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2011/07/26

半魚人というのは、好きな魚を自分の手元に迎え入れるだけで、世の中の全てのものがバラ色で幸せに見える精神回路を持っている。

世の中は自分次第で楽しいことばかり。捨てたモンじゃない。幸せいっぱいだぁ!っと、思ってしまう単純明快簡単な人種です。頭のてっぺんから光があふれ出るような幸福感にひたり、気分が高鳴り、毎日ルンルン、いつもワクワク、奇声を発して終始スキップでそこらへんをクルクル回りたくなる。バカですね。

小さな時からこのような気分が続いているボクはビョーキなのかもしれない。半魚病。半魚病は不治の病で、空気感染もする。ボクの周りには年齢性別を問わず半魚病の人がいっぱいいる。

半魚病は副作用があり、単純にかわいがっていた魚が死んだ時がそれです。世の中の全てが信じられなくなり、急速に脱力感に襲われ、ササクレて、不良化して、その辺にツバを吐き散らしたり、オジサンを蹴ったくったりしだす。

そんな副作用に襲われないように、ボクたちの集団(半魚人集団。気持ち悪いわ。)では、常に情報交換をして(半魚ネットワーク)常に明るく、楽しく、清く、美しくを心がけ、マニアックな変態集団化の回避に全力で努めている。

多くの魚は、飼い主ですら行った事のない異国の秘境から飛行機で日本にやってきて、飼育者の元へ来る。地球の裏側から地元の秘境インディアンの生活の糧で捕獲されて来たりする。

そんな魚たちにソソウがあってはならないし、ソソウで殺すと結局自分がやるせなくなり後悔するので、ボクは飼う前(買う前)に徹底的にその魚のことを調べ上げ、下準備は万全にする。

アルタム

この魚は「アルタム・エンゼル」といってアマゾンのほうからはるばるやってきた。写真が悪くてスマヌ。一眼じゃないし、コイツラ、いつも動き回るからぜんぜんバッチリ撮れん。

前回の台風の日に宅急便で来た魚ね。飼うのは結構難しい。というか、住んでいる環境が特殊で、日本の水に馴染ませるのが大変で、すぐに細菌感染とかして死んでしまう。一旦日本に慣れると丈夫になる。馴染ませるのが大変で最大の難関。

コイツを飼うにあたり、ボクは2週間前くらいから、夜な夜なネットや雑誌のバックナンバーを引っ張り出して、ありとあらゆる情報をガッツシ仕入れた。住んでいる環境や、食っているもの、毎年の入荷成績、現地の水質や、成長速度、かかりやすい病気や対処、味なども調べたり、性格、態度、やる気、戦闘力、KO率、必殺技、好みのタイプ、番付け位置、など。

さっきも書いたように、新しい魚を飼う時は、魚にソソウのないように、どんな魚でも、仕入れることのできる情報は全て仕入れる。不手際で死んでしまってはバカだからだ。情報を集めて、万全の状態で望めば、起こりうる問題をジャンジャン回避できて、結果的に殺さずに済む。

アルタム・エンゼルは抗菌状態のような川に住んでいて、日本の水槽の水ではなかなか、機嫌をよくしてくれず、抗菌部屋から出たお魚は、菌たくさんの環境へ出るとすぐに病気になってしまう。

毎年、7月から10月くらいの期間にしか輸入がなく、現地で大量に捕獲ストックされ、それが小出しに日本へ輸入されるため、日が経つにつれ現地のストック場で状態が崩れ、そんな魚が死ぬ前にどんどん日本へ送られてくるので、かなりグロッキーな状態、仕入れたショップがそれを死ぬ前に安売りで売り、それを手にした飼育者の多くは秒殺してしまうことが多く、「アルタムは難しい」という法則ができているらしい。

勝負するには、採れたてホヤホヤで日本へやってくる7月の第1便を狙うのがいい、と知った。毎日ネットで飼育方法と平行して検索し、全国の有名店への入荷を調べた。そして7月中旬、1便が来た。でも小せぇの。。。第1便→シーズンに生まれた赤ちゃん、らしく、便が遅い→成長した若魚、らしい。しかし、年にこのシーズンのみの輸入で、しかも一番状態の良い第1便を逃したら、また来年を待たねばならん。

第1便は状態は良くても、小さな赤ちゃんは弱い。便が遅ければ、成長した大きな魚になり体力があり強いが、入荷状態は悪いことが圧倒的に多い。

どうすりゃいいんだ。。。

1便のサイズは1円玉前後の生後数ヶ月の赤ちゃんである。よくそんなのが地球の裏側から飛んでくるナァ。仕入れるのは怖かった。ミクシのコミュなどで情報交換やアドバイスをもらって、結局パスした。

勝負をかけたのは第2便にした。電話で聞くと、1便より一回り大きい、状態は普通、という。普通ってどんなだ???学生時代によく行っていた神奈川の有名な店で、わしゃ神奈川まで行こうかと思ったけど、貧乏なのでやめて、通販で勝負をかけた。

台風の日に送れて手元に届いた。

小せぇ。慎重にやらないとすぐに☆になってしまいそうだった。ヒレはやや裂けて白く濁り、肌は荒れていた。細菌感染症のヤバイ兆候だった。この魚の場合、細菌感染は1度かかると治すのが困難。進行も早く、見る見るうちにグロッキーになり衰弱し、やがてバタバタ全滅する。

欲しかった魚を手にしたものの、ひぇ~~~っと叫び、オロオロしてしまい、全然幸せじゃなかった。

その日から栄養のあるエサをあげまくった。1日6回エサをやった。細菌感染になる前に、体力をつけさせて、病気をはねのける作戦にした。赤ちゃんは抵抗力が泣く弱いけれど、逆に警戒心が薄く、人に慣れやすいというメリットもある。

数日すると、ヒレや体は荒れているものの、ボクを見るとエサをくれる人だと覚えて、わ~!っと寄ってくるようになった。水槽の壁のガラスに鼻をこすりつけてエサをねだり、ずっと上下に動くので、写真が取れん。状態は良好。あとは、体の肌荒れが治れば、導入は成功だ。

結構恐ろしいほどエサを食べ、まだ水槽に入って日が経ってないのに、体に厚みが出て、少し大きくなった。成長は早そう。とりあいず安心できそうである。

成長すると結構大きくなって、かなり立派になる。ヒレが上下にスラッと伸びて、上品で、貫禄があり、エンゼルフィッシュというだけあって優雅で天使的風貌になる。エンゼルフィッシュの仲間の中でも、飼育レベル、見た目的にも最高峰の魚で、観賞魚のなかでもトップレベルな魚なのです!

今回は個人的な飼育で、水族館の展示ではないのだが、大きくなったら展示デビューさせたい。全国では、八景島に何匹か大きなのがいた(写真)、あと上越水族館、おたる水族館、海遊館にもいるらしい。今回、飼った理由は、八景島に行ったとき結構大きなこの魚が展示されていて悔しかったから、という理由もアル。

八景島 アルタムエンゼル

繁殖は非常に難しく、日本ではまぐれで産卵というのが多く、狙って繁殖させている人は一部のスーパーマニア数名くらいしかいない。

2011/07/26 07:06 | kobayashi | No Comments