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3回ほど、ずっこけ恋愛エピソードを綴らせていただいたのですが、このあたりで話しを一旦戻させていただきますね。
初回のコラムで、ラッパはこんなに難しいんですよ、と、自分の技量の足りなさの言い訳をだらだらと書かせていただいたのですが、その続編です(面白いのかな…)。
ところでぼくは小学4年生でラッパを始めたのですが、中・高のころはほとんど吹いていませんでした。ギターに憧れて、友達とバンドを組んでギターを弾いたり歌を歌ったりしておりました。しかし、ギターがなかなか上手くならず…。
敗因を「指先が器用ではないから」と結論づけるにいたりました。
で、「そうだ、自分はラッパが吹ける! ラッパは右手の指3本だけで操れる。これだ!!」
ラッパ道に迷い込んだのは、そもそもこういうシナリオです(それだけでもないんですけどね…)。
まあ6年のブランクはあまりにも大きく、ほとんど初心者に戻っていたことに、再開早々に気がついたのですが…。
さて。
今回は、ラッパはどうやって音階を出しているのか、そのメカニズムをご紹介したいと思います。ざっくり言って、以下のような感じです(かなり乱暴な説明なのですが…)。
トランペットには3つのピストンが備えられています。で、1番(もっとも奏者に近い位置にある)ピストンを押すと、空気が1番管(1番ピストンにくっついている管)に流れます。
「1番のピストンを押す」という動作は、空気を回り道させること、つまりは、ピストンを何も押していない状況よりも「管全体の長さを長くする」という行為なのです。
トランペットは、唇を振るわせて発生させた音を管の中で共鳴させて音にするのですが、管の長さを変えることで、共鳴する音の音階を変えることができるのです。
3本のピストンを押したり押さなかったりすることでできる、全体の管の長さのパターンは、合計8通りです。
1・何も押さない
2・1番ピストンだけを押す
3・1番と2番を押す
4・1番と3番を押す
5・2番だけを押す
6・2番と3番を押す
7・3番だけを押す
8・1、2、3番すべてを押す
ここで、疑問を持たれる方もいらっしゃるかと。
1オクターブの中に、音は計12音ありますよね。
ド、ド♯、レ、レ♯、ミ、ファ、ファ♯、ソ、ソ♯、ラ、ラ♯、シ(ピアノの鍵盤を数えていただけたらすぐに分かると思います)。
しかし、トランペットの運指(うんし。ピストンを押さえる形)は8タイプしかない…。
どうやって、12種類の音階を出すのかといいますと、唇を振るわせて発生させる音自体を変えることで対応しています。
この説明、すごくざっくりしすぎなのですが、さらにざっくりまとめますね。
「トランペットの音階は、唇の振動音の変化と、管の長さの変化、これらを組み合わせて作り出す」
これが結論になります(かなりざっくりとした説明です)。
そして同時に、以下のようなことも言えるのです。
『正確なピッチ(音程)を取ることは、指の動きだけではコントロールできない』
指が正確に動いても、唇で発生させる音自体のビッチが狂うと、音程は狂ってしまうということです…(ひどいときには、違う音が出てしまう可能性もあるわけです。ラを吹いたつもりでド♯が出たり…、とか…)。
ただ、唇の振動の変化で音程を操る行為は、口笛を操る感覚に似ていて、吹く人がいかに正確な音程をイメージできるか、これがキモにもなってきます。ラッパ吹きには音感も大事な素養となるわけです…。
というわけで、指を3本しか使わない割に、ラッパは難しい楽器だったと後から気がついた、というお話でした。
ふー…。
ギターやピアノのように、弾けば(叩けば)だれでも正しく音程が出せる楽器には憧れます。
って、そのギターを上手く弾けずに断念しているやつに、それを言う資格はないのですが…。
さてさて。
次にラッパの難しさを説明させていただく回には、呼吸の重要性について説明させていただきたいと思っております。
唇、指、以上に、実は、呼吸(エアのコントロール)が、ラッパを上手く吹くためのもっとも大事な要素だからです。
というわけで、そんなこんなで、ぼくは今日もラッパを吹いて暮らしております。