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通常、フリーダイバーにとって、冬はオフシーズンです。
特に1月。大会もなければ海の練習もありません。何より、寒い。
そのせいか、プールに行っても何となく人がまばらです。
「フリーダイバーって冬はどんな練習しているんですか?」
と聞かれますが、私もその実態をよく把握していません。
夏の間は家族のように四六時中顔を合わせている海仲間ですが、
冬になるとめっきり会わなくなり、お互いの生息状況すらわからなく
なるからです。
夏場は一斉に海やプールに向かうフリーダイバーですが、冬場の行動
パターンはおそらくこんな分類が出来ると推測します。
1.プールで地道にトレーニング
2.陸上でヨガや呼吸法を地道にトレーニング
3.寒い海で地道にトレーニング
4.南の海に行きガッツリとトレーニング
5.冬眠に入る
1,2をきちんとこなすのは真面目なアスリートフリーダイバー。
この時期の基礎トレーニングが本格的なオンシーズンに活きて来ます。
冬のジャンプのために夏場に筋トレに励む真央ちゃん的なストイックな世界、リスペクトです。
3は極めて少数派。サーファーの場合は冬の海に入ってこそ一人前という価値観かも
しれませんが、フリーダイバーは冬に海に入らなくても「丘ダイバー」などとは言われません。
むしろ入る人は「物好き」として珍重されます。
4も少数派。金銭的、社会人的な事情から致し方なし、です。
5はあまり大きな声では言えませんが、意外に多いと思われます。
サラリーマン・フリーダイバーの場合、この時期は仕事も佳境な第4四半期。
夏に備えて冬の間は仕事に専念、というのもまた処世術でしょう。
さて、私の場合。例年だと冬場は細々とプールトレーニングをする程度だったため、
毎年オンシーズンに身体が戻らず、立ち上がりが遅いことが課題でした。
特に苦労するのが水中での「耳抜き」。水圧で内側に押される鼓膜を鼻から空気
を送ることで解消するテクニックです。これが上手く出来ないと、耳が痛くて深く潜
ることが出来ません。毎週のように海に潜っているオンシーズンには自然に抜ける
ようになる耳が、数か月間海に潜らないと固く閉じてしまうのです。
というわけで、今年は「3.寒い海で地道にトレーニング」に
モノ好きなダイバーとバディを組んでトライ。
冬の海は人気がなく、本当に静かです。そして青くて透明です。
夏にはない透明度と、何ともいえない静謐感はこの季節にしか味わえないものです。
オンシーズンに22度以上はあった水温はぐんぐん下がり、現在14度~15度。
3ミリのウェットスーツでは1時間が限界です。
自分のベストの半分以下の深さ、-24mの水底に向かってゆっくりと潜る練習をしました。
この深さが今はせいいっぱいです。北欧の選手などは夏でも水温4~5度の
暗い湖で練習しているといいますが、それが強さの理由かもしれません。。
そういえばノルウェーの選手から「ノルディック・ディープ」という大会(注:雪山ではなく
スカンジナビアの海に潜る大会です)の話を聞いたことがあります。
そんな、名前からして寒そうな大会はありえない、と思っていました。
でも何だか興味が出てきてしまったような・・・
この冬トレーニング、オンシーズンの競技にどのくらい役に立つかは未知数です。
でも、実はこれからさらにもっと冷たい海で潜る、ある計画があります。
この冬は、冬眠できそうにありません。