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2014/01/30

都知事選挙の真っただ中でございます。
選挙戦の初日には、とある大物候補が街頭演説で

「脱成長」

というフレーズをうっかり使ってしまったことから、
ネット界隈で大きな話題になっておりました。

特定の候補について云々言うのが目的ではないので
その点は掘り返しませんが(たぶん口が滑ったんでしょう)、
ときどき現れる

「もう日本(東京)は充分豊かになったのだから、成長を目指すのはやめよう」

という政治思想は、果たしてありえるのでしょうか?

結論から言えば、私にはまったく共感も理解もできません
なんか以前にもどこかで書いたような気もしますが、その理由を再度掲載します。

1.
経済成長が止まった時、真っ先に沈むのは下の方からだから

まず何より、これに尽きます。
経済成長が必要なのは何も、豊かな人がより豊かになるためではなく、
社会的弱者の人たちに最低限度のセーフティネットを整えるためです。

その「再配分」が上手くいってないのは確かであり、
共産主義ですら失敗したその方法については我々にとって永遠の
課題かもしれませんが、とにかく成長を捨てることはできないのです。

いくら「東京は財政が豊かだ」と言っても、苦しんでいる障がい者団体、
介護団体、難病の患者団体の陳情は議員の元にいくらでも訪れます。

引退した方々が晴耕雨読の充分な生活をしているからといって
成長を諦めてしまえば、真っ先に沈むのは彼らなのは明らかです

成長したときに真っ先に資源が富裕層に行きわたり、
停滞すると貧困層など政治力が弱いところから財源がカットされる
政治体質は重大な問題であっても、我々に成長を捨てることは許されません。

2.
政府の借金が1000兆円を超える今、成長を諦めることは
将来世代への壮大なツケの先送りを認めることに他ならないから

そして今や、社会的弱者には「将来世代」「若者」が含まれます
成長期の若者は、いつだって貪欲で腹ペコなのです。それなのに
すでに充分に成熟した世代から「腹八分目」を押し付けられた挙句、

「最近の若者は覇気がない」
「私たちの若い頃は…」

と説教をされることに対して、
私たちの世代はもっと怒っていいと思います。

いや実は、すでにみんな心の底ではわかっているはずです。
反原発・脱原発運動が一定以上の広がりを見せないのは、
あの反原発デモ参加者の多くがリタイア世代で、

「原発はもういらない≒成長はもういらない」

というメッセージを発信していることに、
本質的な嫌悪感を覚えている若者は少なくないからではないでしょうか。

「後世に放射性廃棄物を残すな!」

というのはありがたいのですが、借金の方はどうなるんでしょう。
成長ビジョンのない脱原発活動は、こうした意味で決して認めることはできないのです。

後世にツケを残すのは、政治の失敗に他なりません。
政治家は決して、成長を諦めてはいけないのです。

そんなわけで、日本の成長をけん引する東京をつくれる
首長を選ぶことこそが大事な東京都議事選挙なのですが、
かといって

「東京世界一!」

なんて言ってる候補者が良いかというとそうでもないわけで、
まことに投票先が悩ましい状態が今も続いているのであります。

初動でうっかり「脱成長」と口を滑らせてしまった候補者も
若者世代の候補者との対談ではけっこう良いことを言っていたので、
今後の公開討論会を初めとした要素を引き続きじっくりと検討していきます。

私の公式ブログの方で、全候補者との対談企画なども
アップしておりますので、そちらも参考にしてみて下さいね!

・【都知事候補×現職都議】すべての候補に、政策対談を申し込みます!
・突撃!おときた駿がゆく!都知事候補者に全員会いますプロジェクト~第1回家入かずまさん~
・突撃!おときた駿がゆく!都知事候補者に全員会いますプロジェクト~第2回ドクター・中松さん~

それでは、本日はこんなところで。

07:40 | syun | 若者は「脱脱成長」の声を東京から上げるべき はコメントを受け付けていません
2014/01/15

都知事選挙の告示日(1月23日)が近づいて参りました。

候補者は民間の常識で言えば第一線から退くような方々ばかりで、
世論としてもイマイチ盛り上がっていないように感じます…。

さて、マスコミ関連では「自民党が舛添候補の支援を決定した」
「民主党は細川氏を推す」などなどが報じられておりますが、
そもそもなんで知事候補は「無所属」ばっかりなんでしょうね?

