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2014/04/23

トランペットって、いやすべての楽器がそうなのでしょうけれど、良い音を出すためには、良い音が頭の中で鳴っている必要があるんです。

逆に言えば、イメージしている音しか出せない。イメージできていない音は出しようもない、ということだと考えています。

口笛なんかでもそうです。

試しに何気なく口笛を吹いてみてください。

今度は、今まで自分が聴いたことのある口笛の中で。もっとも良かった音をイメージして吹いてみてください。

後者のほうが良い音がしたはずです。

あながち、気分だけの問題でもないんです。

良い音をイメージするだけで、自然とお腹に力が入り、口の中で音を響かせようと舌の位置を下げて空間を広げてみたり、そのようなことが無意識にできていたはずです。

イメージした良い音に、体が向かっていくんですね。

トランペットでも同じです。

他の楽器と比べて、イメージすることで自然とその音に近づく比率は高いと思われます。

体で音を出す、という意味合いが大きい楽器だから、だと思われます。

で、何が言いたいかというと、「良い音を聴くことは、闇雲な練習よりもよっぽど練習になる」ということです。

良い音をイメージできるようになるからです。

といいつつ、ぼく、トランペットのコンサートに普段ほとんど行っていないんですよね。

ジャズを積極的に聴かなくなっていて、吹奏楽やクラシックもほとんど聴きませんし…。

なんやかんやライブはよく行きます。しかし、シンガーの方のものがほとんど。

それも、1〜3人くらいの小編成の場合がほとんど。

やっぱり生のトランペットもたまには聴かないとな、と、心の隅で思っていたところだったんですね。

そこに、気になるライブを発見!

行ってきました。

今回のコラムは、本当のところを言うと、そのライブに行ってきたことを書きたかっただけなんです。

でもそれだけでは単なる日記なので、無理矢理、上記をくっつけた、という次第です。

いや〜、素晴らしかったです。

日付けは4月20日(日)。

場所は青山のプラッサオンゼさん。

このコラムでも、何度か触れたこともあるんですが、日本におけるブラジル音楽の殿堂、みたいなお店です。

ぼくはここ数年、なんやかんやと通っていまして、そして今月のスケジュールを何気なくチェックしていて、今回のライブの情報を知り得ました。

ぼくはブラジルのポップスが好きで良く聴いています。

ぼくが良く聴いているシンガーソングライター達にひっぱりだこのブラジル人ミュージシャン達がスペシャルなライブをする、とのこと。

編成は、ドラム、ベース、ギター、サックス、トランペット、ゲスト・キーボード、とのこと。

実はぼく、ブラジル人のミュージシャンの方々、名前を覚えるのが苦手なんですよね。

理由は2つ。

CDのライナーの文字が小さくて読めない!

名前を発音できない(どう読んでいいのかわからない)ので、響きとして名前を覚えられない!

この2つです。

なので、名前を聞いてもあまりピンときていませんでした。お恥ずかしながら…。

で、とりあえず、今回のライブのリーダーの方の演奏をYouTubeでチェック。

好みのサウンドです。

トランペットの方もいらっしゃるし。

ということで、あらかじめ予約を入れておいたわけです。

会場に着くと、ブラジル音楽の伝道師とも言うべき、ケペル木村さんが客席にいらっしゃいました。

僭越ながらぼくはケペル木村さんと懇意にさせていただいております。

なので、ケペルさんの前の席を確保させていただきました。

そして、このメンバーの方々についての情報を得ることができました(なんたるラッキー、そして贅沢さ)。

なんでもこの方々は、ブルーノート東京で公演中の、マルコス・ヴァーリさんのバックメンバーとして来日されているとのこと。

マルコス・ヴァーリさんのことをご存じの方は多いはずです。

もっとも有名な曲は、「So Nice(Summer Samba)」でしょうか。

聴けば、100人いて99人の方は聴いたことがある、と思うはずです。

ブルーノート東京で、3日間計6公演。2日公演して、1日休んで、もう1日公演する、というスケジュールのオフ日だったわけです。

ぼくは、マルコス・ヴァーリさんの来日を知らなかった節穴野郎だったわけですよ。

しかし、そのバンドメンバーのスペシャルライブを、よくぞキャッチしていたぞ! えらいぞ! おれ! とちょっとうれしくなりました。

そしてぼくが座ったその席が、トランペッターの方の真ん前。

楽器の先端からぼくまでの距離は、1mを切っていました。

なおかつ、コンパクトなお店なので、サックスとトランペットはマイクを使っていませんでした。

正真正銘、生音を、至近で体に浴び続けることができたわけです。

またその方の音色が、近年ぼくが理想と考えている方向の音色で。

ライブが終わった直後、ケペルさんがぼくにこうおっしゃいました。

「おーたさん、今すぐにでも弟子入りしたくなったでしょ(^_^)」

いやいや、ケペルさん、この1時間半あまりここで聴けて、そして吹き方を見られたことで、すでに相当量のレッスンを受け終わった心境です。

あの音色。体にインプットされました(現地でCDも買ってきましたので、忘れそうになったら聴き返します)。

そして、口の周りをずーと観察していたのですが、あの感じ、形、力の入れ具合(抜き具合)、すごく参考になりました。

目に焼き付けたために、家でラッパを練習してみると、その感じ、形、力の入れ具合(抜き具合)を、自分の体でトレースできているイメージです。

ライブとしての素晴らしさはもちろん、とても有意義な夜でした。

ちょっと気になったら、とりあえず行動してみるというのは、やっぱり大事ですね。

そして、家に帰って、その方々が共演したというアーティストのメインどころのCDを確認してみたら、皆さんの名前がザックザク…。

うわー、散々聴いていたこのCDのベースがあの方だったのか…、とかまた感無量…。

で。

ラッパの話に戻ります。

最高のイメージを手に入れたぼく。

でも。

そう簡単に、おんなじ音は出てくれませんね…。

にんともかんともです。

押忍
(Photo by Seigen Ono)
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手前中央で口を開けて手を叩いているのがぼくです。
多分、イエーとか叫んでいると思われます。
お写真を貸してくださいましたオノ・セイゲン様、ありがとうございました。

2014/04/23 05:20 | ohta | No Comments