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2011/11/03

・・・・というと少し嘘があるんですが、
まあ、それはおいおい書くとして・・・

皆様、おはようございます。
とりあえずのところ、11月1日、
高野山真言宗の法流である中院流にて
伝法阿闍梨位を拝受致しました。
まずは密教僧としてのスタートラインに立つについて、
お世話になりましたすべての方々に厚く御礼申し上げます。

11月1日の儀式については、
午前中に三昧耶戒の授戒儀式があり、
正午より初夜 胎蔵界の伝法灌頂、
14時半過ぎより後夜 金剛界の伝法灌頂と続き、
大阿闍梨様である中西啓寶法印御房(以下門主様)をお見送りし、
衣体を片付けて解散したのが18時18分でした。

受者は僧8人、尼僧6人の計14人だったのですが、
門主様は伝法灌頂に慣れておられるようで、
結構スタスタと進んで、その時間の終了となったようです。

まあ、灌頂そのものの内容は、
秘密だから、というよりは書くのがうざく、
秘密にするまでもなく資料は色々出てますので、
ジュンク堂や真言宗系の図書館で調べていただくとして、
胎蔵界、金剛界ともにまずは道場の片隅に正座させられ、
ひたすら真言の念誦をさせられます。
その間に灌頂の準備段階ともいえる法会をし、
順番に呼ばれて灌頂壇に入壇していくわけです。

時間配分としては、正座させられてから
最初の受者が呼ばれるまでが20分から30分、
呼ばれてからまたもとの控え場所での念誦に戻らされるまでが
およそ15分少々というところでしょうか。
つまり、15分か20分以外の時間はひたすら正座して真言念誦です。
まあ、スタスタと進んだ14人の灌頂にかかる時間がおよそ2時間半、
つまり、2時間以上は正座なわけです。

私は二臈、つまり2番目でしたので、
上臈から受ける胎蔵界は2番目、
浅臈から受ける金剛界は13番目、
ということは胎蔵界は受け終わってからの時間が、
そして金剛界は呼ばれるまでの時間が異様に長いわけです。

さて、最初に私が「無魔成満といえばウソになる」
と書いたその事件が、金剛界の灌頂で起こりました。
呼ばれるまでの長時間、ひたすら正座で悪戦苦闘しつつも、
一生懸命に真言を唱えていたのですが、
ご近所さんが結構手を抜く人だったようで、
見回りの坊さんがやってくると真言を唱え、
いなくなると結構サボるという状態でした。

しかしですねえ、何も唱えずに正座ってのは逆にしんどいのです。
それでも悪戦苦闘しつつ唱えていると、呼吸が浅くなり、
空気が体にたまってアップアップしてきますから、
時々空気を抜いて体をリセットしてまた真言を、
ということをしておりました。
ちょうどそんな時、横に来ていた見回りの坊さんに、
「真言念誦を止めるな!」と言われましたけど、
必要なリセットでしたから、普通に唱え続け、
やがて呼び出しがかかり、入壇前に加持をし、
目隠しをしてもらう加持所というところへ連れていかれました。

ここで後ろから声が。
声の主は、見回りに来ていた坊さんです。
「俺が行った時だけ真言唱えて、後はしてなかっただろ。
 ちゃんと見てわかってんだぞ!」
はあ!?とんだ濡れ衣です。
これがねえ、終わった後で、どこかの道端かなにかで
言われたことなら、言い返しますし、ちゃんと説明もします。
喧嘩腰でよければ、
「何ぬかしとんじゃ、われぇ!それは隣の奴じゃ!」

しかし今は入壇直前。
下手な口答えをして入壇取り消しにでもなったら無念の極み。
一言鋭く、「いえ!」とだけ言いました。

こんな濡れ衣さえなければ機嫌よく終えられたし、
無魔成満しました、と胸張ってご報告するんですけど・・・。

ちなみに驚いたのは、目隠しされて入壇するなり、
控え場所の方から「寝るな!」という怒鳴り声が聞こえてきたこと。
クソ痛い正座しながらよく寝られるもんです。(笑)
逆に感心しました。
だいたい先に書いた通り、それだけ痛い正座だから、
気を紛らわせるには真言念誦しかないのです。
とてもじゃないけど、見回りの時以外サボるなんて、
そんな気分にはなれません。

まあ、そんなわけで、伝法灌頂は終わったわけですが、
長時間の正座で、きっちり筋肉痛になっております。(笑)
いろいろな理由で筋肉痛になったことがありますが、
正座で筋肉痛になったのは生まれて初めてです。

そして、正座の次にうざかったのが、衣体、
つまり服装です。
衲衣と同じ形の白い絹の袈裟、平袈裟と、
袍服という袴に、裙といって、巻きスカート状のものまでついた、
脱ぐにも着るにも手間のかかる恰好。
胎蔵界と金剛界の間には15分しか休憩がなく、
トイレに行くのに大変でした。
もちろん、脱いでいかねばなりませんからね。

まあ、なんといいますか・・・・
大変な一日でした。
ひょっとして阿闍梨の位というのは、
この正座のご褒美に貰えるものなんじゃないかと
今更ながら思い始めてきましたよ。(笑)

というわけで、私には別段なんの変わりもございません。
これまで通りのご愛顧、よろしくお願い致します。

2011/11/03 12:31 | bonchi | No Comments