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2011/07/31

本の原題と邦題についての話が主で、
内容に関してはネタバレにならない程度に書いたつもりですが、
これから 『13時間前の未来』 を読もうと思われる方で
事前に少しも内容を知りたくない!という方は後でお読みください。

++++

映画を見るのも好きですが、本を読むのも大好き。

アメリカに行く前は、海外の作家のSF小説をよく読んでいたけれど、
日本に戻ってきてからは、日本の作家やエッセイ、短編集が多くなったのは、
少し大きな変化。
それでもノンフィクションより“小説”を好む、というのはあまり変わらず、
それがそのまま選ぶ映画のカテゴリーと類字しているのも否めない。

そんな最近 久しぶりに翻訳モノ、
リチャード・ドイッチ【Richard Doetsch】 の 『13時間前の未来』 を読んだ。

読み始めようと思ったら、映画化されるということに気がつく。
余談だが、つくづく映画に続く道を選ぶよう。

内容はともかくとして、題名について。
原題は “The 13th Hour” 直訳すると “13時間目”
 
ストーリーは第12章【Chapter 12】午後9時から始まり
主人公が1時間前の始め、厳密に言うと2時間前に遡り、
その1時間をやり直しては59分また前の1時間の初めに遡るという
2歩下がり1歩進む、的なタイムスリップ式で進んでいく。
9:00~10:00pmをすごし、8:00pmに移動する、という具合だ。

第12章が午後9時だから、第1章は午前10時、それが物語の全てが始まる時刻。

では、題名となる13時間目の第13章は?
もちろん第12章が午後9時なら第13章は午後10時である。

読み終えて考えさせられたのは、原題“13時間目”を
邦題として13時間前の未来”と“後”を“前”に変換し、更に“未来”を付けた
訳者の佐藤耕士さんのセンス。

13時間目という時間軸は何をしようが変わらないけれど
その内容は毎時間主人公が過去を変えることによって、
常に新しい内容の“13時間目”が生成されるパラドックス。

だから結果、13時間前にとっての13時間後の未来を変えるべく、
12時間奮闘するという、13時間前の未来を変える話で意味は違いない。

更に、これは私の深読みかもしれないけれど、1時間ずつ過去に遡っていても
主人公の時間軸では1時間ずつ時間は進んでいく。
だから午前10時までの12時間は主人公にとっては未来であり
その後にやってくる1時間を13番目とすれば、やっぱり、13時間前の未来となる。

・・・その場合午前10時から午後10時までまた戻ってきたら、
実質24時間後になるから、やっぱり違うかな、、、などと頭が痛くなるパズルだが、
結末を読むと、それもあり、と思える。

ちなみに主人公は一体自分が何時間前まで遡るかなんて知りはしないから
13時間と知っているのは読者だけということを、決して忘れてはいけない。
その方がずっと話が楽しめる。

++++

日本に戻ってきてからは、英語を忘れない為のトレーニングも兼ね、
英語圏の本は、なるべく原書で読むことにしている。

ただ残念ながら、そのスピードは日本語の本の何十倍もかかり
結局読み始めることも出来ないままリストだけが増え続ける現状。

そうそう英語で読めばイイってもんでもないと、
この本を読んでみて、方針を変える気になった。

2011/07/31 11:31 | masaki | No Comments