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地球の舳先から vol.210
台湾編 vol.6
起床、朝6時。わたしにしては十分ありえない時間。
しかし、朝7時のボートというのは、日月譚の観光には
すこし遅すぎたようだ。
早朝がとくに美しいといわれるレイクリゾート・日月譚の見所は
早朝だけ、朝もやにけむる光景。
陽が高くなると同時に、その光景は消え、「朝」が訪れる。
すこし肌寒いなか、部屋を抜けてボートの発着場へと向かう。
ホテルに隣接しているものの、何十段という階段をくだっていくので、
それなりな運動ではある。
書き忘れていたが、この日月譚を代表するリゾートホテル「ザ・ラルー」
は、あの蒋介石氏の別荘の跡地でもある。
そんなわけで船の発着所の途中に、蒋介石が乗っていたというボートが展示してある。
展示、そして蒋介石、というには見事なまでにドカッと置いてあり、
ロープが張ってあるものの番人がいるわけでもなく。
台湾独特の性善説だろうか、それとも…などと考えながら、短い桟橋を渡って船付き場へ。
乗ったのは、上の写真のような手漕ぎボートではなく、
20人は乗れようというスピードボート。
運転手が地図を指しながら台湾語で解説をしてくれるのだが、
なんとなく理解できるのが不思議だった。
ゆっくりと船は日月譚の湖をゆく。
途中に、小さな小島のようなものもあり、近づくと台湾国旗が立っていた。
胸を締め付けられる思いがする。
何せここは、中国へのご機嫌取りのあまり国際社会で認められにくい国家であり、
それゆえ台湾の”国旗”というものにお目にかかるのも珍しければ
掲げる台湾人のほうだって文字通り命がけなのだから。
船は2箇所ほど、下車観光。どちらも早朝で人が少ない。
猫やらリスやら、得体の知れない鳥やら、目を凝らすと動物も多い。
野生動物もいれば、屋台のテーブルの上で爆睡しているお犬様もいる。
コーヒーを片手に、まだ静かな商店街を歩いた。
観光客も少なく、当然現地のお店の人の客引きも皆無に等しい。
(写真 左2枚は伊達部という、ダム建設に伴い部族が移住した区域。
右2枚は玄奘寺へ上陸した際のもの。)
およそ1時間ほどのツアーを経てホテルへ帰ると、たっぷりの朝食が待ち構えている。
前日の夜はここで、ロブスターからカニから、あらゆる魚介類とステーキが
食べ放題、台湾ビールも瓶ごとバケツに入れて冷やしたものが飲み放題だった。
お腹を満たし、台湾旅最終日のこの日、
ラルーをあとにして空港へ向かったのだった。