« 歌詞を覚える | Home | 小さい人の日常 2014-05-24 20:38:21 »
僕がジャグリングを始めた年と、「ジャグリングショップナランハ」がお店を始めた年は一緒、ということで、
この15年くらいの話ではありますが、
「ボール」「ディアボロ」「シガーボックス」について、流行の移ろいの話をさせていただきたいと思います。
○ボール……ボールはここではトス(※投げる)専用として考えてお話をします。
僕がジャグリングを始めたころは
練習用としても有用なビーンバッグ、大きくて見栄えがいいステージボール、とても高級品シリコンボール、の3種類の選択肢くらいしかなかったと思います。
他にもあったかもしれませんが、これら以外のボールはあんまり見たことがなかったです。
そして、実質練習用としてはビーンバッグ以外ありえなかったわけですね。
表面の素材が変わったりとか、見栄えや大きさが変わる等ちょいちょいあったりはしましたが、
そこら辺は好みの問題だったりしますのでまあ割愛。
そんなビーンバッグ全盛期に風雲児が現れます。
ブラディックという、1999くらいにとても活躍したジャグラーがいて、
そのブラディックの使っていたのが「ロシアンクラブ」と「ロシアンボール」と呼ばれるものでした。
ロシアンクラブは(見た目のあんまりよくなさもあって)あんまり使っている人はいなかったのですが、
「ロシアンボール」は簡単に自作できることと、「ビーンバッグより軽い!」「手元にしっくりくる!」「特定の技(ストール)がやりやすい!」「振ると楽しい!」などという特徴があり、
瞬く間に全国的に拡散(たいてい自作派だった)。
さらに、ショップでビーンバッグより安い値段で売られ始めたことから、
一時はビーンバッグ絶滅するんじゃないかという勢いで広がって行きました。
ただ、踏むと壊れやすいことや、
形が球形で固い=多くのボールを片手につかむ場合、持ちにくくなる(※ビーンバッグなら多少形がゆがむので掴みやすい)という欠点もあること、
妙な軌道を描くので「ジャグリングに慣れるまではビーンバッグの方がいい」という考えもあったので、
ビーンバッグも絶滅はせず(いや、そんな本当に絶滅寸前までいったわけではないけど)根強く存在していました。
ところで、ビーンバッグは長らくナランハで売っている普通の「ビーンバッグ ノーマル」というものがトップセラーだったと思いますが、(今でもそうだと思うんですが)
このビーンバッグ、長く使っていると表面に穴があいてしまったり、やわらかくなって球形をとどめなくなってしまったり、という状況に陥りやすいものでした。
この耐久力の不満がロシアンボールに変わられていった原因の一つであったと思うのですが、
上級者向けに色々なボールが作られまして、
「スポーツビーンバッグ」「ラドファクタービーンバッグ」等がこれにあたります。いわば上級者向けビーンバッグ。
こいつらは、頑丈にできていまして、長くの間使うことができる代物ですね。
こういう上級者向けのビーンバッグの販売もあって、ビーンバッグは復権、
今では大体半々くらいのユーザー率であると思います。
ロシアンボールの亜流であるシリックスボールなど、これ以外のカテゴリに属するボールもありますが、
現在ではそんなところです。
ロシアンボールを選ぶか、ビーンバッグを選ぶかはやりたい技の傾向もあったりするので、人それぞれです。
因みに僕は最初からビーンバッグ派ですが、ロシアンボールも持っています。
○ディアボロ
ディアボロについては、僕はメインで使っている道具ではないので伝聞の話がメインになります。
(間違いがあったらこっそりご指摘ください。)
まず、僕がジャグリングを始めたころは、ヘンリーというドイツのメーカーのディアボロ、「サーカス」一択。
価格を抑えた「スター」等もありましたが、「エコノミータイプのディアボロ」だとホームページ内で言われていましたし、
本格的にやろうという人はやはり「サーカス」でした。
迷彩模様の「アーミー」という選択肢もありましたがあんまり見なかったな……
さて、僕がジャグリングを始めたころ、丁度バンダイのけん引したヨーヨーブームがひとしきり終わり、
その後ディアボロの大会が各地で行われるようになったりして、ディアボロのレベルが飛躍的に向上しました。
彼らは勿論バンダイのディアボロを使っていたわけですが、ディアボロブームもひとしきり終わり、
バンダイのディアボロの取り扱いが終了。
その後継種として使われていたのが、ヨーホーというオーストラリアのメーカーの「ディアビッグ」(またの名前を「ディアジャンボ」)というもの。
「サーカス」がゴム製なのに対し、「ディアビッグ」はプラスチック製。
「ディアビッグ」の方が安く、多分ディアボロ使いのほとんどが「ディアビッグ」に流れてしまったのではないかと思います。
