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2015/05/30
「形」講習会最終日 上村館長自ら実演指導=講道館柔道 15/05/29 サンパウロ新聞WEB版より
講道館柔道「形」講習会最終日となった24日、サンパウロ市内の「南米講道館」で上村春樹館長及び講師たちによる実演講義が行われた。会場には柔道着姿のブラジル柔道有段者及び関係者など約100人が出席。教えられた「形」の技を実践して学ぶなどし、熱心にビデオ撮影を行ったりメモを取る人も少なくなかった。上村館長は「指導者の皆さんには、子供たちに柔道を続けることの大切さを伝えていただき、大きな夢と目標と持ってもらうように指導していただきたい」と期待を込めた。
午前9時から開始された講習会では、鮫島元成8段が初心者向けの指導として「講道館柔道」等について説明。創始者の嘉納治五郎氏が人間の生き方を「道」として柔道で励行することを説いたとし、「道」については「試合に勝つことではなく、自他共に幸福になること」と諭した。
また、現在の日本全国の中学校(12~15歳を対象)では、2012年から柔道をはじめとする9つの日本の武道が必修化され、その64%の学校が柔道を行っているという。
鮫島8段は柔道の「受け身」について、「負けの練習は柔道にしかない」と語り、安全面でのキーワードとして(1)危険な時は自ら倒れる「潔さ」 (2)相手を投げる時は倒れない「残身(心)」(3)互いの柔道衣を引っ張り合ってバランスを保つ「命綱」の大切さを強調。「『受け身』は人間が謙虚にな るための練習で、柔道の本当の目的は人間性を高めること。『柔道衣を着たゴリラたち』になってはいけない」と戒めた。
講義の後、「足払い」の基本稽古などで体を動かし、「八方受け身」や連続技につながる技術を鮫島8段が実演して見せた。
その後、村田直樹8段が講道館資料館に保管されている嘉納治五郎氏の歴史的写真を投影しながら「柔道史概要」を説明。身長160センチ、体重53キロと小 柄ながら負けず嫌いだったという嘉納氏が柔道の普及を行うため、ベルリンやロンドンなど各国でデモンストレーションを行い、「一人の立派な人間を作れば、 次に継いでくれる」との思いにより、現在も嘉納氏の「精力善用」「自他共栄」の教えが世界的に伝わっている事実を説いた。
昼食休憩をはさんで午後2時からは上村館長自ら「柔道の指導方法」を教授した。中学3年の時は100メートル走が20秒もかかり懸垂は1回もできなかった が、その後、高校と大学で2人の恩師に柔道の基礎と世界を目指すことの素晴らしさを教えられたと、自らの経験を披露。技術的には、柔道着を自由にする手の 動かし方と体の重心のコントロールを重要視し、「体落とし」や「大内刈り」などの体重移動を実践して見せ、「自分の得意技の一番良い形を作ること」「技は ゆっくり正確に」「攻撃を研究したら防御も一緒に考えること」などと指導した。
講義の最後で上村館長は、「これまで5日 間にわたっていろいろな話をしてきましたが、やるのは皆さんです。私もできたのですから、皆さんも必ずできます。将来ある子供たちに大きな夢と目標を持た せ、柔道を続けることの大切さ、当たり前のことを行う大切さをどうぞ伝えてください」と述べると、会場からは大きな拍手が鳴り響いた。
締めくくりは講道館指導者による「五つの形」「古式の形」が披露され、参加者を代表して上村館長から4人に修了証書が手渡され、初めてのブラジルでの「形」講習会は無事、終了した。
2015年5月29日付
2015/05/30 10:03 | wada | No Comments