端的に結論からいうと、

政党の色をつけると、選挙で勝てないから

ということに尽きます。

よく言われるように、先の選挙で大勝して与党になった自民党も
過半数の支持を集めているわけではありません。参院選の比例代表における
自民党の得票率は35%程度となっています。

大勢の国会議員を選ぶ国政選挙ではそれで良くても、
「オンリーワン」を選ぶ首長選挙では、この得票率で当選することは難しい状況です

「自民党公認」

などの政党色をつけてしますと間違いなく
アンチ層はその候補に投票しなくなりますから、
『公認』という看板が逆に足を引っ張る結果になってしまうわけですね。

現在、公党公認の都道府県知事は
大阪府の松井府知事のみとなっております。
これは当時それだけ維新の会に支持があったということでしょう…

そこで前述のように候補者は「無所属」としておいて、
政党は「推薦」という形を取るわけですが、国政で対立している与野党が『相乗り』したり、
これが地方議会の仕組みをわかりづらくさせる原因となっているように思います。

少し話は飛びますが、
この問題を突き詰めていくと

「実はそもそも、地方議会には政党政治(会派政治)なんていらないんじゃないの?

という結論にたどり着く気がしています。
地方議会は国政と異なり、議院内閣制ではなく二元代表制です。
最大与党が首長を選出するわけではありません。

国政において政党が多数派を形成する理由は立法・政策実現のためですが、
地方議会は事実上立法機関として機能を失っていることが大半です。
多数派を形成すれば条例案の提出・成立ができますが、地方議会ではあまり例がありません。

単に地方議会が行政のチェック機関、首長提案の条例の審査機関であるなら、
会派なんて組まずに各々の議員が案件ごとに是々非々で行動する…
というのも十分に考えられる話しだと思います。

もちろん立法行為の放棄なので悲しいことではありますが、
首長が無所属ならば議員も全員無所属。議会の議案審査は
政策ごとに喧々諤々やって一発勝負!

…なんて議会も、民主主義のレベルアップのために
考えてみてもいいのかもしれませんね。

それでは、今回はこの辺りで。

10:27 | syun | 首長(知事)はどうして「無所属」なのか? はコメントを受け付けていません
2013/12/28

さて、新党「結いの党」さんが正式に発足しまして、
理念や政策などもおぼろげながら見えてきました。

結いの党
http://yuinotoh.jp/

本日は政党人としての立場をちょっとだけ離れて、新党が純粋に
理念・政策的に政界においてどのような立ち位置になるのか
考察をしてみたいと思います。

まずはこちらを御覧ください。

政党マトリクス

図にしてみました。

縦軸はお馴染みの「保守VSリベラル」の軸。
横軸は「大きな政府VS小さな政府」で取り、四象限で主要政党を置いてみます。

こうしてみると、

自民党…大きな政府×保守
公明党…大きな政府×リベラル

で、連立を組んでいる矛盾も明らかになりますし、
共産党さんと社民党さんの揺るがない感じが素敵です。

真ん中に民主党さんが鎮座ましましているのは、
はっきり言ってこの政党の理念・政策はワケがわからないからであります。
(個々人では素晴らしい議員さんも多いのですが…)

さて、こうしてみると新党「結いの党」さんの立ち位置は
これまでになかった新しいポジションであることがわかります。

まだ情報としては不十分ではありますが、

>現行憲法下で、まずは可能な自衛権の行使のあり方を具体化。必要に応じて法整備。
>特定秘密保護法は見直し、第三者機関の権限強化等の歯止めを追加。あわせて情報公開を促進。

こうした政策の文面と、離党されたメンバーの顔ぶれから考えて、
結いの党はややリベラルな政策・理念を持っていると推測されます。

それではなぜ、これまで

「小さな政府×リベラル」

という立ち位置の政党が存在しなかったのでしょうか?
端的に言えば、それは

マーケティング的に美味しくないから

だと考えられます。

顧客(=支持層)が少ないんですね、このレイヤーには。
リベラルな価値観を持つ人たちは、一般的に「大きな政府」を求めます
(社民党や共産党の支持層を思い浮かべていればわかりやすいかと思います)

