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2011/11/03
海岸でヒグマの撮影を終え、波打ち際を歩きながら美しい海を見た。
オホーツクの風が波しぶきを運び、毎日体もカメラも潮にまみれた。
ぼーっと海を見ていると、時折大きな波しぶきの間に魚の姿が浮かび上がった。
もうサケの遡上も終わりのシーズンだ。
この荒々しい海が美しいと思えるのは、自分が今年のあの事件を経験していない
からなのかもしれない。
ふっと、あの時現場へ行き、無残な姿となった海の町がオレンジ色の夕日に照らし
出される光景を思い出した。
それはとても現実の景色とは思えない無残な光景だった。
この「海」は本当にたくさんの大切なものを奪ったあの同じ「海」なのだろうか・・・。
一時として同じ姿を留めない海、そして変わり続ける自然。
幸運にも被害に遭わなかった自分が今思うことは、深い傷を負った方々が一日も早く
立ち直り、前に進めたらいい・・・。
ただひとつ、そう願うばかりだ。
私達が普段一人の人間の命をどれだけ尊く感じていても、そんな思いとは無関係に
ある日突然たくさんの命が一斉に幕を閉じてしまう現実もある。
そのことを知ると、自分の命も意外にあっけないのだろうと感じた。
だからこそ、今をどう生きるか、生きている間に何をしておきたいかを自己に問いかける。
強く問い正すのではない。その自問を忘れることなくココロの片隅に置いておきたいのだ。
この美しい海の景色を前に、穏やかな時間の中でそんなことを思った。
2011/11/03 02:08 | yamada | No Comments