3人の不協和音を誘引することになるし、保元の乱の遠因ともなる。
ところで、藤原頼長が一般的に最も知られていることは、
彼の男色(癖?)
ではなかろうか。
彼の日記『台記(たいき)』は、男色の記録が多くみられることで知られる。
いわゆる腐女子にもファンがいるみたいだ。
中世を勉強していると本当に男色関係の記事が多くあることに気付く(まあ、近世もだろうけど)
一見、現代的な感覚からするとわからなくても、実は…という記事も多い。
たくさんそんな記事を見過ぎたせいか、もう男色に関するどんな記事を見ようが絵巻を見ようが、特に驚きはしない。
それでも、頼長の『台記』の記事はインパクト大である。
簡単に『台記』の記事から一部列挙してみた。
1、康治元年七月五日 今夜於内辺会交或三品(件三品兼衛府)、年来本意遂了。
意訳:今夜、衛府三位と会って交わる。数年来の念願を遂げる。
2、同年十一月二十三日 謁或人(彼三位衛府)、遂本意、可喜ヽヽ。不知所為。更闌帰宅、与或四品羽林会交。
意訳:衛府三位と思いを遂げる。とても嬉しい。深夜に帰宅してから、近衛四位とも交わった。
3、天養元年十一月二十三日、深更向或所(三)、彼人始犯余、不敵々々。
意訳:深夜、彼が初めて私の上になる(彼は初めて私を犯した)。なんと不敵なことよ
4、天養二年一月十六日 彼朝臣漏精、足動感情、先々、常有如此之事、於此道、不恥于往古之人也。
意訳:彼が精を漏らすさまに感動する。いつも彼はすばらしく、先人と比較しても全く恥じるものがない。
5、同年一月五日、今夜入義賢於臥内、及無礼、有景味(不快後、初有此事)
意訳:今夜、義賢(木曽義仲の父)と床に入る。彼は私に無礼をしたが中々よかった(腹は立ったが、初めての事で意外と気に入った)
人名はボカしているものの、男色関係が赤裸々に書かれている。
…あまり詳しくないが、ボーイズラブ?的な人気もあるみたい。
それにしても、漢文って妙に艶めかしいというか生々しいというか。
ちなみに頼長には妻がいる(8歳年上の姉さん女房)。
4・5は…。具体的なことはご想像におまかせします。
当時の貴族は、女性との関係だけでなく、男性間で肉体関係を持つことが広く行われていた。
ただし、日記に書くような変な趣味を持っていたのは頼長だけ。
あ。当時の日記は、現代のようなプライベートなものではなく、公的行事について私的心情を入れずに真名(漢文)で記録するものであった。だから紀貫之の『土佐日記』は「女もすなる~」と平仮名で書かれたことが画期的だったのだ。
男色にもさまざまな関係性があって、
たとえば、
●恋愛(のような)関係を結ぶもの。これは対等の関係。
●妻の兄弟と関係を持つことで政治力を高める効果を狙った関係。頼長は特に妻の家族中心に男色関係を結んでいる。
●主従で肉体関係を持つもの(武士の乳兄弟なども広く行われていたようだ)
●稚児・舞童などの少年と関係を持つものもあった(白河院・鳥羽院の寵童趣味はよく知られている)。
頼長は、秦公春という随身(従者)が大のお気に入りだった。「無二に愛し寵し」たと評されるほどで、公春亡き後、『台記』には彼の死を悼む長大な記事が記されている。
大河でこのようなことが描かれるだろうか。
……いや、描かれないだろう。
…だって無理だ!!(笑)
そんなことをやったら、大河が違う方向にいくこと間違いなし。
でも、全国の頼長ファン(笑)が固唾をのんで今後の展開について少し期待しているのではないか、ともタモンは想像してしまいます。頼長はコアなファンが多いと思うんですよ。
でも…佐藤二朗演じる藤原家成との男色が背景にある事件とか。
…すんごい愛憎劇が描けますが、大河が昼ドラになりますね。
まあ、これからも超神経質で完璧主義の頼長が描かれていくんだろうなぁ、と思います。日本史史上、異色の公卿であることは間違いないから、それはそれで楽しみです。
今後、祇園社の事件とかもどのように展開するのか(←これ、けっこう大きな事件です)。
いままで全く触れていませんでしたが、
阿部サダヲ演じる高階通憲(後の信西)も重要なキーパーソンです。
これから彼も大活躍すること間違いなし。
今度彼についても書くと思います。
信西の政治的行動を見ていると、フランス革命の革命家のなかでも特に過激派・ロベスピエールにちょっとだけ似ているような気もする人です。
一ウォッチャーとして、今後も大河の展開に期待したいです。