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地球の舳先から vol.211
日本/金沢編 vol.1 (全3回)
いま見返しても、ぎゅっと心を掴まれるCMがある。
“JAPANESE BEAUTY HOKURIKU”。
04年、06年のJRのディスティネーション・キャンペーン。
なんだってわたしの原体験というのは、いつも広告ばかりな気がする。
このキャンペーンはもう5年も前になるというから信じがたいのだが、
これを見て以来、わたしが日本で一番行きたい場所は金沢になっていた。
それでも、旅というものは縁やタイミングがないとなかなか成就しないもので。
半分公務、という絶妙の縁があり、ようやくその地へ行くことが出来た。
羽田から小松空港まではなんとたったの1時間。
小松空港は航空自衛隊と共同利用なので、F15の勇姿などを期待したのだが。
1100円のエアポートバスで空港からきっちり40分、金沢駅へ着いた。
余談だが、このバス、午前中の行きも、夜の帰りも、ほんとうにぴったり40分。
駅前の小料理屋的なところで、刺身定食を食べる。
この時期の金沢名物・甘エビが、たっぷりの卵つきで出てきた。
衝撃的に美味しかったが、さらに衝撃的だったのは
案内してくれた現地駐在の方がトンカツ定食を頼んだことである。
道民が毎日カニを食べてるわけじゃない、というのと同類の話だろうか。
午後に大役を終えて解放されると、鈍行列車で加賀温泉郷へ向かった。
サンダーバードだかなんだかいう特急列車もあったが
窓の外でも眺めながらゆっくり進みたいときもある。
…お金がないというのもある。
なぜなら、ここを予約してしまっていたからだ。
創業、1624年。
前田利常公、北大路魯山人が愛し、現代では皇太子様も滞在した
380年の歴史を誇る有形文化財、白銀屋。
山代温泉街の中心部は小さくコンパクトにまとまっていて、中央には温泉施設。
夜はしっとりと美しいが、昼間は昼間で美しい。
緑の小道に誘われるようにしてお寺に入ると、主張することもなく
国重要文化財の明覚上人供養塔があった。
…とはいえわたしは日本史や文化財というものに相当疎いので
散策もそこそこに、白銀屋にチェックインし、温泉をはしごすることにした。
宿からタオルを持って、浴衣でウロウロできるのもらくちん。
明治時代の建物を再現した「古総湯」は、
循環も加水も加温もしておらず、洗い場もない、ひたすら「入浴」に徹するところ。
中央に浴槽だけが置かれ、美しいステンドグラスがはまっている。
2階は休憩処になっていて、提灯の光に温泉郷が照らされている。
隣の、地元民でにぎわう「総湯」よりも空いていて、とても静か。
地元住民で賑わう「総湯」のほうで、絶品の温泉卵(しかも安い)をいただく。
白い卵と赤い卵の2種類。小腹を満たして、宿にひきこもることにした。
つづく