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2014/03/05

地球の舳先から vol.310
ミャンマー編 vol.8

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元旦の朝。もうこれで5日連続の5時起きにも慣れ、第三の目的地へ向かう。
インレー湖。南北に20km以上になる大きな湖に湖上民族が暮らす景勝地だ。

バガンのポータルとなるニャンウー空港は小さな空港で、
空港に入ってすぐのチェックインカウンターのすぐ横の扉から滑走路に出る。
しかし飛行機は1時間遅れ、2時間遅れた。
「雪で天候調査」に耳を疑う。…雪?

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果たして2時間遅れでインレー湖の麓ヘーホー空港へ到着。
今回は旅しやすい地であろうということもあり(ある意味その想定は甘かったわけだけれども)、この日だけガイドと専用車の手配をしていた。
シャン族である女性が非常に微妙な日本語でいろいろと説明をしてくれる。
「魚を、食べたい、か?」くらいの、おそらくわたしの英語と同等レベル。わからなくはない。
しかし目の前で旅行会社に提出するアンケートに記入させられ、「LANGUAGE」欄で「excellent」にマルをつける手が震えた。
山をふたつ越え、インレー湖の手前でチェックポイント。入域料として10ドル払う。
「ありがとうございます」なぜかガイドが言う。

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すぐの船着場から船に乗るが、想像以上の小船に驚く。
木の椅子が縦に3つ備え付けられただけの、細長い船。
それでも立派なスピードボートだ。毛布も、座布団も用意されている。
涼しい風に青い空のなかを、水しぶきをあげて湖面を切っていく。とかく気分がいい。
片足で櫓を漕ぎながら漁をする伝統法の猟師たち。船を追いかけ上空を一緒に飛ぶカモメ。

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丸太を杭に打ち、その上に木で編んだ小さな小屋のような家が続くが、れっきとした民家だ。
人々は岸で水浴びをしたり(女性も。このあたりはオープンなようである)、洗濯したり。
子どもが多く、きゃあきゃあと遊んでいる。船が通るたびに満面の笑みで手を振る。

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生活があった。生活を「営む」ということを忘れた自分の生活を思った。
それは、明日も変わらない仕事と、明日も変わらない日々が想像できているからだ。
たとえそれが、妄想に過ぎなかったとしても。
そして、生き甲斐を探す。なんのために生きているのかわからない、と言う。
当たり前だ。そうなったらもう、日々を「生きる」ことは明日に駒を進める目的になどなり得ない。
「贅沢病」はやっぱり、「病」に違いないのだろう。

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湖のほぼ真ん中にあるコテージタイプのホテルに着く。
ホテルのスタッフは非常に親切で、いろいろと世話を焼いてくれるおばちゃんが居た。
彼女に明日のボートとタクシーを頼み、ニューイヤー気分のレストランで食事を取る。
そろそろミャンマー料理の油っ気が胃に来そうだったので、キュウリのサラダにした。
ガスが止まって調理に時間がかかっているらしいが、文句を言う人はいない。
どうせほかにすることもないのだ。
なぜか、ロビーに、北朝鮮拉致被害者の家族が書いた手記の英訳版の本が置いてあった。

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「雪が降った」があながち嘘とも思えないほどの冷え込みに驚く。
ターンダウンではベッドに蚊帳が丁寧にかけられていたが、蚊など出そうにもない。
ホテルの「スパ」なるものも、極寒の部屋でマッサージというもので予想外である・・・
蛇口から出る水の黄色がかった色は気になったものの浴槽にお湯を張って暖をとり
ベッドに入ると、にゅる、とあたたかいものが触れた。湯たんぽだった。
「おおおぉぉぉ・・・」と何年ぶりかに見た湯たんぽに感動しつつ、
蚊帳と湯たんぽというよくわからない組み合わせ。
しかし結局、そいつを首の下に敷いたり、足の下に置いたり、抱いたりしてよく寝た。

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湖上ホテルだし、夜の湖に灯りはないので、一歩も外には出られない。
時間があるとなんだかんだと動きたがりがちなので、このくらいがちょうどよいかもしれなかった。

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2014/03/05 08:00 | yuu | No Comments