彼らもその辺りを意識してか、理念に

>「政治は社会的弱者のためにある」を旨とする。

と掲げるなどしておりますが、初回の世論調査では
政党支持率は概ね1%未満と(予想通り?)低迷しています。

個人的にもやはり「リベラル×小さな政府」という組み合わせは
相性が悪いように思います。経済的自由を得るためには一定の国力が必要ですが、
ときにリベラルな思想がそれを否定するからです。

しかしながら、みんなの党が結党される前まではそもそも
「大きな政府VS小さな政府」という対立軸自体が存在しなかったわけで、
ここで新たな象限に踏み込んだ政党が出来たことも時代の要請なのかもしれません。

そういうわけで、顧客が少ないレイヤーで支持を集めるのは困難だと考えられますし、
また結党の経緯から議席などについては誠実な対応をして欲しいとは思うものの、

「小さな政府」という思考と政策が一致する部分では協力し、
日本でも健全な対立軸が機能するよう切磋琢磨していければなあと思います。
でも、その前に解党しちゃうのかな?残念。

月2回ペースながら、本年もコラム読者の皆さまには大変お世話になりました。
来年もどうぞ宜しくお願いいたします。

それでは、良いお年を!

09:18 | syun | 新党(結いの党)のスタンスと可能性を考えてみる はコメントを受け付けていません
2013/12/20

みんなの党から14名の国会議員が離党し、新党結成をするということで
こちらのコラム読者の皆さまにもお騒がせとご心配をおかけしております。
誠に申し訳ありません。

さて、様々な報道で明らかにされている通り、
離党された方々の14名中13名までが「比例選出」で当選された議員です。

みんなの党としては彼らに議席を返上(議員辞職)を求めていますが、
新党結成組がこれに応じる様子はなく、事態は緊迫化しています。

そもそもどうしてこのような問題が起こるのか、
本日はその辺りについてかいつまんで説明したいと思います。

ご案内の通り「比例」は個人名ではなく政党名で当選をした議員ですから、
当然、理論としてはその議員の籍は政党に帰すると考えられます。

このため現在の法律では、比例代表制度で当選した議員たちに対して
他党に移ることは禁止されているのですが、実は無所属になることや
新党の結成についてはとくに規定がありません

かつてもこの「抜け道」を使って舛添さんや与謝野馨さんが
自民党比例選出にも関わらず新党を立ち上げたことがあり、話題になりました。
(前者は新党改革、後者は立ち上がれ日本)

何はともあれ、こちらについては法律で禁じられていないので、
議員が「離党はしますが、議席は返しません」と突っ張られれば
そこに関しては為す術はないのが現状です。

ですがここにもう一つ、「会派」という問題が加わります。

以前、私個人のブログで解説したことがありますが、
議会内での活動は政党ではなく「会派」単位になります。

都議会のお話しVol.1 ~会派ってなに?
http://otokitashun.com/blog/togikai/1277/

国会でも質問時間や控室のスペース、さらには立法事務費の配分まで会派単位で行われます。
そして、会派を異動する場合「その会派の代表者」が異動届けを出すのが『国会の慣習』です。

つまり、「離党」は個人の意思で自由にできるけれども、
「会派離脱」は会派代表者の同意が必要になる
のですね。

みんなの党は比例選出のメンバーには「議席の返還」を求めており、
当然のことながら会派の離脱も認めておりません。

ということで、今の現状ですと会派「結いの党」のメンバーは2名。
ほとんど質問時間も控室のスペースも立法事務費も配分されず、
国会活動がまともにできず「死に体」になる可能性がある…

そんなわけで、

「会派離脱届けを代表者が出すという『慣習』がおかしい。離脱を認めろ!」
「比例代表の議席なんだから党に返すべきだ、会派離脱は認めない。
 比例選出の議員は任期中、移動できないように立法措置を講じよう!」

