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2015/05/01

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5月の始まりは夏日.
もう再来月には写真展が始まります.

そんな晴れ渡った5月の初日、写真展の広報活動
ポストカード・フライヤーの配布を今日から始めました.

2013年の写真展「深入り」のときもそうだったように
今回の「化身」でも、一方の被写体さんである
えりかさんが暑い陽射しの中、同行してくれることになりました.

まずは待ち合わせ..というのも彼女とは
実に1年振りくらいの再会で.

その理由はいろいろあるのだけど
作品創りしてく中で、自分の許容できる以上の
「感情」とか「想い」といったものを発露させるとき
それは撮っている僕でさえ想像も出来ないような
負荷がかかったり、深く刺されるような痛みが
ずっとあったことと思います.

そんなときいつも僕は、「痛み」や「想い」と
軽く口にするけれど、決してそれはそんな簡単で
気軽に触れ得るものではないことを思い知らされます.

そうしてく中で、えりかさんとの作品創りは
そこでストップすることになりました.

そんなこの日の再会で、今回の写真展「化身」の
作品を綴じたポートフォリオを彼女に初めて
見てもらうことが出来ました.

そこに写る、かつての自分自身と
もう一人の被写体さんで構成された作品たち.

ページをめくるえりかさんの眼差しは真剣で
初めは少し、そのページをめくることを
怖がっているようにも見えました.

食い入るように何度も同じページを見返すことを
繰り返しながら、こんなに長い時間をかけて
一冊のポートフォリオを見てもらえたことがあっただろうか…
と考えていると、彼女から出た言葉は
…「悔しい」…でした.

彼女自身、自分の心身と戦いながら
敗北を認めるしかなかったあのときの自分を
おそらく誰よりも悔しく思っていたのではないでしょうか.

それはやっぱり続けておけば…という類いものではなくて
あの時、あの時点で限界だったことを
受け入れなければならなかったことへの悔しさなんです..と
えりかさんはそんなふうに表現してくれました.

でも、僕がそんな彼女を見て思うのは
あのとき敗れた自分自身を認める勇気..
それを振り絞って未知のページをめくること、
今回の写真展へ望むこと、それが彼女にとっての
「前へ進めた」ということなのではないかと感じました.

あのとき留まった、途絶えものが全てじゃなくて
今日ここまで、或いは7月1日から18日まで
そこまでが彼女との一つの作品創りであり
物語なのではないか..とも思うのです.

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写真展での、ポストカードに託したものの重要さは
ずっと変わらないものだけど、2013年からそして今日
そこに写る被写体さんその人がポストカードの配布に
同行してもらえることが実はすごく大切なことだと
あらためて実感しました.

手から手へ、また自分の脚で伝え歩く時間の
出逢う人や場所との触れ合いの中で
撮っただけ、撮られただけでは解らなかったものが
初めて見えたり、感じたりすることが出来ます.

ポストカードに託されたものを伝えていく時間の中に
「深入り」のときも、今回も、そこに被写体さんが
いてもらえる..ということに心から感謝しています.

7月開催の写真展、その告知活動は初夏の中
汗をかきながら一歩ずつ進みます.

一日でそんなにたくさんの場所を巡ることは
出来ないけれど、訪れた先々での時間は
かけがえのない時間です.

そんな一歩一歩は小さなものだけれど
実はその先で大きなものと繋がっていた…
ということもきっとたくさんあります.

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写真展「化身」の初めての配布の日
あのときと同じ、初夏の陽射しの中で感じたことは
きっと、全部は繋がったまま進んでいたのだということ.

置いていただいた場所から手に取ってくれた方、
またそれを大事にしてくれる方.
そして7月1日を楽しみにしてもらえる方.

あの日撮影を始めたときも
あの時作品創りを止めてしまった時も
それはほんとは一本に紡がれ、繋がっていたもので
留まっていたのではなく、続いていたのだと僕には思えます.

留まったり、途絶えてしまったり..
そのたびに痛くて、キツイ思いをしたり.
そう見えて、実は繋がっていたり、その続きがあったり.

そんなふうにしながら、一つの作品、そして写真展は
形作られていくのかな..とも感じられて.

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配布の、一息ついたときのえりかさんの
作品中とはまるで別の表情にかつて見せなかった
柔和で、そしてこれから来ることに向けて
僕と同じように胸を高鳴らせていることが感じられて

今日まで撮り、創って描いて来た今回の写真展が
良いものになるかもしれないと思えて
またひとつ写真の、人の想いのチカラを
見せてもらえたように思いました.

今日感じたことをまたひとつ、ポストカードに託して
次の街へ配布へ向かいたいと思います.

2015/05/01 11:57 | hideki | No Comments