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私は眼が相当悪くてかれこれ20年もの間、
越中島の検眼士にお世話になっている。
この間診てもらいに行ったついでに、
ふらっと深川に立ち寄った。
深川は深川不動尊や富岡八幡宮などの神社仏閣があり、
江戸情緒あふれるレトロな風情が
ドッグイヤーの21世紀を逆回転させるまったり感を醸し出している。
今やいやし空間と化した深川の
生々しくおどろおどろしい面をみせてくれるのが、
中田秀夫監督の『怪談』だ。
落語家・三遊亭円朝の傑作、真景累ヶ淵(しんけいかさねがふち)が原作。
『怪談』の中の深川はヒーリングとは正反対の
女のドロドロの情念の淵に様変わりして
火傷しそうなくらい煮えたぎっている。
ストーリー
舞台は江戸中期の深川。
藩士の深見新佐衛門は、借金の返済を迫る針師・皆川宗悦を惨殺し、累ヶ淵に沈めてしまう。宗悦の魂は怨霊となってとどまり、新佐衛門にとりついて狂わせる。酩酊状態の新佐衛門はその妻を斬殺し、自害して果てる。このため深見家は取りつぶされた。
20年の歳月が流れ、新佐衛門の忘れ形見の新吉はイケメンのたばこ売りとなった。
新吉は母親くらい歳の離れた三味線の師匠・豊志賀と運命的な出会いをはたす。
この豊志賀は宗悦の娘だったが、そんな因果をしらぬ二人はいつの間にか深い仲となっていく……
親の因果が子に巡り~
豊志賀はミュージシャンでストーカーというファンキーな江戸人だ。
しかもテレポーテーションという22世紀の離れ技を使って追跡する
いわば江戸の最先端をいくスピリチュアル・ストーカーである。
そのうえサイコキネシスで小動物を自在に操って新吉を苦しめる姿は
まさに女バビル2世といっていい。
ここではハエがロプロスで、ヘビがロデムということか。
ポセイドンになっているのは、まあ観てのお楽しみだ。
とにかくこの超能力アラフォー・豊志賀は、
その納豆なみの粘り気を帯びた情念で最強無敵の未来人へと進化を遂げた。
ジーンと目の奥が焼けてくる。
ヒューマン・ドラマ以上の感動をホラーは与えてくれた。
ホラーは侮れない。