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僕がイギリス留学時代に大学院で勉強していた時のこと。スポーツ経済学の授業でCompetitive balance(競争バランス)という言葉があった。このcompetitive balanceとは、スポーツは試合の勝敗の不確実性が高ければ高いほど面白く、ゆえにもっとも需要が高まるというセオリーです。
試合の勝敗の不確実性が最も高い試合とは、つまりは勝つ確率が50%の時の事。そして、このセオリーに従って、不確実性を高める為にプロスポーツリーグはクラブ間の格差を無くすべきだと言う人々もいます。この格差を無くすため、不確実性を高める為に様々な施策が各国のプロスポーツリーグで導入されています。
その代表的な例が、野球のドラフト制であったり、収入の均等分配であったりします。
しかし、このセオリーは正しいでしょうか?本当にどっちが勝つか分からない50:50の試合は最も面白いでしょうか?
僕、個人的な意見で言うと、答えは「ノー」です。
勝敗の不確実性はスポーツを面白くする要素の一つかもしれませんが、重要な要素では無いと僕は考えます。もっとも重要な要素は何かと言うと、僕はストーリーだと思います。
その試合がどんな意味のある試合なのか。その前後にどんな物語があるのか。という物語が一つの試合を面白くするのです。
浦和レッズがなぜあれだけのビッグクラブになったか(放送権料を除けば欧州でもトップクラスに入る収入規模)?それは、1993年のJリーグ開幕からずっとビリであり、弱小クラブであり続け、しかも2部落ちと言うどん底を経験し、そこから這い上がりリーグ優勝、アジアナンバーワンにまで駆け上り強豪クラブの地位を築くと言う、仕組んでもまず実現出来ないようなストーリーを実現してしまったからなのです。そのストーリーに人々は魅了された。
例えば欧州の名もない中規模クラブとFCバルセロナがUEFAチャンピオンズリーグで戦う事になったとします。この場合、勝敗の不確実性は高くありません。大半の人がバルセロナの勝利を予想出来ると思います。しかし、名もない中規模クラブのファンは地元にあのバルサが来るのだと大喜びで、多くのファンが一度この目で見てみようとスタジアムに足を運ぶでしょう。
あのバルサが地元にやってきたというだけで記念品が作られ飛ぶように売れます。これはバルサという世界トップクラスの強豪クラブが、クジ運でたまたま戦う事になった欧州の名もないクラブと戦うというストーリーが出来あがった事により生まれる需要なのです。
リーグ戦も同じです。いつまでもどこが勝つか分からないリーグは、何のストーリーも生み出しません。誰が強いのか?誰が弱いのか?誰が憎たらしいのか?格差によって作り出される役によってストーリーは生まれるのです。イングランドのプレミアリーグも、スペインも上位クラブとそれ以外のクラブの格差が大きいリーグです。それでも人気は衰えるどころか伸び続けています。
ドラえもんもジャイアンやスネオがいるから面白さくなるんです。彼らがいるからドラえもんが際立つのです。
スポーツリーグもアニメや映画に学ぶところが多そうですね~。