« ■flora World 204「バコパ」 | Home | これは花ではなく実ですが。。。 »
ありません
カサブランカは白しかありません
実はちょっと前になりますが
twitterでこのことをつぶやいたときに
思いがけない数の反応が返ってきました
お花に興味のない方はもちろん
お花が好きな方でも意外と知らない方がいらっしゃいます
カサブランカというのはご存知の通りユリの一種ですが
大輪でとてもいい香りのするお花です
色は『白』です
日本を原産とするヤマユリなどの数種類と交配させて
オランダから華々しくデビューし
その後も不動の人気を誇っているユリの女王
色は『白』です
とくに50代以上の女性のお客様から
“カサブランカ”“カサブランカ”と
ご要望の多いお花です
色は『白』です
白なんです
白しかないんです
しつこいようですが、カサブランカは白いお花です
お店でピンクのカサブランカを見たよという方
いらっしゃいませんか?
それは残念ながら(?)カサブランカではありません
ユリの仲間にはテッポウユリ・スカシユリなど
原種、形、香りによって分けられるいろいろな種類があります
その中に一般的にオリエンタル・ハイブリットと呼ばれる
カサブランカを代表とする大輪系のユリがあります
日本を原産とするヤマユリなどをヨーロッパで交配させ、作った園芸品種です
このオリエンタル・ハイブリッドの一つが『カサブランカ』(白)というわけです
オリエンタルハイブリッドには他にも シベリア(白)、ソルボンヌ(ピンク)、
ルレーブ(ピンク)、マルコポーロ(薄いピンク)、アクティバ(濃いピンク)
まだまだありますが、私たちのお店に並ぶのはこの子たちが多いです
さらにオリエンタル・ハイブリッドに他の品種を掛け合わせて作った
LOハイブリッドやTOハイブリッドと呼ばれるユリがあり
黄色のイエローウィンなども良く流通しています
これらのオリエンタル系のユリをオリエンタル・リリー(オリエンタルユリ)と呼びますが
オリエンタルリリー=カサブランカではないことを
わかっていただけたでしょうか?
・・・と偉そうに説明しつつ
私もこのコラムを書くにあたって、調べていると
初めて知ったことがいっぱいで勉強になりました
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そして花屋のカサブランカ対応ですが
“ピンクのカサブランカありますか?”
というお客様はとても対応しやすいです
“カサブランカというのは白いお花ですので
同じオリエンタルユリのピンクのお花でしたらありますよ~”
です
問題は
“カサブランカの花束を作ってください”のお客様です
なぜかというと、カサブランカは一般的に値が張ります
もちろん花の輪数、産地、時期にもよりますが
他のオリエンタルリリーたちよりもだいたい高いものがほとんどです
しかも高級な割にお花が下を向いて咲くので
アレンジに入れたり花束に入れたりするのが実はとても使いにくく
うちのような小さな花屋はほとんど仕入れていないのです
白いオリエンタルユリと言えば、“シベリア”の独り舞台
シベリアも強く美しく香りもとてもいいオリエンタルユリです
アレンジも花束もシベリアに活躍してもらっています
カサブランカは注文が入った時だけ仕入れるようにしています
ですから、考えるわけです
はたしてこのお客様は
“カサブランカ”という品種を細かく指定していらっしゃるのか
“オリエンタルユリ”の花束が欲しいのか
このご注文の場合、一度しっかりと説明することにしています
カサブランカの仲間のオリエンタルユリでもよろしいのでしょうか?
それともあの白くてお花が下を向いて咲く、香りのとても良い
“カサブランカ”がよろしいのでしょうか?
カサブランカは少しお値段がお高くなりますし、ご予約になりますが
それでもよろしいのでしょうか?
それでも“カサブランカ”というお客様にはカサブランカを仕入れてお届けします
ですが、実際はピンクのがいいとか安いのでいいとか
あの香りのいいユリならなんでもいいのよ~とか
そういうお客様が結構いらっしゃるんです
おばさまはユリがお好きですね~
ちなみに先日、町で
シベリアとソルボンヌにでかでかと『カサブランカ』と書いた紙を張って
販売しているお花屋さんがいらっしゃいました
もちろん、お花屋さんはそれがカサブランカではないことを知っているでしょう
でもある意味
“これでいいのよね~お客様には分かりやすいんだから”
とも思いました
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
近年、新しい品種『クリスタルブランカ』と呼ばれるものが出てきました
ユリの女王カサブランカをさらに品種改良して作られた
お花が上を向いて咲く上に、輪数も多く
とても丈夫でながーくながーく楽しめるユリなんです
これは。。。本当にすばらしいお花で
一度仕入れましたが(もちろんものすごく高級)
どれだけ持つの?というほど強いお花でした
カサブランカが女王の座をキープできるのも時間の問題かも?