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2011/09/02

2週間のブータン滞在を終えて、8月末日、帰国の途に着いた。

初めてかもしれない。
海外で、こんなにも大勢の人たちと言葉を交わしたのは。

いつも、自分にとって、旅は一人でするものだった。
最初は、特別一人旅が好きというわけでもなかったのだが、
気が付けば、一人が一番楽になってしまっていた。

もちろん、一人だからこそ、饒舌にならねばならない場面も多い。
飛行機や電車では、常に見知らぬ誰かが隣に座る。
自分がチケットを買わなければ、誰も自分をどこかへ連れて行ってくれない。

しかし、それにしても、有り余る一人の時間を、どう有意義に過ごすか。
それが、いつもの旅の専らの課題でもあり、楽しみでもあった。

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翻って、今回。

まず、旅の主目的からして、「喋る」ことが求められていたのだ。
修士論文を書くためのインタビュー、しかも街頭インタビューを実行する。

我ながら、随分と行き当たりばったりなお題を掲げたものだ。

はてさて、その成果はと言えば。
ブータンの街角で、総勢100名超へのインタビューを敢行。
数字だけが答えを握っているわけでは勿論無いが、
数字は裏切らない、というのもまた真。

そこで得た数々の示唆を、どう論文として調理するのか。
食材は、たぶん、揃った。

それにしても。
ブータンの人々の、なんて温かいこと。
いや、あれは温かさとは違う、なにか別のモノなのかもしれないが。

兎に角、彼らはインタビューを断らないのだ。
「これが東京なら…」
と何度心の中で思ったことだろう。

ブータン人は、どちらかというとシャイな人が多い。
最初、声をかけると、どちらかというと怪訝な目をこちらに向けてくる。

でも。
こちらがちゃんと名乗り、インタビューしたい旨を誠意を持って伝えると、
彼らも、誠意で以てそれに応じてくれる。

勢い余って警察官にインタビューを試みた際には、さすがに、
「職務上、そういう質問には答えられないんだよ」
と苦笑いされてしまったが、他の国なら即座に銃を向けられてもおかしくない。

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もうひとつ、今回の旅で多くの言葉を交わすことになった理由がある。

それは、日本ブータン友好協会の親善旅行と日程が重なったこと。
残念ながら、こちらの都合でご一緒することはできなかったのだが、
「どうせ日程重なってるなら、行事に参加したら?」
と有難いお言葉をいただき、結局ほとんどの行事に参加させていただいた。

図書の贈呈式。
東日本大震災の犠牲者へ向けた法要。
ブータン産マツタケによるBBQパーティ。
そして、ブータン首相も招いての懇親会。

一人では到底会うことも叶わなかったであろう大物にも会うことができ、
また、協会のみなさんも、途中で紛れ込んできた若造を迎えてくださった。

また何よりも。
まだブータン研究をはじめて1年そこそこの駆け出しの身で、
それこそ、30年に渡って、日本とブータンの架け橋になってきた方々と、
夜、酒を交わしながら親交を深めることができたというのは、
何物にも代え難い、貴重な時間となった。

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さて。
まずは、帰国して頭の整理をしている段階なので、このあたりで。

実によく喋った旅のあと。
日本で過ごす一人の夜は、いつもにも増して、静けさを感じている。

インタビューの中身については、また後日。

2011/09/02 12:00 | fujiwara | No Comments