↑イマココ!
…という議論の真っ只中にあるのですね。

前置きが長くなりましたが本件について
私見を述べますと、ポイントは

「会派の異動届けは代表者が提出する」

という『慣習』にあると思います。

以前に「委員長ポストは議員数によって割り振られ、また強引な差し替えなどは行わない」
という『慣習』があることを、こちらも自身のブログでご紹介しました。

特定秘密保護法、成立の夜に
http://otokitashun.com/blog/daily/2005/

『慣習』には古臭いだけでもはや形骸化してしまったものが多々ありますが、
少数意見を汲み取ったり、議会の暴走を防ぐための「古の知恵」が込められている場合もあります。

この会派異動についての慣習は、後者ではないかと私は思うのです。
(まあ比例代表のシステム自体、比較的最近の制度ではありますが)

たしかに法律上は、離党をして新党を作るのは自由。
でも『慣習』によって会派の離脱は認められず、国会活動は制限される…

だからこそ比例代表選出者が離党するのもさせるのも、
「ほどほどにしておきなさいね」という無言のメッセージが
この『慣習』に込められているような気がしてなりません。

もし新党メンバーの半分ほどが選挙区選出の議員であれば、
それなりの国会活動ができてプレゼンスは発揮できるでしょう。
でも比例選出の割合が8割、9割では…?

その数次第では活動が制限されることを鑑みても、離党することに大義があるのかどうか。
すべてを含めた総合的な判断は、最後は議員個人がされることであり、
その議員に対する審判は次期選挙によって有権者からなされるでしょう。

新党や無所属なら異動OKという「抜け道」は
党があまりにも変わってしまった場合などのリスクヘッジになりますが、
それが乱用されないように「慣習」がある

もしも今回の件でこの「慣習」がなくなるのであれば、
それなりの法整備が必要になってくると思いますが、なんだかそれはそれで
息苦しくなりそうな気がするなあというのが個人的な感想です。

それでは、本日はこんなところで。

03:32 | syun | 「比例選出」と「国会の慣習」を考える はコメントを受け付けていません
2013/11/24

猪瀬都知事の金銭問題がにわかに問題になっております。

猪瀬氏、徳洲会に1億円要請 知事選前虎雄氏判断で提供
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/131123/crm13112308510003-n1.htm
(上)徳洲会からの5千万円「個人の借入」「一銭も手をつけていなかった」
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131123/lcl13112307000000-n5.htm

この件についてまず率直に思ったのは、

猪瀬さんほどの立場でも、誘惑から逃れられなかったのか

ということでした。

以前に自分のブログにも書きましたが、
選挙には本当にお金がかかりますし、かけた方が有利ですし、
事前活動を含めれば事実上いくらでも使うことができます。

しかしながら、当時の猪瀬候補の状況としては、
政治情勢的にも対抗馬的にも彼が負ける要素はほとんどないように見えました。
実際、フタを開けてみれば歴代最高得票となる圧勝劇です。

「思ったほどお金がかからなかったので、手をつけなかった」

というのはおそらく本当なんでしょうけど、
初めて「選挙」というものに直面した彼は
あれほど恵まれた状況でもその恐怖に屈してしまったわけです。

これはもう選挙に出た人しかわからないと思いますが(←偉そう)、
その時の彼の気持ちはものすごく想像がつきます。
負けたらすべてを失う。怖い。嫌だ。…絶対に勝ちたい!

ただ言うまでもないことですが、ここでお金を受け取ってしまえば
そのしがらみからは永遠に逃れることはできません
「恩返し」をしているうちに、理念も政策もどこかに行ってしまいます。

事程左様にお金と知名度が絶対的に
モノを言う日本の選挙制度においては、

「しがらみのないまま当選する」
「企業団体献金は一切受け取らずに、政治活動を続ける」

というのがどれほど難しいことなのか、
今回の件からも改めて痛感せざるを得ません。

だからこそ、それを実現して政治家になっている
諸先輩方を私は心から尊敬しますし、その理念をあっさり捨てた
なんちゃら維新の会には期待をしていただけに当時とても失望をしたものです。

無色で改革派のイメージが強かった猪瀬知事のスキャンダルは
更なる政治不信を招くでしょうし、真相の追求が待たれるところです。
法で裁くことは難しそうな気がしますが、都民から厳しい審判が下されるでしょう。

