« 第28回バーチャル座談会『新春放談、行く年来る年2014/2015』(その8) | Home | 新年の抱負 »
練習用のミュート(消音器)の最新事情をレポートさせていただきます(一般的に有用な情報とは思えないながらも…)。
まずは練習用ミュートがどのようなものか、というところから入らせていただきます。
(実は2012年の2月のコラムで練習用ミュートのことを書いております。それとだぶる内容も含みますが、相当に日にちも経っていますので改めて…)
ミュートとは、ラッパの“ベル”の部分に装着するもので、音色を変えるためのアタッチメントです。
で、音色を変えるというよりも、消音に特化したものが“練習用ミュート”です。
ちなみに、トランペットやトロンボーンなどの金管楽器は、ベルの部分にそれを装着して消音することが可能ですが、サックスなどの木管楽器では、そのような消音スタイルがとれません。
サックス等は、楽器本体に押さえる穴がたくさん開いています。
そのようなタイプの楽器は、楽器全体から音が発せられるので、消音のしようがないのです。
なので、サックス類は練習場所の確保が大変です。
それに対して、トランペットは幸せです。
それを使えば、家の中でも概ね普通に練習できるのですから。
ぼくが使っているのは、YAMAHA製の『サイレントブラス』という製品です。
15年くらい前から使っています(製品は1995年から存在していたようです)。
これはミュートと小型アンプで構成されている製品で、ミュート内部にマイクが入っていて、小型アンプを通しヘッドホンで音が聴ける、という機能を持っています。
ぼくはこの機能を、一切使っていません。
この約15年の中で、3分くらいしか使っていません。
擬似的な音という色彩が濃く、ぼく的にはそれを聴けることにあまり意味を見い出せず…。
(練習用の伴奏と一緒に吹ける等々、利点はあるようですが…)。
しかしながら、消音効果は相当に大きいです。
そして吹き心地に大きな違和感がないのです。
十分に使えるアイテムだと思っています。
どのくらい消音できるかというと、普通に観ている時のテレビの音量くらい、もしくはそれ以下まで下げることができます(って、どのくらいの音量でテレビを観るか個人差がありますが…)。
まあまあ、オープンで吹ける環境があれば(意地でも作って)その環境下で練習したほうがいいのですが。
やっぱり、自分が出している音を聴くことは、とてもとても重要なんですね。
なので、時々はスタジオで個人練習もしています…(それほど頻度は多くないです)。
あと、練習用ミュートで練習する上でのコツもあります。
コツというか、“意識すべきこと”ですね。
それを意識することで、練習用ミュートを使った練習の効果を上げることができる、と考えています。
個人的に思うことであり、正しい認識でない可能性もありますが、参考程度に書かせていただきますね(って、ラッパを吹かない方にとっては、何の参考にもならないのですが…)。
ポイントは以下の3点です。
1・出したい音をしっかりとイメージすること
2・今出している音(ミュート越しに聴こえる音)が、実際はどんな音なのかを感じ取ること
3・細かな部分をおろそかにしないこと
それぞれを解説させていただきますね。
まず、1について。
これは練習用ミュートを付けていないときでも同じなのですが、出したい音をイメージすることが、ラッパを吹く上でもっとも大事なことだと考えています。
良い音をイメージせずに、良い音を出すことはできないと思っています(多分、一般論…)。
次は、2について。
練習用ミュートを使って吹いていると今どのような音が出ているのかがわからないわけですが、そこをなんとか、どんな音が鳴っているか感じ取る必要があると思っています。
個人的には、ここは相当なポイントだと思ってます。
ドラッグストアの“ポイント8倍デー”並みのポイントの高さだと思っています(相当ですよ、ポイント8倍デー)。
どのようにそれを感じるかと言いますと。
主には、唇の振動している感触から、こういう感触の時はこんな音がしている、と感じ取るようにしています。
感触と、ミュートを介して聴こえる音(響き感だったりアタック音だったり)を分析して、頭の中でそれを実際の音として構築しイメージする、という作業です。
今鳴っている音を聴けないのことが練習用ミュートの最弱点ですので、それに対処しようという話なのです。
“闇雲に吹く”、これは避けたいです。
そして3つ目。
正確な音を聴けないことをいいことに、細かな部分をないがしろにしがちになります。
これは非常に良くないです。
練習をしているという満足感は得られても、まるで練習になっていない、という状況を生み出す危険をはらみます。
(ほんと、どうでもいい話ですみません…)
ところで、このYAMAHA製『サイレントブラス』の登場以前にも、他社製の練習用ミュートは存在していました。
しかしそれらは、抵抗感が結構違っていて、使えるものという認識を持てませんでした。
なのでYAMAHAの『サイレントブラス』が登場しても、これも同じようなものだろうと、たかをくくっていたんですね。
と、そんな時、大学のジャズ研の誰かの結婚式の2次会で、ぼくより相当に上手なラッパの後輩に会いました。
どうやって練習しているか、という話になり、彼曰く、
「工場で練習しているが(会社を経営しているんです。彼)、譜面をさらったりとかなら『サイレントブラス』で家で練習しています」
「いやいや、キミキミ、練習用ミュートで練習にならないでしょ」
「いえ、全然大丈夫ですよ。使えますよ」
(ぼくより相当に上手い彼が言うのですから、使えるのかも…)
「そなの? で、いくらよ、それ」と聞いたらば、
「1万5000円くらいっすかね〜」とのことで。
当時ぼくは、ラッパの練習のためにクルマを所有していました。
車体はおんぼろでしたのでローンは早々に終わっていたものの、駐車場代、保険、税金、車検代で、年間60万円ほどが消えていました(もちろん、他の用途でクルマを使うことはありつつでしたが…)。
というわけで即、楽器屋に行き、『サイレントブラス』を試し、確かに懸念していた“抵抗感の違い”はそれほどでもなく。
大事なのは音をイメージすることだな、と感じ。
自宅で練習できるくらいまで音量を下げられるその利点を重んじ購入、即クルマは処分、以来『サイレントブラス』を使い続けている、という次第です。
で。
ちょっと前にふと気が付きました。
『サイレントブラス』の新製品が出ているではないですかっ!!
多分、初のモデルチェンジだと思われます(もう1年以上前に出ていたっぽい)。
約18年振りで新しくなっているのだから、下手をすると劇的に品質が向上している可能性もあります。
これは試すしかないっす!!
たまたま今月、臨時的なお仕事の原稿料が入る予定があり(若干)、ついつい気持ちも大きくなり、先日楽器屋さんに行き、試してきました。
そしたらば…。
この約15年間、YAMAHAの『サイレントブラス』だけが唯一の使える練習用ミュートだと思っていたのですが、知らないうちに他社からも良いものが出ていたようで…。
この15年で、状況はいろいろと変わっていた、のです…。
ここまで相当に長くなってしまいました…。
禁断の“続きモノ”形式を取らせていただきます。
って細かいことを言いますと、一部在庫が切れていたりして、まだ注目製品を試せていないのです。
というわけで、現状、未確認情報があり、それも確認した上で、“練習用ミュート最新事情”のまとめをさせていただきたいと思っております。
昨日、楽器店より在庫した旨のご連絡をいただきましたので、早速試してきます。
それでは、続編をお待ちください!
押忍