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2014/03/30

皆さん、おはようございます。

ある意味、何を当たりまえなことを、
と仰る方もいらっしゃいましょうが、
これは実話です。
・・・まあ、主観的な体験談なのですが。

コジの稽古も佳境に入ってきておりまして、
先日、西宮で行った稽古のワンシーンでございました。
それは、2幕始まって2曲目にある、
フィオルディリージとドラベッラのデュエット。

1度目に演奏してみた時、
フィオルディリージの水野さんは
床に落ちた赤バラを花瓶に戻し、
白バラを花瓶から1本抜いて・・・という作業を忘れ、
手ぶらでやってしまったので、
2度目はそこを直して演奏したわけです。

後半、冒頭の歌詞が戻ってきて、
「ため息を真似してやるわ」とか
「彼は、僕の宝よ、と言うでしょう」とか、
そういうフレーズに入ったところ、
私の耳に飛び込んできたのは、
いつになく、官能性を帯びた水野さんの歌と声。

ギョッとして水野さんを見ると、
そこには恍惚感あふれる水野さんの顔が。
その瞬間でした。
私の背骨に衝撃的な快感が走ったかと思うと、
頭が真っ白になりかけ、
恥ずかしながらイキそうになってしまいました。

終わってから、「一応これは褒めてるんだが」
と前置きして感じたことをそのまま話しましたが、
水野さんは白バラの中に、
フェランドの顔、グイレルモの顔、
それを見ていたんだそうです。

水野さんとは関西二期会研究生の同期なので、
もう14年もの付き合いになります。
その縁や絆がもたらしたものでもありましょうが、
これが「観想の力」というものです。
その時私は完全に、観客目線で
官能の渦に巻き込まれてしまったのです。

いきなりご法談になってしまいますけども、
弘法大師空海が宮中で三密加持して
仏の三昧に住し、周囲が仏を見た、
という逸話があるのですが、
まさにそういう性質のことが起きたわけです。
おかげでその日は、
「水野さんとやっちまった感」が抜けずに、
変な気分で就寝することになりましたが。(笑)

さて、他のメンバーも紹介しておきましょう。
水野さん演ずるフィオルディリージの姉妹、
ドラベッラの西田安希ちゃんは、
10月のバタフライでケートをやってくれました。
その時、水野さんと二人、意見が一致して、
彼女しか考えられない!とオファーしました。
2幕の、グイレルモと見せてくれる絡みが、
私の演出意図によくマッチして素敵です。

フェランドの島袋羊太君もバタフライ組です。
昨年2月の関西二期会サロンオペラのバタフライで、
ゴローを演じる彼を見て、これも私が惚れて、
ほわっとのバタフライでゴローをやってもらいました。
とてつもないおふざけを稽古中披露してくれますが、
それが決定打となるアイデアを生んだりもするのです。
フェランドに対する造詣も深いため、
お願いをしました。

グイレルモの井元孝弥君は、
昨年2月のドン・ジョヴァンニでレポレッロを演じてくれ、
その時からグイレルモは彼!と心に決めていた人材です。
もちろん彼には、フィガロもやってもらわねば
気が済みません。
レポレッロのウィーン再演、フィガロとグイレルモの初演、
これらを演じたフランチェスコ・ベヌッチとは
きっとこうだっただろう、と思わせる大器です。
私はこういうところにも、モーツァルト本人との
リンクをしたいと思っているのですよ。

デスピーナの松本真奈ちゃんは、ほわっとのぼんちオペラで、
魔笛のパミーナ、バタフライを演じてくれた人。
彼女は私にとって想定外の結果を出してくれた人で、
実は彼女はキャスト交代で入ってきてくれたのですが、
前のキャストがNGになった時、
口には出さなかったのですが、デスピーナとして、
筆頭に考えていた人材だったのです。
マスターはドンピシャで彼女にオファーしてくれました。
その筆頭に考えていた時に想定していた出来より、
はるかに次元を超えた出来を示してくれ、
私の演出意図にバッチリのデスピーナが出来つつあります。

ドン・アルフォンソの大西信太郎ちゃんは、
昨年のドン・ジョヴァンニでタイトルロールを演じてくれた人。
また、私の職場の同僚でもあります。
井元君同様、ドン・ジョヴァンニの時から、
ドン・アルフォンソは信ちゃん!と心に決めていた人です。
この悪魔的なまでのサイコさは、そうそう出せません。
ドン・アルフォンソは間違いなく私の分身です。
私がトラウマを背負った状態、
敗北感や劣等感を抱いた状態、
そんな時に出る、サイコな一面を投影しています。
この演出では、一人だけ顔面を白塗りにして演じます。

どうです?精鋭でしょう?
このキャスティングだけは、
大人げなくも、自慢させていただきます。
4月12日です。
是非是非、お越し下さい。

2014/03/30 02:18 | bonchi | No Comments