« 「新宿にて」 | Home | 麻生 悌三のブラジル不思議発見 (16)変わった山犬―ヤブイヌ(Bush Dog) »
新年度から新しい生活をスタートさせた方も多くいらっしゃると思いますが、この季節になると、レインボーサポートネットへの面談やメールでの相談が夏に向けて増えてきます。今年も例年と同じような傾向にありますが、ちょっと変わった現象がみられるようになりました。
それは、「カップルで相談」というパターンです。
以前から、カップルで相談に来られるケースはありましたが、この春は特に多いような気がします。
相談内容についても、パートナー契約や養子縁組に関することだけではなく、カップルで起業をしたい(会社を設立したい!お店を持ちたい!)とか、それぞれの両親の老後に関する相談(いわゆる老いじたくに関して)など、カップル内部の問題ではなく、対外的な側面についてカップルで協力し合って乗り越えていこうとする時のご相談が増えてきました。
東日本大震災の影響かどうかはわかりませんが、「1人よりも2人」、大切な人と寄り添って人生を歩んでいきたいと真剣に考えるLGBTが増えてきたのかもしれません。
実際に相談に来られた方々に聞いてみると、今回の大震災で、人とのつながりに関して価値観が変わったという方が何人もおられました。
人はいつ死ぬかわからない儚い存在であるという現実を、今回の大震災で突き付けられた結果、生きていくことの意味や生きることの大切さを切実に考えるようになり、漠然とした不安や孤独感を乗り越えるために、人は1人では生きていけないのではないかという命題に突き当たったのかもしれません。
LGBTの方々の中には、1人で生きていくことを覚悟しているような方もおられます。しかし、それは決して本心ではないのではないかと思うのです。LGBTであるという境遇をどこまで自分自身のネガティブな要素として考えるかということにもよるのでしょうが、セクシャリティがどうであれ、人間として、1人ぼっちで生きていくことを覚悟するのは容易ではありません。
『人は1人では生きていけない』、あらためて考える今年の春です。