しかしまあ。

「徳洲会マネー」については猪瀬さんだけではなく、
今後さまざまな政治家の名前が取り沙汰されてくるかと思うと、
くらーい気分にならざるを得ませんし、

そもそも論でいえば元の徳洲会事件についてだって、
あれが有罪なら組織選挙をやっている政治家は全員 うわ何をするやめr

…組織もお金も持たずに闘っている政治家を見かけましたら、
皆さまぜひとも暖かく声をかけていただき、また彼らを政界に
押し上げるべくご支援をいただきたいと心から願う次第でございます。

それでは、今日はこの辺りで。

04:47 | syun | 「選挙の恐怖」に屈した政治家の挽歌 はコメントを受け付けていません
2013/11/17

お久しぶりです。
少し更新に間が空いてしまい申し訳ありません…。

さて、色々な識者がコメントをしているので今更感もあるのですが、
私も自分なりに小泉さんの「脱原発」記者会見騒動について
考えたことを述べてみようと思います。

基本的に、時に政治にはストーリーがあって、役者がいると思っています。
最近、一番優秀で役割が明確な役者さんは小泉進次郎さんです。

例えば、自民党が選挙の時に「70歳以上は原則公認しない」と決めてるのに、
組織票目当てにそういう方に公認を出したりする。

すると、小泉進次郎氏が

「そんなことをやっていては、古い自民党体質は変わらない」
「国民の信頼を得られない」

とか党内批判をして、国民の溜飲を下げるわけです。
が、ここでのポイントは溜飲を下げるだけで、
あくまで自民党の決定は覆らないところです。

この流れと筋書きの中で、自民党と小泉進次郎氏は見事な共演者です。
自民党は、ルールを曲げてでも物事を通したい。でも、国民の信頼も損ねたくない。

そこで、人気のある小泉進次郎氏にご登板を願う。
小泉進次郎氏としても「若手改革者」のポジションから発言が
大きく取り上げられるし、国民の人気も上がって一石二鳥、と。

そんなわけで今回のお父上、純一郎氏の登場も
大きな筋書きの中の一幕であると考えるのが妥当です。
(本当に安倍首相に伝えたいだけなら、記者会見する必要ありませんしね)

もちろん個人の推測ですが、おそらく自民党自身が
原発推進政策に手詰まり感があるのではないでしょうか。
でも、今さら撤回も方向転換もし難い。そこで、純一郎氏に役者として白羽の矢が立つ。

さてここで、段階的に依存度を下げていくにせよ、即時原発ゼロを目指すにせよ、
避けて通ることができないのは最終処分場の問題です。オンカロ待ったなし。

先ごろ、政府与党は福島への「全員帰還」が困難であることを
認める見解を示したとの報道がありましたが、ここから一気に
福島を最終処分場にする提案まで持っていくんじゃないかと思います。

もちろん、極めて、極めて難しい政治的ハードルがある問題です。
そこで原発ゼロカードに加えて、最後のジョーカー小泉純一郎を切ってきた…。

なんてね。

まあ先送りが大好きな日本の政治に限ってありえそうもないし、
小泉さんが独特の政治嗅覚で何も考えずに立ち回っている可能性もあります(苦笑)。
しかしながら、この問題に大きすぎる一石を投じたことは確かでしょう。

私は原発ゼロというのは「結果」であって目標ではなく、
電力自由化によって淘汰していくのが筋であると考えていますが、
これからの政界の動向と世論の流れを注意深く見守っていきたいと思います。

ではでは、今日はこの辺で。

05:45 | syun | 小泉劇場、再演の舞台裏を考えてみる はコメントを受け付けていません
2013/10/21

少し前のニュースになってしまい恐縮ですが、
アベノミクス第三の矢「成長戦略」の最重要項目、
『規制緩和』が早くも後退を強いられております。

雇用規制緩和特区、断念へ…厚労省の反発に配慮
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20131016-OYT1T01460.htm

安倍首相のやろうとしていた国家戦略特区では、
解雇や労働時間に関する規制緩和を行うという労働市場の流動化に寄与するもので、
細かな制度設計に異論はありますが今後の成長戦略に欠かせない試みです。

以前にギャップイヤーを取り上げた記事の中でも言及したことがありますが、
日本の労働規制は確実に経済の活力と若者の雇用を奪い取っています

「正社員になったら、事実上解雇されない」
「一度上がった正社員の賃金は、よほどのことがない限り下げられない」

こんなルールがあったら、ちょっとアベノミクス効果で目先の
景気が良くなったからといって、経営者が新しく正社員を増やしたり、
賃金を気前よく上げてあげたいと思うでしょうか?

