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Model KIKO.
あのときの、あのトーンへと戻る..戻りたい.
たったそれだけのために
どれほどのものを削られたとしても
それが自分の「帰途」であるなら
僕は必ずそこを通らねばならない.
2月も終わり、3月から開催される
「MONOCHROME SHOW Vol.2」への作品創りも終えて
MONOCHROME SHOWの出展作品..なかなかお気に入りなので
良かったらぜひ、WALDで観てもらえたら嬉しいです.
そしていよいよ夏へ向けての作品セレクトから
具体的な構成、組み上げへと動いています.
今回はカラーではなくてモノクロへ再び戻って
「自分のトーン」というものをもう一度探りながら
回帰していくための、ちょっと過程が多め..
そんな難しい制作になっています.
難しさの一つとして、プリントが「銀塩であること」
大前提となるものだけど…と、これが言うほど簡単ではなくて
デジタルの時代になって、デジタルでの写真の
モノクロプリントというものがすごく壁になっていることでもあって.
インクジェット出力などではモノクロ専用紙などもあって
特に自家プリントならいろんな紙の選択肢があったりします.
超光沢から無光沢マット調、半光沢..かつてのモノクロ印画紙を
再現したものまで、ことモノクロだとインクジェット出力の方が
より多彩な選択肢があります.もちろん品質的にも
良いものを出力することが出来ます.
でも僕は2013年に「深入り」で12年振りに写真展を開催してからずっと
「銀塩」での出力で作品制作をしてきました.
コスト的にも選択肢としてもインクジェット出力に
気持ちが揺らがないと言えば嘘になるけれど
写真であること…それも「銀塩」「印画紙」であること
それは古い考え方かもしれないけれど
写真が一番、写真らしく観てもらえる、感じてもらえる姿が
「銀塩プリント」ではないか..と思うからです.
そこでやっぱり壁となるのはかつての暗室時代のように
印画紙が選べない..ということです.
デジタル・銀塩モノクロプリントのための専用印画紙が
あるわけでもなく、カラープリント用ペーパーへのプリントするしかない.
モノクロのトーンをカラープリント用ペーパーへプリントするとき
そこに完全なモノトーンを現すことがとても難しいのが今の現状です.
「深入り」で散々悩まされたラボ、ギャラリー、自宅と
それぞれの光源の違いによって異なる色味が出てしまうこと
マゼンタっぽい赤味が浮いてしまうこと.
プリントした時期、季節、その日のプリント機の液の温度によって
出て来るトーンの違いの問題…
これは、各方面の方々のご協力を得ながら
もう焼いてみるしかないのが現実だったりします..
となるとコストが…
写真というものがこれからどんな進化、変化をしていくのかは
わからないけれど、モノクロのトーンを描写することにおいて
インクジェットプリントが銀塩プリントを上回ってしまうのかもしれない..
だけど写真というものが「銀塩」からどんどん離れてしまうのは
やっぱり寂しいし、残さなくてはいけないものだとも思うから.
だから今回も僕はやっぱり銀塩プリントで作品創りしていきます.
もちろん、いろんな問題点を注視しながら..今までよりもっと慎重に.
しかも今回はおそらく自分の写真展では初となる「グロッシー(光沢紙)」での
作品になること…モノクロのトーンに関して言うと
今までのマット紙「ラスター」よりかなりデリケートな感覚を求められます.
そんな壁や問題山積でプリントしつつ、次はいよいよ
ポストカード、印刷物へ向けても動いていきたいと思っています.
もう「インク」より「銀塩」そんなこだわりは
時代遅れなのかもしれないとも思いながら…