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2011/11/06

初めまして天然記念物の在来馬・乗馬普及啓発をしています、特定非営利活動法人(NPO法人)ホースランド・らぴすの山本高志と申します。

この度はJunkStageの桃生様からお話しをいただきコラムを書かせていただくことになりました。
僕自身、若輩者で至らぬ事が多々生じるかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。

僕は、神奈川県厚木市で乗馬施設を経営しています。今、僕の施設には木曽馬という長野県木曽地域が原産の日本在来馬がいます。
日本在来馬というのは昔、荷物の運搬や農作業を目的として用いられた馬のことで日本には8種類います。

  • 北海道 ― 北海道和種【ほっかいどうわしゅ(どさんこ)】
  • 長野県 ― 木曽馬【きそうま】(長野県天然記念物
  • 愛媛県 ― 野間馬【のまうま】(愛媛県今治市天然記念物
  • 長崎県 ― 対州馬【たいしゅううま】
  • 宮崎県 ― 御崎馬【みさきうま】(国天然記念物
  • 鹿児島県―トカラ馬【とからうま】(鹿児島県天然記念物
  • 沖縄県 ― 宮古馬【みやこうま】(沖縄県天然記念物
  • 沖縄県 ― 与那国馬【よなぐにうま】(与那国町天然記念物

僕が馬の道を志したのは高校を卒業してからなので周りに比べると、とても遅いスタートでした。スポーツは幼い時からやるのがいいとよく聞いたことがありますが、まさにそれを実感しました。身体が硬くなり上達するのにも時間がかかり苦労したので、僕の施設は子どもの頃から気軽に乗馬・動物とのふれあうことはもちろん、それ以外に給餌や厩舎の掃除、馬場を囲う柵のペンキの塗り替え、ニンジン畑を作るなど、子どもたちが関心を持ち、尚且つ創意工夫して皆で協力して取り組める作業や、本来なら廃棄処分にする錆びた蹄鉄を磨いて、魔除けや幸運を呼ぶ御守に変身させる作業も取り入れようと思っています。

子どもたちが扱うので従来の乗馬クラブにいるようなサラブレッドではなく、小さくずんぐりむっくりした体格や、温厚で素朴な性格に着目したところ、僕たちの活動を支えてくれるのにぴったりだと思い、保護の目的も兼ねて、上記の在来馬たちをパートナーにすることに決めました。また子どもたちに在来馬の歴史を知ってもらい、その歴史を後世に伝えることも私たちの活動の一部だと考えています。

遅くなりましたが私の簡単な自己紹介をします。
生まれも育ちも風情ある町並み神奈川県鎌倉市。小学3年から高校まで野球部に所属し、甲子園を毎日本気で目指していました。高校卒業後は乗馬技術習得のために千葉県内にある2年制の乗馬学校へ入学し寮生活を始めました。2年生になる手前で学校を休学し1年生秋に研修先であり元競走馬ディープインパクトを生産した北海道安平町に行き(有)ノーザンファームに就職しました。ここでは繁殖部門に配属され交配、お産出しの手伝いなどの経験を積み、翌年に乗馬部門の(株)ノーザンホースパークに異動となりました。
ここでは乗馬インストラクター補助兼記録部として競走馬のセリや有名馬のポストカード、園内にあるレストランの料理や結婚情報誌で掲載される写真なども担当しました。2年後退職し東京に戻って派遣社員となり事務の仕事や国内最大手のネットオークション会社の営業部で働いたりと、いろいろな経験をしたくさんの人と出会いました。

そして2010年に株式会社vielLaecheln(株)【フィールレッヒェル※ドイツ語でたくさんの笑顔という意味です。】を設立しました。24歳の時です。またより多くの方に動物とふれあう機会を提供していきたいと思い2011年に特定非営利活動法人ホースランド・らぴすを設立しました。

乗馬施設(クラブ)と言ってもいろいろありますが、一般的な乗馬施設の飼育している馬のほとんどは元競走馬(サラブレッド)がメインです。逆に僕たちの施設では木曽馬をはじめ今後は野間馬や与那国馬、日本和種といった在来馬を飼育する予定です。

最近では馬を用いたセラピー(ホースセラピー・ヒポ)も増えており心身障がい者に対して心身両面への機能回復効果を発揮を促し、しかも治療のようなイメージではなく動物とのコミュニケーション効果によって、社会及び学校への復帰するきっかけ作りを行い、またホースセラピーは犬や猫などを媒体とするアニマルアシステッドセラピーに比べて、動物に触れるだけでなく実際に馬に乗ることにより、遥かに上回る運動効果が期待されるということもあります。

馬と人との歴史は本当に長く人にとって馬は、本当にかけがえのない存在だと思います。馬事普及という同じ夢を持つ仲間たちと共に、これからも人への心身回復効果を目指し、人が幸せで楽しい時間を共有することのできるホースセラピーで、活動の進化を楽しみながら、馬の安全性と人の安心を基本にした活動を続けて行きたいと思います。

あらゆる人が、自然の中で馬と過ごす時間の中から本当の癒しに気づくことができるのではないでしょうか。

このコラムを通じて、今まさに問題となっている犬や猫の動物虐待の減少など、動物愛護精神の育成を図り、もって子どもから高齢者まで多くの市民の社会教育の推進や社会福祉の増進、さらにはスポーツの振興に寄与することができればと思っています。

平成23年10月31日
vielLaecheln(株)代表取締役
特定非営利活動法人ホースランド・らぴす理事長
山本 高志

2011/11/06 01:55 | yamamoto | No Comments