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実は昨年の12月に、自主制作CDを発売させていただいたんですね。
いわゆる、インディーズです。
インディーズとは、メジャーに対してのマイナー、そしてマイナーの中でも、メジャーとの資本関係や人的交流を深く持たない、かつ、系列化されていない独立性の高いものをさす、らしいです。
ちなみに、インディーズとは、英語のindependent(自主の)を語源とする言葉の「indie」の複数形、とのことなのですが、英語で「indies」というと、インド諸島を意味するらしいです。つまり、インディーズは和製英語なんですって。
今回のコラムでは、「日本の音楽シーンにおける、インディペンデントの現在」、というような方向の話を書かせていただこうと思ったのですが、うまくまとまる自信がなくなったので、逃げさせていただきます。
いつか、書かせていただきますね。
というわけで今回は、そのインディーでCDを作るにあたってのエピソードを少々…。
ところで、ぼくらのバンドのCDは、すべてオリジナル曲です。で、一応、全曲、JASRACに登録してあります。つまり、ぼくらの曲を誰かがカヴァーしてくれたり、CMでばんばん使われたりした日には、印税的なものがぼくらに入ってくる仕組みになっています。
今のところは、ぼくらの曲をぼくらしか使っていませんので、ぼくらが使用料をJASRACに払い、そしてJASRACに天引きされた後ぼくらに還元されるという、天に向かってつばをはき、しかしまびきされて戻ってくる、というような状況です。
で。
8曲入りのミニアルバムで、作詞・作曲は、曲によってぼくが担当していたり、他のメンバーが担当していたり、共同名義になっていたり、さまざまです(印税が入ったら、メンバー全員で等分しようというように話していますが…)。
しかし、一曲だけ、メンバーでない人物の名前が、作曲者のところにクレジットされています(されています、じゃないですよね。クレジットの原稿を作ったのはぼくなので、「しました」が正しいです)。
ちなみに、8曲中、ぼくが作曲を担当した曲は4曲です。しかし、ぼくの作曲というのは少々「なんちゃって」なんですね。
ぼくは、メロディだけしか作れないんです。メロをリズムとともにシンセに打ち込み、それを譜面に起こし、それらをもとにギター担当のメンバーにコードを付けてもらいます。なので、ぼくが作曲した曲は、ギター担当メンバーとの共同作曲ということになります。
で、1曲だけ、ぼくのジャズ研の後輩の大坪くんにコードを付けてもらった曲があるんです。なのでその曲の作曲は、ぼくと大坪くんとの共同名義にしました。
大坪君は、音楽で生活している、プロミュージシャンでありプロの作曲者でもあり、プロアレンジャーでもあります。
10年前、ぼくが今のバンドを始めようと思ったとき、一緒に演りたいと狙っていたメンバーに声をかけるにあたって、まず、持ち曲を用意しておきたかったんですね。こんな曲をやるから一緒に演らないか、と、誘いたかったんです(そのほうが話早いし)。
なので、数曲メロを作り、後輩の大坪くんにコードを付けてくれないか、と頼み、曲を用意しました。
彼はプロですが、先輩の願いを快く受け入れてくれて、無料でコードを付けてくれたんです。
そして今回、彼がコードを付けてくれた、結成当時の曲も1曲だけ収録されることになって。
大坪くんにコードを付けてもらったのは、もう10年も前の話ですし、コードも含め、ぼくが作ったことにしてしまおうかとも思ったんですが…。
でも、それもどうかと思い、とりあえず電話して探りを入れてみました。
「おー、大坪〜、久しぶり〜。(CDを出すことだけを話つつ)。
ところでね、それはそれとして聞きたいことがあるんだけど」
「なんすか?」
「キミ、仕事で、メロに対してコードを付けるという仕事もすることあるでしょ。そういうとき、作曲者としてキミの名前もクレジットされるの?」
「ケースバイケースですね−。そうしてもらえるときもありますが、プロダクション主導で作るものの場合、そこのアーティストの名前だけしかクレジットされないことも、ままありますねー」
(くぅ〜、つまり、クレジットされるべき、という結論だな…)。
「なるほど。ところでね、今度のCDでは、キミにコードを付けてもらった曲も1曲収録しているんだよ。もちろん、キミの名前もクレジットさせてもらいたいと思っている(今、そう決めたんだけど…)」
「あー、そんなこともありましたねー。うれしいです♪」
(おっと〜、忘れてたのか…。言わなくてもオッケーだったのか…)
「おいおい、忘れないでくれよ〜。
しかしね、今回のCDは完全自主制作。持ち出すばかりで到底マイナス…。キミに一銭のお金も支払うことができないんだよ…」
「いいですよ、いいですよ。名前が載るだけうれしいですー。完成したら聴かせてくださいねー。それでもし大化けしたら、ご飯でもごちそうしてくださいよ〜♪」
(くぅ…、大坪、やっぱりいいやつ…。それなのに、おれは、おれは…)
「ばかやろ〜!! いいか〜? よく聞け。これはな、『幸せの時限爆弾』なんだよ。いつかこの時限爆弾が爆発したら、その幸せをキミにも大きく還元する。キミの人生には、『幸せの時限爆弾』が仕掛けられている、ということを、忘れないでほしいんだ」
「いいですね〜。ははは♪」
くぅ…。大坪くん。CDが発売になって、そろそろ3か月が経とうとしているが、まだまだ、『幸せの時限爆弾』は眠ったままだ…。
でも、これからだ。もう何年か、待っていてほしい…。
…。
大坪くんは、ほんといいヤツなんです。
いつか、大坪くんにも、ぼくにも、幸あれと…。
そんなこんなで、ぼくは今日もラッパを吹いて生活しています。