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今回はちょっと宣伝です。
僕が2007年から客演させて頂いている吹奏楽団、シエナ・ウインドオーケストラの新譜が5/14に2枚同時リリースされました。いずれも僕が出演した演奏会のライヴ録音です。
1枚目は昨年の夏、世界的なジャズピアニスト山下洋輔さんとのツアーで演奏したプログラムの一部がそのままCD「ラプソディ・イン・ブルー」になりました。録音はツアーの最後の2日間のもの。
ジャケット写真をよく見るとめちゃくちゃ拍手している僕の姿が写っています 笑
収録曲は
Mr.O/狭間美帆
ピアノ協奏曲第1番 即興演奏家の為の《エンカウンター》:第4楽章/山下洋輔
ラプソディ・イン・ブルー/ガーシュイン
ボレロ(ピアノ・ソロ版)/ラヴェル、山下洋輔編
まず何といっても1曲目の「Mr.O」、これが最高にカッコいい!
作曲者の狭間美帆さんは1986年生まれとまだ20代の「美女」作曲家。彼女がアメリカで磨いた感性で書かれたこの曲、吹奏楽界の新感覚ジャズと言えるでしょう。「コントラバスとか、低い音が大好きなんです~!」と言ってくれた彼女、この曲もベースを上手に活かしてくれています。
2曲目の「エンカウンター」は山下さん自ら作曲したピアノ協奏曲。
ソリスト山下さんと締太鼓のアドリブバトルが見どころです。締太鼓を担当したのはシエナの打楽器奏者土屋吉弘君。ツアーでも、毎回2人のアドリブバトルには楽しませてもらいました。
3曲目が「ラプソディ・イン・ブルー」。
クラシックの演奏家と共演する時とは全く違い、カデンツァになると「ヤマシタ・ワールド」が繰り広げられ、ツアーでは「山下さん、いま何の曲やってるか忘れちゃって、ひょっとしてこのまま帰ってこないんじゃないか・・・?」と不安にすらなった事もありました。ツアーにおいて毎回違うカデンツァを聞かせてくれた山下さんの世界が存分に楽しめます。後日談になりますが、ツアー直後のテレビ朝日「題名のない音楽会」収録ではこれまた世界的ジャズピアニスト小曽根真さんとこの曲を共演し、この時の演奏がかなりの名演として吹奏楽ファンに語られているようです。
最後にラヴェルの「ボレロ」。
ツアーのアンコールで演奏された曲。通常フルオーケストラで演奏するボレロを山下さんが一人で演奏してしまいます。この曲に限ってはライヴが一番かもしれません。最後のほう、肘打ちを繰り出し演奏する姿に聴衆は息を呑んで惹きこまれていました。
このツアーは本当に「熱狂」という言葉がぴったりくる演奏旅行で、今この音源を聞くとあの興奮が甦ってきます。少しでもクラシック、ジャズ、吹奏楽、オーケストラ、ピアノに興味のある方はぜひ聞いてみて下さい。
つづいて同時発売の「スパーク!スパーク!スパーク」。
こちらはイギリス人作曲家スパークの作品を、作曲者自身の指揮で演奏した今年1月の演奏会がCDになったもの。2枚組です。
収録曲は
陽はまた昇る/フィリップ・スパーク
オリエント急行/フィリップ・スパーク
エンジェルズ・ゲートの日の出/フィリップ・スパーク
ウィークエンド・イン・ニューヨーク/フィリップ・スパーク
メリーゴーランド/フィリップ・スパーク
ダイアモンド・コンチェルト – ユーフォニアム協奏曲第3番/フィリップ・スパーク
宇宙の音楽/フィリップ・スパーク
サンダーバード/バリー・グレイ(編曲:フィリップ・スパーク)
東日本大震災復興支援の為にスパーク氏が作曲、印税は全て救済基金に寄付されるようになっている「陽はまた昇る」、吹奏楽ファン必聴の難曲「宇宙の音楽」、ユーフォニアムの世界的ソリスト外囿祥一郎さんを迎えて演奏した「ダイアモンド・コンチェルト」など、こちらも聴きどころ満載です。
個人的にはピチカート(指で弦を弾く奏法)がかなり多く、リハーサルで指の皮が破れ、本番は肌色の包帯をしながら乗り切った記憶が一番強いのですが、本番後の打ち上げでスパーク氏に「ピチカートが過酷過ぎる」と言ったら笑っていました。ただ、曲は素敵な曲ばかりですのでぜひこちらも聞いて頂けたら幸いです。
宣伝ばかりになってしまいましたが、宜しければぜひ聞いてみて下さい。