無理ですよね。

いつ悪くなるかわからない経済状況の中で、
一度あがったら下げられない賃金を上げる人はいません。
正社員登用にだって、もちろん慎重になります。

結果、そうした縛りのない派遣社員が
調整弁として使われるだけですから、

金融緩和で目先の景気が回復

でも企業は雇用や賃上げには慎重

「なんだ、景気回復してねーじゃん!」「家計には実感できない」

人々の期待が萎み、景気悪化

という道をたどることになります。
金融緩和はカンフル剤に過ぎませんから(レッドブルみたいなものです)、
その後に続く規制緩和とセットであることが大前提なのです。

にも関わらず、安倍首相は

全国一律でないと不公平が生じる

などという厚労省の言い分に配慮をして、
規制緩和を事実上見送る方向性に舵を切っているようです。

この厚労省の言い分は、そもそも中央集権制度が限界にきていて
「全国一律」というシステムが破綻しつつあるのですから、
時代の流れに逆行する二重の意味で最悪の主張です。

・全国一律ではなく、地域の特色を活かした政策を実施していく
・雇用規制を緩和し、労働市場を流動化させ経済をドライブしていく

どちらの点から見ても、安倍首相のやろうとしていたことは正しいのです。
それに反対したのは「解雇特区」などとネーミングをして扇動したマスコミと、
左派政党の野党たちです。

彼らが誰の権益を守ろうとしているのか、
ぜひもう一度考えて見てください。

労働市場が硬直化してもっとも割を食っているのは、言うまでもなく若者です。
企業は年配の正社員を解雇するためには、新卒採用を停止しなければいけません。
若者は職を失い、正社員は定年まで会社に居残り、退職金をたっぷりもらってゆっくり退場する。

またこの一度乗ったら降りられない(降りることを許さない)
「正社員というレール」が、産休・育休を必要とする女性たちの
キャリアを阻害している
ことも見逃せないポイントです。

逃げ切りを図る特権階級の「正社員」たちを守ろうとするあまり、
特区の設立すら足を引っ張ったことで、労働市場改革がまた
何年も遅れたことは間違いがありません。

私は世代間格差の観点からも、経済成長の観点からも、
地域主権の観点からも、女性活用の観点からも、労働市場の流動化を主張し続けます。

ぜひアベノミクスが打ち上げ花火で終わらないよう
安倍首相にももう一度、ネジの巻き直しを計っていただきたいと思います。

それでは、また次回。

10:52 | syun | 規制緩和に失敗するアベノミクスはヤバイ はコメントを受け付けていません
2013/10/07

今年に入ってからの都議選、参院選で共産党さんが
躍進を遂げたのは記憶に新しいところですし、昨今の世論調査では
共産党の支持率が野党No1を取る場合すらあります。

「どうしてですか?」

とよく聞かれるので、今日はこれに関連した小話をば。

都議会議員に着任し、
委員会の配属が決まる際、

「文教委員会(教育分野を専門とする委員会)は、伝統的に共産党の力が強いですよ」

と言われ、ああここでもやっぱりそうなのか、と思った覚えがあります。
共産主義や社会的主義なイデオロギーを持ついわゆる「サヨクっぽい人」は
知識人に多いのですが、特に教育界やマスコミに多数存在します。

教員の労働組合である「日教組」なんてその象徴ですし、
朝日新聞、毎日新聞なども左掛かった思想を反映している大新聞です。

これにはちゃんとした理由と、彼らの「生存戦略」が背景にあります。

共産主義が台頭してきた時、まだまだこれを支持する人数は少なく、
民主主義の議会において過半数を取ることは当面不可能であると
賢明な彼らは早くから看過していました。

