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2014/02/28

小鹿野で巳也曲独楽材料oganomiyakyokugoma

小鹿野で巳也曲独楽材料oganomiyakyokugoma

ディープな話題が 増えてきました…

私がこの写真の埼玉県の小鹿野町へ うかがったのは 2000年の5月の事です

曲独楽の原材料となる 木材の調達について もうプロ向けの曲独楽制作はムリだと

製作者の先生方に宣言されたのを受けての「調達旅」の何回目かでした

1985年頃 曲独楽の稽古に何とか 曲独楽を手にしなくてはと 探した頃を思い出しています

紋也師からも 女楽師からも そして私の父 源氏太郎を通じて 他の曲独楽の愛好家であったご近所のXおじさんも

みんな口をそろえて その苦労を語ってくれていたので 相当の覚悟が必要な事は

入門前の(曲独楽を意識し始めた) 高校生当時から知っていましたが その打開策については

江戸独楽の復興をされた 広井政昭先生に(今回からもう先生をつけさせて頂きます ご本人が嫌がるので今までして来られなかったけど)

頼る以外に無かったのが 現実でした

特に曲独楽の製作者の 手間と労力そして技術の高さによる精度の良さの評価というのは

曲独楽の演技の内容と 曲独楽師側の必要性との関係が 曲独楽の価格へも影響してしまうので

曲独楽を制作している側の 大きな問題点となったまま昭和の時代の曲独楽の置かれた状況は終わってしまいました

専門的過ぎて お客様に通じにくい話が続きますが ご勘弁ください

私たち曲独楽師を最も愛してくださる「寄席」で 舞踊的な演技を最小にした事もその理由のひとつかもしれません

それを避けてきたのが 三増流の 日舞の要素を取り込んだ美しさを表現する曲独楽ということなのですが

段々 それ自体 “短時間での派手な演出”を 要求される場所が増えるにしたがって 「時間がある時の余芸」風な演出効果になってきて

本来どこに流派の違いがあるのか わかりにくくなっているのが 現在ではないかと思うのです

私は入門してすぐ その違いを叩き込もうと異流派の先生方と お話できる所に行く事にしました

太神楽曲芸協会へ 女楽師が会長の頃(平成10年頃ですね) お願いして加入させて頂き 本当に勉強になりました

太神楽と曲独楽を同時に演じられる先生 柳家小志ん師ととし松師の演じ方と

三増流の違いを納得する事ができたのは 本当に有難かったです

ところで

川崎大師で毎年5月21日に 太神楽曲芸協会の「まり塚まつり」の奉納演芸がありますので 機会があったら皆さんぜひ 行かれてください

曲芸が見られてご利益が頂ける貴重な一日です…

こちらから ご覧ください 

これは 普段 稽古や寄席などで使う 芸の道具を供養する石碑を建立し 芸道の精進を願って川崎大師で行う曲芸師のおまつりです

私の名前も彫っていただいてるので まり塚で探してみてくださいね

さて
その材料の調達の面で 国産の木材の確保が 年々難しくなっていった事は

曲独楽の製作者のストレスになってしまっていて “曲独楽は飾り用と素人さん向けなら作るけどプロへは作らない”

こう宣言されてしまった時期がありました

外国産の安価な木材が当たり前に流通する一方 国産の「用途が少ない建材以外の雑木」は 流通経路から外れて

一切市場に出なくなりました

困ったのは 私たち 曲独楽師です

何とか 使える木材を探して 乾燥 試作 試験 実用 という流れに乗せていかなくては 曲独楽の木材からの完成までの期間は

その木材の置かれた環境と 木材の水分や 密度との均衡により また 木取り(削りだせる面積)の大きさも違うので

完成する曲独楽の大きさや 使える機能からどの演目用なのか選定する期間も 考慮したうえでの 早い調達が必要だったのです

すぐに どこか 木材を選んで 手に出来る場所が無いか 探しました

縁があって 山に入る事を快諾していただいたのが

埼玉県の小鹿野町でした

… 次回へ続きます 

2014/02/28 06:17 | miya | No Comments