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2011/09/03

 以前このブログでも取り上げました、「フシギボール」ですが、日本に上陸するらしいです。10月に販売されることになったとか。 販売元はバンダイ。バンダイは、これまでもディアボロやヨーヨーなどのジャグリングに関連する商品を販売し、大会を企画・運営するなどの実績のある会社です。
 フシギボールは、コンタクトジャグリングと呼ばれるジャグリングに使われるもの。 クリスタルボールと呼ばれるアクリルなどで作られた一切が透明の球体とは違い、中央に金属製のボールが埋め込まれているのが特徴です。
 太陽の下でやった時、クリスタルボールはレンズの役割をしてしまい、油断をしていると何かに火が点く危険もあったりするのですが(本当!)フシギボールではこういうことがないらしいので安心ですね。

 ただ、このボール、以前の記事でも書きましたが、あまりジャグラーの間では良い話を聞きません。 twitterなどの僕の周囲では、フシギボール日本上陸に対して否定的な意見の方が多い印象でした。

 まあ、確かにおもちゃっぽいといえばそう思うし(そもそもコンタクトジャグリングをやるには少し小さいと思う) 本格的にコンタクトジャグリングをやりたい人にはジャグリングショップで取り扱っているようなボールをおススメしたいのですが、一つのメーカーが取り扱う道具のひとつに、そんなに目くじらを立てなくても、と思っていました。

 前の記事では「(アメリカ版の)デモンストレーターがそんなに巧くない」ということを否定的な意見の多い理由にしていましたが、それにしてはそういうことを言う人が多いと、どうしてなのか少し疑問に思っていましたが、このたびtwitterで海外のジャグリング情報通のツイート、

「あなたには出来る魔法のボール! みたいな感じで宣伝先行で売ったらジャグリングとしてではなくタネのあるマジックのように扱われ 、買ってない人はクリスタルにタネがあると思うようになり買った人は騙されたと思う。 」

というコメントを読んで凄く納得しました。

 なるほど、それは嫌だな。

 多くの人が「タネのあるマジック」という思いでコンタクトジャグリングを見始めたら、何もそこに面白さを感じなくなるのではないでしょうか。 「ああ、テレビで見たやつね。どうせタネがあるんでしょ、はいはい」 と、コンタクトジャグリングの持つ特有な不思議さを『タネのあるもの』として見てしまい、魅力を感じない人が出てくるかもしれません。

 そして、逆にタネがあると思って買った人のもとにはなんのタネもないただのボールが届くわけです。アメリカ版のコマーシャル、「練習不要!」というのたはぶっちゃけた話、嘘でして、人に見せられるレベルまで到達するには、僕の経験から言わせてもらうとかなりの練習が必要です。

 ある意味、ジャグリングというのは(コンタクトジャグリングに限らず)「珍しさ」というのが魅力の一つであると思うわけですが、そんなフシギボールのコマーシャルがばかすか流れたら、そのありがたみがなくなってしまうようにも思います。
 何よりも、パフォーマンスで使っている道具を「おもちゃ」として見られてしまうのは嫌だなぁ……と……

 アメリカではこのフシギボールのコマーシャルがガンガン流れた結果、コンタクトジャグリングを使ったパフォーマンスはあまり喜ばれなくなってしまったようです。

 そう考えてみると急にフシギボールの日本上陸が嫌になってきました。

 ただ、幸いなことに、日本には既に以前も紹介したおこたんぺさんや、クリスタルパフォーマーMASAKI(ジャグラーの間では親しみを持って「MASAKI様」(回文)と呼ばれている)など、次元の高いパフォーマンスを見せることのできるコンタクトジャグラーがテレビ出演を多数果たしているおかげで、ある程度「コンタクトジャグリング」というジャンルを見たことのある人が多く、地位の確立された状態での出発なので、アメリカとは事情が異なるのではないか、と勝手に想像しています。
(詳しくアメリカの事情を知っているわけではないですが。)

MASAKI様動画

おこたんぺさん動画(この前とは違うものです)

 バンダイの公式サイトにも、「あの水晶玉パフォーマンスが君にもできる!」という触れ込みで、 コンタクトジャグリングのパフォーマンスありきでの販売のようですし、これまでこの会社が扱ってきたのはマジックの道具ではなく、ジャグリングの道具なので 「誰にでもできる!! 練習不要!!」という安易な宣伝はしないのではないかなと勝手に思っています。

 日本人ジャグラーの心配が杞憂になるか的中するのかは結局のところ蓋を開けてみないとわかりませんが、いい意味でも悪い意味でもコンタクトジャグリングの敷居は下がることと思います。

 コンタクトジャグリングに興味ある方は購入してみてはいかがでしょうか。 直感ではありますが、付録されている教則DVDは参考になりそうな予感がします。

2011/09/03 12:00 | ryuhan | No Comments