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2014/08/29

演劇関係者が結婚式場で働くと、感じると思います。

それは、結婚披露宴は演劇に似ていると…

僕は、結婚披露宴のことを、新郎新婦を主役としたパフォーマンスの様に捉えています。

そして、結婚披露宴の現場と演劇公演の現場には、肩書きが違ったりしても、果たす役割が似通ったポジションがある様に感じるのです。

具体的に挙げます。

・主演俳優=新郎
・主演女優=新婦

言わずもがなですね。

・演出=プランナー

作品全体の構成を考え、役者の芝居や舞台効果をディレクションし、まとめあげて一つの作品として完成させていく演出家。
そして、新郎新婦に様々なことを提案しながら披露宴の全体像を作り上げ、各スタッフへの連携を取りまとめるプランナーさんは、似通った存在かと思います。

・舞台監督=キャプテン

舞台(会場)を設営する指揮を取るという点と、本番当日のタイムスケジュールを管理し、進行においてGOサインを出す責任者という点において、同一の役割を果たしていると言えましょう。

・照明=サービススタッフのスポット担当

スポットライトのある会場だと、サービススタッフがそれを操作することが多いのですが、まさに照明さんですね。

・音響=音響

そのまんまです。

・衣装=衣装

これもそのまんまです。

・舞台美術=花屋

結婚披露宴の会場において、もともと会場に備わっていない装飾物を特別に建て込むことはあまりないですが、メインテーブやゲストテーブルなどに置かれた花達が、会場を鮮やかにします。
キャンドルの類も花屋さんが扱っていることもあり、ホテル等であれば企業の会議などにも使われるのと同じ部屋を、お二人の晴れ舞台として彩っていく花屋さんは、美術さんの様な存在ですね。

・アンサンブルキャスト=サービススタッフ

料理やお飲物をサービスするスタッフ達は、単にお客様のところまで皿やグラスを運ぶだけではありません。
揃いの制服を身にまとったサービススタッフ達の立ち居振舞い全てが、おもてなしを受けていることをゲストが実感出来る演出かと思います。
ケーキ入刀と同時に、全員が一斉にポンと音を立ててシャンパンを抜いたり、綺麗に並んで拍手をしたり…
また、全員揃って一礼をした後に、流れる様に動いてサービスする姿は、まさにアンサンブルキャスト達がダンスを踊っているかの様ですね。

・受付スタッフ=コンシェルジュ

劇場で、チケットを確認して座席へ誘導する受付スタッフと、お客様を会場まで案内するコンシェルジュは似ています。
お客様が遅れていらっしゃったときなど、イレギュラーな事態が起きたときに、臨機応変にご案内することが求められる点でも共通しています。

・観客=ゲスト

俳優達が客席の皆様に素敵なパフォーマンスを披露する様に、新郎新婦はゲストの皆様に最高のおもてなしをお届けします。

そして、肝心の司会者は何かと言えば、出演俳優の中で、一番実力が求められる脇役、名バイプレイヤーとは言えないでしょうか?

あるベテランの時代劇俳優さんが仰っていた言葉で印象的な言葉があります。

それは、一話完結型の連続ドラマにおける本当の主役は、毎回のゲストキャラクターであるということで、主役と銘打たれたレギュラーキャラ達はいわば狂言回しであり、彼らが脇を固めることで、真の主役が引き立てられ、作品が面白くなるのです。

時代劇って、毎回ストーリーのパターンが同じなのに、なぜ飽きられることなく、何年も続くのか、疑問に思われる方もいらっしゃるかと思います。

その答えは、毎回主役が違って、それをレギュラーメンバーが脇役としてきちんと引き立てるから、同じ様なストーリー展開に思えても、毎回斬新だということなのかもしれません。

このことは、結婚披露宴も似ているかもしれません。

披露宴と言えば、新郎新婦が入場して、挨拶があってケーキ入刀があって、ドレスチェンジがあって…と、進行において、基本的なパターンの様なものが存在します。

それでも、主役となる新郎新婦は毎回違う人で、それぞれ異なる人生を歩んで来ているのですが、名脇役である司会者が、しっかりとお二人の魅力を引き立てれれば、たとえゲストがそれまでに何回の披露宴に列席しようとも、一生思い出に残る披露宴となることでしょう。

披露宴の良し悪しは司会者で決まるとさえ言われています。

それは、演劇や映画が、ときには主役よりも脇役によって面白さが左右されることにも似ていると思います。

次回は、「浴衣男子の皆様へ」(古典芸能)をテーマにしたコラムをお届けします。

ウエディングMC・酒井孝祥

2014/08/29 08:32 | sakai | No Comments