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おはようございます!
天然記念物の在来馬・乗馬普及啓発をしています、特定非営利活動法人(NPO法人)ホースランド・らぴすの山本高志です。
朝起きるのがつらい季節になりましたが、馬産地(北海道日高地方)では新しい命が生まれる瞬間が訪れます。生まれた競走馬(サラブレッド)は1時間ほどで元気良く4本の足で立ち上がり、半年で離乳し親離れをします。この日高では、1月から5月にかけ年5000頭以上の競走馬が生まれ、これから3、4月にかけ出産のピークを迎えます。
【上記3枚の画像すべて北海道にある競走馬生産牧場の(有)長谷川牧場です。】
それでは本題に入ります。
前回の馬房掃除編に続いて今日も牧場での仕事について綴ります。
今回は『飼い付け』です。辞書を開いてみたら『えさをまいて、魚を誘い集めること』とありました。
ここでの飼い付けとは簡単に給餌することです。まぁ字の如くですかね。この飼い付けと給水は絶対に欠かせない日々の作業になります。
給餌は僕が学んできた乗馬学校や職場、牧場では時間帯が違うが原則として朝と晩に行い、昼間は放牧場や馬房で乾草を常時与えています。これは空腹になって食糞(ボロ食い)するのを防ぐためです。食糞は犬でも見受けられます。どうしてしてしまうのかは馬(当該動物)に聞かないとわかりませんが。母馬は仔馬が生まれると、おしりを舐めて排泄を促します。そして、排泄された仔馬の糞を食べてしまうことが稀にあります。これは自然界の草食動物特有で野生の肉食動物が、糞の臭いを嗅いで襲ってくるのを防ぐためで、そのために糞の臭いを消す必要があると考えられ、その野生のDNAがそうさせるのではないかと思います。
母馬を見習ってかどうかわかりませんが、仔馬は食糞することがあります。これは離乳する頃には治まることが多いです。それ以外での食糞は何が原因だと思いますか?
- 栄養を補給する
- 餌の量が不足している
- 精神的ストレス
- 臭いが好き
- ずっと糞があるのが嫌い
これらが原因ではないかと僕は乗馬学校や職場で学びました。
餌の量は馬1頭1頭違います。もちろん性格も人同様にあるので好き嫌いもありますよ。圧ペン(えん麦、オーツ)を食さず、上手にペレットしか食べなかったり。また、エサの中に薬を入れた時には薬だけ残したり(馬も人間?…笑)
馬は草食動物なので基本、草を食べます。(昔の職場でトンボを無表情で食べる馬もいましたけど。)また草でもイネ科やマメ科だったりたくさんの種類が存在します。これらの栄養バランスを考えるのがとても難しいです。飼料の中身はオーナー(馬主、施設長)の哲学がとことん入るので組み合わせについては施設によってかなりバラつきがあります。
最近では、北海道中標津町のミルキーポークや南十勝地方のホエー豚が有名になり馬も『ホエー』を与えるところが増えてきました。ホエーとはわかり易くいうと、市販のヨーグルトの上澄みにある液体です。子どもの頃、無味でおいしくないから全部捨てていました。(もったいない…涙)高タンパク・低脂肪でチーズを作る際に固形物と分離された水溶液です。非常に栄養価が高く、馬にとっては致命傷である腸の病気をケアできるということです。
また馬によって「フスマ」「配合飼料」「大豆(オカラ)」「サプリメント」等を与え、それにプラスして「カルシウム」「ミネラル(岩塩)」「マグネシウム」で不足がちな栄養を補います。そして夜はまた、乾草を与えます。
【上記3枚の画像すべて静岡県にある与那国馬ふれあい牧場です。】
また、月に一度程度再チェックして量や種類の変更し、季節によっても変えています。飼い桶は毎日、馬房掃除の際に撤収して洗う為、各馬の食欲や食べ残しが判る為に体調の変化の早期発見に役立っています。
給水は建築・科学の進歩によって資本が豊富にあるところには最先端の「ウォーターカップ」を設置しています。昔の職場はこれでした。これは馬が口や鼻で水をいつでも出すことができる装置になっています。しかし、人が水をバケツに入れなくていいというメリットしかなく、どの程度、水を飲んだのか把握が全く出来ないうえ、馬によってはその装置の使い方を知らないで飲めなくなるという状況も生じてきます。そういったこともあるので僕の施設はかわいいピンク系のバケツを使っています。
尚且つ、飼い桶や水桶(バケツ)を洗う事によって一番、命を落としやすい病気の疝痛(腹痛)予防になっていると思います。やはり何と言っても動物のケガや病気が1番怖いので、それらを毎日洗う事は乗馬クラブでは仕事能率的に難しいとは思いますが、この作業は欠かせない大事な仕事の1つだと僕は考えます。