« | Home | »

2015/02/17

前回、トランペットの練習用ミュートについて書きました。

で今回はその続編として、フリューゲルホーンの練習用ミュートのことを書こうと考えたのですが…。

まずは、楽器自体のことを紹介させていただこうかな、と思い立ちました。

トランペッター向け、フリューゲルホーン用プラクティス・ミュートについては次回、お贈りする予定です。

さて、フリューゲルホーンです。

(これまでにもちょこちょこ話題にさせていただいておりますので、以下、過去コラムと内容のかぶりがあったらすみません…)

で、これがぼくの愛用しているフリューゲルホーンです。

fl-h

年季が入っております。

多分、新品時にはラッカーがかかっていたと思われますが、現状、ほぼノーラッカー状態です。

さて。

“フリューゲル”とは、ドイツ語で“翼”を意味する、とのことです。

なので、ホーンではなく、フリューゲルホルン、と呼んだほうがより正確なのですが、ぼく的にはホーンのほうがしっくりきます。

ジャズがアメリカを中心とする文化だからでしょうか、雑誌やライナーでも英語読み(フリューゲルはドイツ語のまま)で標記されることが多かったような気がします。

さらには、ホーンを取って、“フリューゲル”と呼ばれることも多いですね。

ぼくも普段は“フリューゲル”と呼んでいます。

さらには、“ゲルホン”と呼ばれることもあります。

より、ジャズマンっぽい呼び方でしょうか。

でもぼくは、その呼び方はほとんどしません。ぼくがいたジャズ研ではそのように呼ぶ人はいませんでした。

なんとなくですが、ビッグバンド系のジャズマンに多いような気がします。“ゲルホン”と呼ぶ方が。

で、このフリューゲルホーン。

トランペットとキーが同じで、音域もほぼ同じです(高い音は少々出しにくいのですが…)。

ちなみに、コルネットという楽器もありますよね。

それもトランペットとキー、音域とも同じです(ぼくは所有しておりませんが…)。

コルネットのほうが、トランペットよりも多少、音色が柔らかでしょうか。

フリューゲルホーンは、さらに音が太く、柔らかく、暗いです。“甘美”、なんて言われ方をすることもあります。

トランペットとコルネットの音の違いよりも、トランペットとフリューゲルの音の違いのほうが大きいですね。

って、これを書きながら気が付いたのですが、トランペットって、キーも音域もほぼ同じなのにタイプ(音色)が異なる楽器が3種類もあるわけです。

これはちょっと異例ですね。

いや、さらにあと2タイプありますね。

ポケットトランペットというコンパクトなタイプと、ピストンではなく“ロータリー”式になっているトランペットもあります。

おっと、まだあります。

通常のトランペットはキーがB♭ですが、キーがCのトランペット(C管)もあります。

前者は、ドレミファソラシドを吹くと、ピアノで弾くB♭の音階の音が出る、というタイプ。

トランペッターはドレミ〜と吹いているつもりですが、その音はすなわち、シドレミファソラシ(シとミは♭)である、という次第です。

それに対してC管は、ドレミファソラシドと吹いて、ドレミファソラシドの音が出るんですね。

そちらのほうがいろいろと便利だと思うんですが、C管は特殊なタイプです(あまり使われていません。クラシックではちょこちょこ使われているっぽいですが…)。

というわけで、トランペットはタイプ違いが計6種類あります。

これは、相当に珍しい状況だと思われます。

木管楽器ではこんなことはないです。

例えばサックス。

音域の高い楽器から、ソプラノ、アルト、テナー、バリトン、とありますが、それぞれ、キーも音域も異なります。

その意味では、完全に別楽器です。

ちなみにキーは、ソプラノから順に、

B♭、E♭、B♭、E♭。

さらにちなみに、ソプラノサックスには、楽器が真っ直ぐな形状の通常タイプと、曲がったタイプの“カーブドソプラノ”があります。

とは言っても、音色はほぼ同じ。普通のソプラノと、カーブドソプラノは、同じ楽器と言ってしまってOKでしょう(サックス吹きではないので、少々乱暴…)。

それに対して、トランペットはタイプ違いが6種類もあるとは…。

面白いですね。

(面白ですね、で片付けてしまうという…)。

さて、ぼくのフリューゲルの話を…。

この楽器をぼくは、中古でゲットしました。

ぼくが25歳くらいの時に、師匠から譲っていただいたものです。

師匠はこれを、高校の時に買ったとおっしゃっていました。

ということは多分、1970年代終盤に生産されたモデルではないかと(師匠はぼくよりも4歳歳上なので計算して…)。

『ケノン』、というブランドで、今はなきメーカーです。

しかし、その音色の良さは、今もなお誉れ高い(知ってる人の間では…)。

特に、古い時代に生産されたもののほうが評判が良いですね。

ぼくのも、良いとされる時代に生産されたグループに入っていると思います(といいつつ、ちょっと自信がないです。ネットで検索しても、調べがつかず…)。

ただ、グレードが高いモデルではないです。

なので、楽器屋に持っていっても、良い値段が付くことはないと思われます。凹みも結構ありますし…。

って、これを手放す気はゼロなのですが。

(価値を知りたい気持ちはありますが…)。

さて、このケノン。音色は良いのですが、音程が取りづらい、と言われています。

つまり、扱いづらい。

師匠も音の良さは認めつつも、プロユース的には音程がイマイチで使いにくかったようで、違うメーカーのものも持っていらっしゃいました。

そうは言いつつも、こちらもステージで使っていらっしゃいましたが…。

でもぼくが欲しがったので、安く譲ってくださった、という次第です。

(そのうちに、師匠についても綴らせていただきますね)。

そんなこんなでございまして。

この楽器、とても良い音がするのです。

ぼくはどちらかと言えば、トランペットよりもフリューゲルの音色を褒められることのほうが多いのですが、それはまさに、この楽器そのものの音色の良さなんですよ。

その意味でも、ぼくはこの楽器を手放せないのです(師匠から譲っていただいたものだからという理由以上に)。

とかなんとか書くと、じゃあ、どんな音なのよ、って気になる方もいるかもですね…。

そんな方は、こちらのYouTube音源を、どうぞ。

まさに、ロングトーンに命をかけた、太田祥三の神髄がここに。

イントロ後半から登場いたします。

あとは、中盤からは、もう、ずっと伸ばしっぱなしです(しかし、ノンビブラート)。

と、結局、YouTube音源に誘導する回となってしまいました…。

(この音源、もう3年以上前の録音なので、今のほうが上手くなっている、はず…)

正直、トランペットは新しい楽器がほしいのですが、フリューゲルはいらないです。これを一生使い続けようと思っています。

押忍

2015/02/17 10:01 | ohta | No Comments