しばらくは「ディアビッグ」が覇権を握ります。
ところで、このディアビッグ、やはり安いだけあって、個体差が大きかった。
上級者になってくると、細かい軸のブレだとかそういうのが気になるもので、
「ちゃんとしたディアボロ」の登場が待たれることになります。
そんな中、
ディアボロ使いのカリスマ、矢部亮さんのプロデュースする「フェイリン」なるディアボロが登場。
それまで覇権を握っていた「ディアビッグ」よりだいぶ高いもの
(本体は「サーカス」と同じくらいなのですが、持ち手(ハンドスティック)もけっこう高い。)
なのですが、瞬く間に上級者ディアボロ使いの間に広まっていきます。
この「フェイリン」は、表面が削られたり、ひび割れたりする可能性があるという弱点があったのですが、
続けざまに耐久力が強化された「シャオリン」が登場。
他にも、特殊なディアボロの技に対応するための軸(ベアリング軸というやつです)を備えた「サンバイリン」
多くの数のディアボロを回す人向けの「ゲンフウリン」、さらにそれのベアリング軸の「ゲンフウサンバイリン」
あと、熱狂的なファンのいる「ソアリン」など、この辺りから多数登場し始めます。
この辺りから、ディアボロ使いは用途に合わせたディアボロを選択できるようになりました。
しばらくの間、これら「××リン」シリーズがディアボロ使いの間で流行し、現在に至っています。
ところで、最近マレーシアのエピック社から出ている、通称「エピックディアボロ」なるものが流行り始めており、
こちらがまた「××リン」シリーズに置き換わって流行するかもしれません。
ところで、これだけ新しいディアボロが出ていながら、ジャグリングショップナランハでは
「サーカス」も「スター」も「アーミー」も「ディアビッグ」も売り続けられています。
「スター」「ディアビッグ」は低価格路線として今後も売れていくんでしょう。
「アーミー」はどちらかと言うとパフォーマー向けでしょうね。(模様がついているディアボロは珍しいし。)
「サーカス」は「フェイリン」や「シャオリン」に比べると、本体価格は似たようなものなのですがハンドスティックの値段分お得な感じが。
ジャグリングを本腰入れてやってみようという初心者向けの商品として良い値段なのかもしれません。
(フェイリンやシャオリンはハンドスティックが別売なので、安いタイプのハンドスティックを選べば同じくらいの値段になるのですが。)
因みに、僕は最初に買ったのは「サーカス」。
この「サーカス」は10年以上使い続けていましたが、
今は見た目の良さもあって「シャオリン」を使っています。
○シガーボックス
ここまでお読みいただいた割とベテランのジャグラーならこの話のオチが見えているはずですw
まず、僕がジャグリングを始めたころは
3種類のシガーボックスがありました。(「スター」「ウッディ」「プラスチック」)
「スター」は使う前にいつの間にかなくなってしまったのでどんなシガーボックスだったのか不明。
木製の「ウッディ」とその名の通りプラスチック製の「プラスチック」は両方ともアメリカの老舗メーカーDubeのものでしたが、
「ウッディ」は耐久力に難があったこともあり、ほぼ「プラスチック」一択。
しばらくは「プラスチック」のみが使われることになります。
そして、2005年~7年くらいだったか、
ジャグリングショップの(当時)新鋭、バイキングが木製のシガーボックスを販売し始めます。
その後、改良されてバイキングシガーボックスVer2 Plusという、ウッディシガーボックスでありながら、
一番酷使するシガーボックスの両サイドをプラスチックの頑丈な板で作るという、「シガーボックスVer2 Plus」というものが出ます。
(これが通称「バイキング」と呼ばれているシガーボックス。)
「プラスチック」よりも価格が安い上、耐久力もそれなりにあること、
そして、「プラスチック」に比べてゆがみにくいことから、こちらを使う人も多くなったと思います。
その後何の変化もありません。
……以上ですw
現在のところ「プラスチック」と「バイキング」が五分五分の印象です。
ぼくの周囲では「バイキング」の方が圧倒的に多いのですが、「プラスチック」を使う人もいます。
特に、練習環境で床がコンクリートとかだったりすると、「プラスチック」の方がやはり頑丈なので。
最近新しくナランハでビアード社のシガーボックスを取り扱いし始めましたが、
聞く限りではDube製の「プラスチック」に軍配が上がるような。
ラドファクターでプラスチックシガーを開発中という話もあるので、そちらに期待したいところではあります。
<追記>
シガーボックスの「ウッディ」はDube製ではなく、ヘンリースのものであると指摘を受けました。
全然知らなかったです。