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連載開始直後にいきなり専門用語満載の10大ニュースを掲載してしまいましたが、
今年の武者修行の話に入る前に、まずは「フリーダイビングとはどんなものか?」
ということを書きたいと思います。
ネットを検索すると色々なサイトでこうした解説は出てくるのでこのコラムではいっそ
このまま割愛してしまおうか・・などと無精なことを考えていましたが、考えて見れば
世間一般に圧倒的に知られていないことばかり。
というわけで、フリーダイビングの基礎知識コーナーを時折交えていきたい
と思います。
まずは第一弾。
■フリーダイビングを一言で言うと?
「酸素タンクを使用せず息を止めて潜水をすること。」です。
「アプネア(apnea)」とも呼ばれています。「アプネア」とはラテン語で「息こらえ」
「無呼吸」の意味です。
freedivingのfreeは「自由」ではなく「タンクなし潜水=(tank)free diving」
のことだと言われます。「砂糖無し」=sugar free などと同じwithoutと同意
のfreeであり、「自由気ままな何でもあり潜水」という意味ではないのです。
むしろ競技としては色々な細かい規則が存在し、練習でも大会でも安全面
から守るべきルールが沢山あり、その意味では全然自由ではありません。
でも、身体一つで海に潜ると、ある一瞬、間違いなく「自由」を感じます。
このfreeは「呼吸と引き換えに得られる重力からの自由」とでも言えるのではないか、
などと私は思います。
■似たような海のスポーツとどんな風に違うのか?
◎「スキューバダイビング」との違いは?
スキューバダイビングは酸素ボンベを背負って海中に潜ります。
海の中を楽しむという点では共通していますが最大にして決定的な違いがあります。
それは「息を止めるか止めないか」という点。
私はどちらも好きですが、タンクの有無は、全く同じ海で潜っても、別の場所に感じる
くらいの大きな違いです。この二つの違いは例えて言えば「スキーとスノボ」
「ボクシングとキックボクシング」「アコースティックギターとエレキギター」の
違いとでも言いますか。似たフィールドだからといって言い間違えると、やっている本人
たちからは「全然別物!」と反論されるに違いない、そんな類の違いです。
スキューバでは息を止める必要がないため、長い時間水中にいることができます。
ただし、窒素酔いや減圧症の防止という意味からも、通常の潜水深度は-40mが
限度とされています。
◎「スノーケリング」との違いは?
マスク、スノーケル、フィンの3点セットをつけて、パシャパシャと、スノーケルをくわえて
呼吸を続けながら海中の魚などを見て水面泳ぎ回るものが「スノーケリング」です。
海水浴のついでに、または南の島のリゾートで、経験したことがある人も多いのでは
ないでしょうか?小さな子供でも楽しめ、ライセンスなどは必要ありません。
タンクはもちろん背負わないのでこれも「tank free」ですが、基本的には「水面を泳ぐ」
もので海水浴の延長です。フリーダイビングとの違いは「息を止めるか止めないか」
それ以前に「潜るか潜らないか」という点になります。
◎「スキンダイビング(素潜り)」との違いは?
スノーケリングをしているうちに、必ず生まれる欲求が
「上から見ているだけでは我慢ができない・・」というものです。
海の中に潜って行きたくなるのです。なので、多くの人はスノーケリングを楽しむ途中で
「えいや」っと潜ってみます。最初は1、2メートルかもしれません。でも、水面から水中に
入ったとたん、世界は一変します。マスク越しの視界は水面から見るものと何ら変わりま
せん。けれど、体に感じる水圧、耳の痛み、そして水中の音。何もかもが違うのです。
水というものを身体中で感じます。そして思うはずです。
「もっと長く、深く潜ってみたい」と。
これが「スキンダイビング」または「素潜り」です。
実はフリーダイビングと、やっていることは全く同じ。必要な技術、そして感覚も同じです。
フリーダイビングとの違いは「競技性があるかどうか」という点だけです。
例えてみれば「ランニング(広く走る行為全般)とマラソン(42.195kmを走る陸上競技)」
のような関係です。
ちなみに、これらを中国語で何というのか、台湾のフリーダイバーに聞いてみました。
Freediving =自由潜水
Scubadving =水肺潜水
Snokeling =浮潜
Skindiving =徒手潜水
英語より、何だかわかりやすい、ような、気がしてきませんか?
「自由潜水」の練習の合間の「徒手潜水」