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あなたが私に差し出した2個の小瓶、
山小屋の窓際で朝日を浴びて奇麗よ、
今でも小瓶の中に何が入っているか見る事が出来ないけど、
とても奇麗に輝いているわよ、
昔し僕は10個の小瓶を持っていた、
総ての瓶に素晴らしいものを詰めて僕は生まれて来た、
いつの日にか、
強い荒波に手を取られ小瓶を1つ手放した、
誰かの為にどうする事も出来ずに小瓶を1つ差し出した、
絶望の中の自分を救う為に小瓶を1つ踏み台にした、
自分が気付かないうちに人混みの中に小瓶を1つ見失ってしまった、
何か大事なものと引き換えに小瓶を1つ渡してしまった、
自分の欲望を満たす為に小瓶を1つ壊してしまった、
自分の時間を守る為に小瓶を1つ見捨てた、
君と出会う為に小瓶を1つ空に投げ入れた、
僕が君にあげられるのは、
たった2つの小瓶しか今は残っていないけど、
これだけはどうしても手放せなかった、
僕は両手に2つの小瓶を握りしめ、
どんな事があってもこの瓶だけは離さなかった、
君に会って気が付いたんだ、
僕には10個の小瓶は多すぎたんだって、
君に会って気が付いたんだ、
僕の手の中から滑り落ちた小瓶は、
きっと僕には最初から必要なかったんだって事を、
今君に会って分かったんだ、
僕たち2人には、
この2個の小瓶さえあれば十分だっていう事が、
僕の握りしめていた2個の小瓶、
君に見せたかったんだけど、
今では汚れ傷つき、
外から小瓶の中を見る事が出来なくなってしまった、
あなたが差し出してくれた2個の小瓶、
今でも小瓶の中を見る事が出来ないけど、
窓辺で日の光に照らされて奇麗に輝いているわ、
私には分かるの、
私にはきっと素晴らしいものが入っているって分かるの、
あなたが生まれた時に持っていた10個の小瓶、
あなたが私に渡してくれた2個の小瓶、
私には見えるの、
だから何も心配しないで、
私には見えるから、
ほら、窓の外を見て
庭でジャガイモの花が、
奇麗に咲いているわよ。