そこで彼らは、こう考えました。

「今は多数派になれないかもしれない。
 しかし四半世紀後、半世紀後に勢力図を逆転すればいい。
 そのためには思想を司る職業に、多くの人材を送り込むことが必要だ!」

こうして彼らが目をつけたのが
そのものずばり「教育」の世界と、
大衆の思想に大きな影響を与える「マスコミ」でした。

後のインテリ左翼と呼ばれる知識人候補の大学生たちは、
積極的に教育関係や報道関係機関などを就職先として選びました。

政界でも、政権与党がお金になりそうな経済方面にばかり根を張る間に、
彼らはお金にならず、目に見える成果が出にくいため人気のない
「教育」分野に注力し、確固たるポジションを築いてきました

こうして、日本の教育現場では反日教育が堂々と行われ、
日本の大新聞は靖国問題や慰安婦問題などを積極的に創りだし、
議会の場で共産主義・社会主義が後退を続ける中でも一定の存在感を保ちます。

ソ連が崩壊し、東西冷戦が集結して

「共産主義は終わった」

と言われてからも、彼らは粘り強くチャンスを待ちました。

「議会で勝てないならば、他の場所で勝負すればいい」

議会に依らない市民運動や住民直接投票に
左系の方々が熱心なのも、こうした考えによるものです。
彼らは現時点では、議会で勝つことはハナから諦めていたのです。

議席がどれだけ少なくなり、「確かな野党(笑)」などと小馬鹿にされても、
彼らは戦略に忠実に人材を創りだし、存在感を保ち、静かに時を待っていたのです。

そして今…

圧倒的な勢力を持つ与党を前に、太刀打ちできない既存の野党。
増税、原発促進の流れに、国民の気持ちは一つではない。

50年以上前から彼らが巻いてきた「タネ」が、
静かにその芽をもたげ始めた…

なんてね。

僕個人としては共産党さんの考えに共感するところはありませんが、
確固たる政治思想と組織を築いている稀有な存在だとは思います。

時代の要請によって、求められる政治思想は変わるもの。
共産主義がもう一度台頭するとは考えづらいと思っていますが、
彼らの戦略と世論の流れには注意を払っていたいと考えています。

それでは、また次回。

10:31 | syun | 共産主義の「生存戦略」 はコメントを受け付けていません
2013/09/30

前回に引き続き、消費税のお話しです。

消費税増税にあたって、低所得者層の負担が増加するということで
その負担を和らげるためにまた

「軽減税率」

の導入がマスコミ(新聞)を中心に声高に主張されています。
(あえて太文字にしておきます)

軽減税率 消費税8%時に導入を目指せ(9月26日付・読売社説)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20130925-OYT1T01661.htm

「軽減税率」とは、食料品や生活必需品などの特定品目の税率を下げ、
低所得者への配慮をする税制度です。

欧州の国で導入されている例もあり、耳触りがいいので人気があるのですが、
端的に言ってこれはとても「筋が悪い」政策であり、
私は軽減税率の導入には一貫して反対です。

軽減税率導入派の主張として、消費税は個人の所得に関係なく
平等に課税するため低所得者に不利になるので(『消費税の逆累進性』と言います)、
低所得者に配慮した税制にするべきだ!というものですが、

そもそも間接税である消費税は「そういうもの」で、
所得がない人にもある人にも平等に課税できることがメリットでもあるのです。
それを無理やり是正しようとすると、あらゆる歪が生まれます。

まず、何が「食料品」「生活必需品」に分類されるか、誰がどう判断するのでしょうか?
あらゆる業界団体が自分たちの商品が軽減の対象となるよう、
政治家や官僚たちに働きかけるはずです。

むしろすでにその動きは始まっており、新聞が
「情報を得るための新聞は必需品であり、軽減の対象とすべきだ」
としきりに主張し始めています。

この結果生まれるのは、族議員と利益誘導型の政治です。
特定産業への軽減措置は、補助金以上の強力な利権になります。
これを差配できる決定権が、政治家の新たな権力の温床となるでしょう。

