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2011/07/15

健さん(仮名・31歳)と翔太さん(仮名・27歳)は、交際して3年、同棲して1年のゲイのカップルです。

二人は関西の別々の会社で福祉関係の仕事をしていました。ある時、健さんのお母さんが介護が必要な状態になりました。最初は実家にいた妹さんが面倒を見ていましたが、その妹さんが結婚をすることになったので、健さんは実家のある九州に帰って自分で面倒をみるか、お母さんを施設に入れるか、関西でお母さんの面倒をみるか悩んでいました。健さんと翔太さんは何度も話し合って、結局、健さんの田舎である九州のとある町に一緒に引っ越すことにしました。

健さんは幼い頃に父親を亡くし、お母さんが女手一つで健さんを育てあげました。大学進学と同時に、健さんはお母さんと妹さんを残して関西へ行ったのでした。関西で就職もして、翔太さんとも出会って、平穏な生活を送っていたのでしたが、その関西生活にピリオドを打つことにしたのでした。

健さんの実家は、昔から続く農家で、広い土地に母屋と平屋建の離れがありました。健さんはそこに、お母さんの介護も兼ねて、デイサービスセンター(通所介護事業所)を開設することを決意し、スタッフとして恋人の翔太さんにも手伝ってもらうことにしたのでした。

健さんは社会福祉士として、翔太さんは介護福祉士として、高齢者福祉の現場で働いていた経験はありましたが、事業を立ち上げるのは初めてです。

そこで、レインボーサポートネットに通所介護事業の開設手続を依頼されました。

現在、介護事業などを立ち上げる際には、かなりお得な助成金や補助金が各種あります。設備投資に費用がかかる介護施設の場合、こうした助成金などを使って、少しでも初期費用を抑える必要があります。

健さんと翔太さんの場合、自己資金は2人の貯金を合わせて、150万円ほどでした。デイサービスの施設自体は、敷地内にあった平屋建ての住宅を改装して使用し、新たに手摺の設置・段差の解消・トイレの増設などを行いました。

また、スタッフとして看護師資格を持つ人を雇い入れ、デイサービスを提供できる環境を整え、九州に移り住んでから4ヵ月後に開設にこぎ着けることができました。

幸い、地域的にデイサービスの事業所が不足していたこともあり、早々に定員に達し、現在は、福祉用具のレンタルや、訪問介護分野にも進出しようとしています。

健さんと翔太さんは、私生活でも仕事でも二人三脚で頑張っています。そして、お母さんの介護をしながら、地域のお年寄りの福祉にも貢献しています。関西から九州の田舎に戻るという決断はとても勇気が必要なことだったと思いますが、「誰かの役に立ちたい!」という気持ちと、「自分がやらなければならない!」という使命感が二人を後押ししたのでしょう。

需要の高い高齢者福祉という分野で起業したということもあるでしょうが、事業の成功のカギは、まずは経営者のモチベーションにあると言っても過言ではないでしょう。健さんと翔太さんが、福祉起業家として益々成功することを願っています。

2011/07/15 12:01 | nakahashi | No Comments