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2011/04/01

『川の底からこんにちは』

ストーリー 
上京して5年のOL、佐和子(満島ひかり)は、
仕事も恋愛もぱっとしない毎日を送っている。
佐和子の口癖は、「どうせ私なんて中の下の女ですから」
そんな自虐が生み出す妥協の人生が、父親の急病の知らせを受けて一変する。
一人娘の佐和子が帰郷して父親のしじみ加工工場を継ぐことになるのだった。
しかし、従業員のおばさんたちには受け入れてもらえず、
会社の経営も悪化の一途をたどり、おまけに工場までついてきた彼氏にも浮気されてしまう。 
そんなまさに八方塞がりのどん底のさ中、
佐和子は開き直って彼女に立ちふさがる障害に立ち向かっていく。

自己評価が低いんだか謙虚なんだかわかんない佐和子の曖昧さは、
私たちのまわりをうっとうしくまとっている清々しさとは無縁の空気そのものだ。 
若さに似合わない悟ったようなあきらめたような独特の彼女の気だるさは
周囲をいたずらに萎えさせ、力を奪っていく。
 私も佐和子のことを笑えない。
斜に構えてやたら低く自分を見積もって嘆いてばかりいるからだ。 
映画の佐和子は嘆くかわりに淡々とクールに自分をやんわりと否定する。
しかし、キャパを超えたときには開き直りという梯子を立ちふさがる壁にかけて、
かっと眼を見開いて登っていく。 
自分のキャパを超えたと感じる逆転層に突入した瞬間、
私は佐和子と同じく開き直る。
そして、自己評価が低く弱ければ弱いほど、
それを逆にした全能感や強さに反転できるのだ。
ほんの一瞬だけ。

2011/04/01 12:00 | higashide | No Comments