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2011/01/28

冬のこの時期、例年ならばレインボーサポートネットは比較的暇な時期なのですが、今年はなぜか昨年末から「パートナーシップ契約」の契約書作成依頼が相次いでいます。

パートナーシップ契約というのは、同性婚が認められていない我が国で、同性カップルが結婚と同じような法的関係構築のために結ぶ契約で、財産管理や療養看護、家事・家計分担の他、貞操義務などを盛り込んで、カップル毎の事情を考慮した形で契約します。

男女のカップルであれば、結婚という制度を利用しただけで当然に発生する権利や義務を、契約という私的自治の中で構築しようというものです。

但し、夫婦特有の義務であるもの、例えば貞操義務などが、契約に盛り込まれていたとして、それに反した場合に、裁判所が一種の債務不履行を認めるかどうかは定かではありません。

それ故、完全に男女の夫婦と同様の法的関係を構築するのは、まだまだハードルが高いのが現状です。

遺産の相続権に関しては、パートナーシップ契約と同時に遺言書を作成することにより、ある程度の遺産を承継できるようにすることが可能です。

同性カップルから見る『結婚』というものは、「愛し合う二人が永遠の愛を誓い、人生の伴侶として共に人生を歩んでいくこと」と真剣に考えているように思えます。

ある一定の関係性の昇華がないと、わざわざパートナーシップ契約までしようということにはならないからなのかもしれません。

男女のカップルにとって結婚というのは、『家庭』を作る最初の作業と言えるでしょう。夫婦になり、子供を作る。そして、『家(家庭)』になる。その共同作業者が夫と妻という役割。最初は愛情に満ちた男女の関係であっても、長年連れ添うことで、生活のため、生きるための間柄だけに変化することもしばしばあるようです。でも、結婚という制度にある程度縛られているがために離婚はしない。そういう冷めたご夫婦も世の中には多いのではないでしょうか?

もちろん、そんな冷めた関係の夫婦ばかりではありません。長年連れ添ってもラブラブなご夫婦も当然おられるでしょう。子供がいなくても、夫婦で温かい家庭を築いておられる皆さんもおられると思います。

結婚に関する考え方は人それぞれでしょう。ただ、正解は「愛し合う二人が永遠の愛を誓い、人生の伴侶として共に人生を歩んでいくこと」であって欲しいと思います。

同性カップルで、パートナーシップ契約を結ぶカップルは、この点を本当によく考えています。相手に対する愛情を何とか形にあるものにしたいという真摯な気持ちが、パートナーシップ契約という形に向かうのです。法的に自分たちの関係性をきちんと定めておきたいと考えるまでには、それなりの時間と熟成した関係性が求められます。そういう段階をクリアーして、パートナーシップ契約のステージに進んでいるように思えます。

同性カップルが憧れる『結婚』という制度の価値を、ヘテロセクシャル(異性愛)の人々に、あらためて知って欲しいと思います。

※ごあいさつ※

この度、JunkStageアワード2010の大賞を受賞しました。隔週金曜日更新というのが、自分の生活の一部として身に沁みこんでいる今日この頃ですが、長く続ければ続けるほど、内容がマンネリ化してしまうのではないか?独善的な記事になりすぎていないか?など書き終えた後には自問自答しております。そんな中でこのような賞を頂き、心から嬉しく思っております。ただひたすらに読者の皆様に感謝申し上げます。今後とも「レインボーノート」をよろしくお願い申し上げます。

追伸:「レインボーノート」の意味ですが、レインボーはLGBTのシンボルカラーであり、ノートは事件簿の意味で使っています。直訳すると「虹色事件簿」ですね。ドラマ化する時は、このタイトルでお願いします(笑) 私が遭遇する事件、今年も色々ありそうです。。

2011/01/28 12:05 | nakahashi | No Comments