さらに、品目によって税率が違うことは行政手続きを著しく煩雑化し、
コストが上がって行政の誇大化を招きます。

利益誘導型政治+行政の誇大化で、「大きな政府」一直線です。

加えて言えば、低所得者への対策としても極めて非効率です。
高所得者も低所得者も品目よって等しく軽減の恩恵が受けられるので、
むしろ出費額の多い高所得者の方がメリットを享受する可能性すらあります。

繰り返しになりますが、平等に課税できることが間接税である消費税のメリットでもあり、
低所得者に配慮をしたいのであれば所得税などの「直接税」で狙い撃ちにするべきです。

「給付付き税額控除」など、行政コストを下げて低所得者に確実に恩恵が行く政策が
すでに多くの専門家や政治家から提言されています。消費税増税と同時に導入されるべきは、
こうした「直接税」の改革なのです(国民の所得を把握する『歳入庁』設立が前提にはなりますが)。

しかしながら、こうした「筋の良い」政策は

・行政を効率化して人員の削減を可能にし、
・政治家や官僚から新たな利権誕生のチャンスを奪ってしまう

ため、「大きな政府」を志向し権力にこだわる
古い政治家たちは意図的に無視をし続けています。

低所得者に配慮するような顔をして、
実は自分たちの権力の温床を創ろうとしている政治家と、
その恩恵に預かろうとしている新聞にはゆめゆめ気を付けて下さいませ。

それでは、今日はこのへんで。

10:53 | syun | 【消費増税】「軽減税率」は最悪の選択肢?! はコメントを受け付けていません
2013/09/23

安倍首相が消費税増税を決定する意思を固めたとのことで、
にわかに永田町界隈が賑やかになってきているようです。

まずもって申し上げると、僕自身
将来的な消費税増税は不可避であると思っています。

毎年財政赤字を垂れ流し、将来世代にツケを「先送り」している
今の状態はどうみたって健全ではありませんし、これから増え続ける
リタイア世代に平等に課税していくためにも、消費税増税は避けて通れません。

とはいえ、膨大な政府の借金に対して
数%程度の消費税増税は金額だけ見ればまさに「焼石に水」です。

景気に少なからず影響を与えて増税を行う以上、
戦略的な視点を持って税制改革を進めていく必要があります。
そこで、

「消費税増税を行うなら、(所得税や法人税などの)減税とセットで」

という案があります。

「増税+減税なら、意味ねーじゃん!」

と思われるかもしれませんが、そもそも上記のように
増税分の財源は財政再建の観点から見れば微々たるものです。
重要なのは

経済成長につながる『税制改革』を行えるかどうか

という視点なのです。
長く日本の税制度は「直間比率」がおかしいと言われ続けてきました。
「直間比率」とは直接税と間接税の割合です。

簡単に言えば「直接税」が所得税と法人税、
「間接税」が主に消費税のことです。

所得のフローにかかる直接税が高すぎることは、
様々な視点から今の日本の経済成長の阻害原因となります。

・所得の高い人が海外に移住してしまう
・海外企業の投資が呼び込めない
・リタイアして所得がなくなった人から徴税できない

などが大きく上げられますが、
どれも少子高齢化が進み内需が低下する日本には致命的です。

高齢化が進み、所得がなくなるリタイア世代が増える日本には
平等に課税できる消費税が向いていると言えます。
この点から、消費税の増税は合理的です。

だからこそ、消費税を上げるというのであれば
セットで大幅な直接税の減税を行うべきなのです。

これによって上記の阻害原因はクリアになり、
税制改革によるプラマイはゼロでも、世界と戦える税制度が整います。
単に増税するだけなら、一時的な税収が増えても抜本的な解決にはなりません。

このような戦略的な視点もなく、ましてや目先の景気対策のために増税分から5兆円を
財政出動に回すなどといっている今の消費税増税路線は、

「大きな政府」

を助長しますます財政赤字を拡大しかねない、
非常に「筋が悪い」政策と言えるのではないでしょうか。

一概に消費税増税のすべてを否定するものではありませんが、
財政再建・経済成長につながる「税制改革」が行われることを強く望みます。

12:10 | syun | いまの「消費税増税」が筋が悪い理由 はコメントを受け付けていません

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